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第三部 第一章 経済国家グルヴェイグに赴くまで
幕間・悪徳マッサージ師を撃退せよ①
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タイトルで分かる通り、本編とは関係のないアホエロ展開のお話です。
マッサージネタ。登場人物のIQが極限まで低くなる。②からR指定の予定です。
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ネフィリムは肩と首と腰が痛かった。
肩と首の痛みの原因は書物の読みすぎだ。帝国やグルヴェイグの旅路の合間に見つけた貴重な書物は厳選しつつも可能な限り購入するようにしている。自国に戻ったとき、国政運営に生かせるような知識を蓄えたい一心だった。
馬車に乗るとき、宿で食事まで時間があるとき。ネフィリムはひたすら本を読んでいた。
シグルズはそんなネフィリムを眺めて「勉強熱心だなあ」と呟く。
「俺なんて書物なんぞすぐに飽きてしまう」
「私はシグルズのように剣技が秀でているわけでもないし、取柄がないのだ。少しでも兄上の役に立てるように知識を増やすしかない」
ネフィリムが生真面目に答えればシグルズが破顔してその黒髪をわしゃわしゃと撫でる。
「わわっ」
「そうやって努力を怠らないのは君の美徳だ。でも無理をしてはダメだぞ。たまには休息も取るようにな」
労えば、自分の髪の毛を直しながら赤くなるネフィリム。かわいかった。
グルヴェイグの首都まで道半ばのところで、賑やかな街道に出た。
帝国の町ひとつ分はある集落だ。
見たことがないものに興味津々のネフィリムは、馬を降りてタタタと街道を走り出した。
シグルズとミモザは後からそれについて行く。
「ミモザ、今日の宿を探しておいてくれ」
「承知いたしました」
メイドは主の命を受け、迅速に行動を開始した。こちらもタタタと宿泊施設群のほうに走り出す。
馬を連れながらネフィリムの後を追うシグルズは、またしても変な店の前で目を見開いて立ち止まっている黒髪を発見した。
嫌な予感がする。
「……どうした、ネフィル」
嫌な予感がするが、聞かざるを得ない。
「シグルズ、見てみろ。『一瞬にして体の不調を解決するゴッドハンドを君も体験してみないか!? 今なら銀貨1枚で特別サービス実施中!!!』だそうだ」
街道の雰囲気から浮きまくっている真っ赤な看板を指さして興奮するネフィリム。
彼はどうしてこういう怪しいものばかりに注目するのだろうか。
「はあ……。極上のマッサージ体験、ね」
響きがいやらしい気がするのは俺だけか?
「なあ、ネフィル。これは風ぞ」
「私の肩こりや腰痛も治してくれるかもしれないぞ!」
目を輝かせて期待を語るネフィリムを前にすると、自分の先入観が邪なものに感じてしまう。
「まあ……そう、かも、な」
「シグルズ……私はこれを体験してみたい!」
“パパ、これ買って”と同じ構図だった。
さすがにシグルズが眉を潜めると、ネフィリムが言いづらそうにその理由を話す。
「その……腰が痛くて、馬に乗るのも辛い日があるのだ。えっと……だから、夜に、シグルズに」
察した。
「分かった、それ以上言わないでいい。……行ってこい」
シグルズはネフィリムにお小遣いを渡した。
看板を見ると、だいたいの施術時間が書いてあった。
「俺とミモザは宿で待機している。終わるころに迎えにくるから」
「ありがとう!シグルズ」
ルンルンと店に入っていくネフィリムの後ろ姿を見てもなお、シグルズの嫌な予感は拭えなかった。
マッサージネタ。登場人物のIQが極限まで低くなる。②からR指定の予定です。
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ネフィリムは肩と首と腰が痛かった。
肩と首の痛みの原因は書物の読みすぎだ。帝国やグルヴェイグの旅路の合間に見つけた貴重な書物は厳選しつつも可能な限り購入するようにしている。自国に戻ったとき、国政運営に生かせるような知識を蓄えたい一心だった。
馬車に乗るとき、宿で食事まで時間があるとき。ネフィリムはひたすら本を読んでいた。
シグルズはそんなネフィリムを眺めて「勉強熱心だなあ」と呟く。
「俺なんて書物なんぞすぐに飽きてしまう」
「私はシグルズのように剣技が秀でているわけでもないし、取柄がないのだ。少しでも兄上の役に立てるように知識を増やすしかない」
ネフィリムが生真面目に答えればシグルズが破顔してその黒髪をわしゃわしゃと撫でる。
「わわっ」
「そうやって努力を怠らないのは君の美徳だ。でも無理をしてはダメだぞ。たまには休息も取るようにな」
労えば、自分の髪の毛を直しながら赤くなるネフィリム。かわいかった。
グルヴェイグの首都まで道半ばのところで、賑やかな街道に出た。
帝国の町ひとつ分はある集落だ。
見たことがないものに興味津々のネフィリムは、馬を降りてタタタと街道を走り出した。
シグルズとミモザは後からそれについて行く。
「ミモザ、今日の宿を探しておいてくれ」
「承知いたしました」
メイドは主の命を受け、迅速に行動を開始した。こちらもタタタと宿泊施設群のほうに走り出す。
馬を連れながらネフィリムの後を追うシグルズは、またしても変な店の前で目を見開いて立ち止まっている黒髪を発見した。
嫌な予感がする。
「……どうした、ネフィル」
嫌な予感がするが、聞かざるを得ない。
「シグルズ、見てみろ。『一瞬にして体の不調を解決するゴッドハンドを君も体験してみないか!? 今なら銀貨1枚で特別サービス実施中!!!』だそうだ」
街道の雰囲気から浮きまくっている真っ赤な看板を指さして興奮するネフィリム。
彼はどうしてこういう怪しいものばかりに注目するのだろうか。
「はあ……。極上のマッサージ体験、ね」
響きがいやらしい気がするのは俺だけか?
「なあ、ネフィル。これは風ぞ」
「私の肩こりや腰痛も治してくれるかもしれないぞ!」
目を輝かせて期待を語るネフィリムを前にすると、自分の先入観が邪なものに感じてしまう。
「まあ……そう、かも、な」
「シグルズ……私はこれを体験してみたい!」
“パパ、これ買って”と同じ構図だった。
さすがにシグルズが眉を潜めると、ネフィリムが言いづらそうにその理由を話す。
「その……腰が痛くて、馬に乗るのも辛い日があるのだ。えっと……だから、夜に、シグルズに」
察した。
「分かった、それ以上言わないでいい。……行ってこい」
シグルズはネフィリムにお小遣いを渡した。
看板を見ると、だいたいの施術時間が書いてあった。
「俺とミモザは宿で待機している。終わるころに迎えにくるから」
「ありがとう!シグルズ」
ルンルンと店に入っていくネフィリムの後ろ姿を見てもなお、シグルズの嫌な予感は拭えなかった。
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