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第一部 第四章 お互いを知るまで

27話 交尾(※)

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最初から最後まで行為に関する描写(激しめ)が入りますのでご注意ください。
キーワード的に該当するのは、らぶえっち/快楽堕ち/中出し/言葉責め/青姦あたりです。
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 力が抜け、こてんと前に倒れる。

 ネフィリムはシグルズの厚い胸に頭を預け、荒い息を整えようとした。だが、イッたばかりで可愛らしい姿を晒す胸の中の獲物をシグルズの指は逃そうとしなかった。

「あっ!?」

 胎内を探る指の動きが激しくなった。深く、よりバラけてナカを乱そうとしてくる。

「やだや、ら、ぁ……だめ、ああっ」

 イッた直後で快楽にまみれた意識。うまく話すこともできない。
 だが、これ以上侵入されたら自分はおかしくなってしまうという恐怖がネフィリムを駆り立てる。

「ナカやだあ……! へん、へん……っ、おかしいよお」
「怖がるなと言っただろう、ネフィル。お前は快感を怖がっているだけだ。受け入れて、堪能すればいい」

 シグルズはさも当然のようにそういう。
 快感を受け入れろ。
 しかしネフィリムはどうしていいか分からない。
 感じたこともない大きな波が来て、自分の意識がどこかへ流れていってしまいそうな感覚。

 これが快楽なのだろうか。
 みなが狂ったように体を相手に擦りつけ、腰を躍らせ、性器を見せつけ合うのはこれが欲しいからなのか。

 ファフニルに貫かれたときは、媚薬が効いていても不安や痛みが拭えなかった。

 気持ち良さも確かにあったが、それに身を委ねることに極度の嫌悪感があった。だからわずかでも理性を保っていられた。

 でも今は頭が働かない。ぼんやりとして言葉がうまく出ない。むしろ、自分が思ってもいない言葉が理性を介さずに口から零れ出てしまう。

 シグルズに抱かれて安心しているものの、このままでは自分は本当におかしくなってしまうのではないかという不安は完全に拭えていなかった。

 と、現時点で考えうる精一杯の思考も、その瞬間に途絶えることになった。

 コリッ。

 ナカでうごめくシグルズの指があるしこりを掠めると、ネフィルは声にならない悲鳴をあげた。

「っ………ひ!」
「ここだな」

 シグルズは満足そうに呟き、そのしこりの部分を何度も何度も擦り始めた。

「ひっ! や、なに、そっ……ああ!」
 ネフィリムの目の前がチカチカと光る。
 先ほどまでとは比べ物にならない、快感にしては強すぎる衝撃が連続して襲ってくる。
 何が起きているか分からない。力いっぱいシグルズに抱きついて振り落とされないようにする。

「あっ、ひぃ…! あんっ! あ、やぁ……? やめ、あ、っ……」

 言葉を発することもできない。
 擦られるたびにネフィルは理性を手放していった。

「どうだ、気持ちいいか、ネフィル」
「あ、あ、……? い、い……きもちい、……ひゃあっ」

 びゅるっ。
 性器の先端から少量の白濁が放たれる。

 もはやネフィリムは一人で立つことすら不可能だった。
 シグルズが抱き上げてネフィリムをかろうじて立たせる。

 胎内のいいところを擦られ、腰を振り、体をくねらせて快感を享受する。
 シグルズの瞳と湖の水面には一糸まとわぬネフィリムの妖艶な姿が映っていた。

「いい、いいよ、そこぉ……あ、もっとぉ」
「ここが好きか、ネフィル?」
「すき、しゅきぃ……いっぱい、さわって……きもち、い」

 羞恥心をかなぐり捨てたネフィリムは本能に忠実だった。
 腰を押し付け、股を開いて片足をシグルズに絡めた。

 キスだけでも真っ赤になる高潔なネフィリムと、本能に忠実で快楽に弱いいやらしいネフィリムと。
 その落差が、芳醇な酒のようにシグルズを酔わせる。

「そこ、こすられると……あっ、へんに、なるぅ……」
「ここか? もっと愛してやる。へんになっていいぞ」
「あう……ふわふわして、きもちいよ……シグルズ……もっと」
「かわいいおねだりだ、ネフィル。それでいい……俺も、我慢がききそうにない」

 最後の仕上げとばかりにネフィリムの前立腺を何度も擦った。優しく、それでいて深く指で拡げる。
 ネフィルの先端から垂れた蜜が、太ももをたどり水面へとたどり着く。
 戦乙女ヴァルキリーの蜜は湖の透明な水と一体化した。
 その光景が、ネフィリムの甘い誘いが、ギリギリ保っていたシグルズの理性をも焼き切る。

「あ、あん……おく、もっとおく、……」
「ネフィル……」
「おくが…あつくて、かゆい……シグルズ……」

 ネフィリムの胎内は熱く柔らかく蠢き、ヒダが徐々に緩んでいく。
 まるで何かを歓迎するかのように。

「シグルズ……ねえ、ほしい……ここ、もっと」

 ネフィリムの手が、双丘の奥に差し込まれているシグルズの指を撫でる。

「……いいのか、ネフィル」

 ネフィリムは蠱惑こわく的な笑みを浮かべてシグルズを見上げる。

 小さな口はわずかに開いて荒い息を吐き出している。頬は染め上がり、知的な光を湛えていた黒の目が情欲で濡れた怪しい光を放っていた。

 信仰を集めた高貴な彼が、本能のままに男を求める姿は何とも言えない嗜虐心しぎゃくしんを誘う。

 ファフニルがカドモスとどのような取引をしたのかは分からない。

 だが、現神とも称されるこの美しい存在を自分の手で暴き、快楽を教え込むことに大きな誘惑を感じていたとしても何ら不思議ではなかった。

 そういう危うい魅力がネフィリムには漂っている。

「シグルズのが、ここ、ほしい……」
「……くそ」

 シグルズは湖のそばに生えているケヤキの幹にネフィルの両手をつかせ、双丘を突き出すように立たせる。

 白く細い戦乙女ヴァルキリーの片足をシグルズの肩に乗せると、体を横に向けて大きく開くかたちになったネフィリムのナカが本性を現す。本来秘されている双丘の奥の入口、さらにその奥では、淡いピンクに彩られている襞がこれから来る快楽の波に期待を寄せる動きを見せた。

 ちゃぷり、と湖に波紋が広がるのと、シグルズが衣服から取り出した己の屹立を押し当てるのはほぼ同時だった。

挿入れるぞ」
「ああっ……くる、……あっ!」

 赤黒く怒張したシグルズのものが、ゆっくりと確実にネフィリムの胎内に埋め込まれていく。
 見た目の清純さとは裏腹に、ネフィリムの入口は急くようにそれを飲み込み、胎内が悦んで伸縮した。

「んんっ……! あつく、て……やんっ、大き……! あ、」

 喘ぎ声がさらに高くなる。
 涙を流し口から涎を流すネフィリムは、美しい獣のようだった。

「ぐ、っ……これは、たまらないな……」

 対するシグルズの額からは汗が流れた。
 性器を包む肉の轟きが脳に直結する刺激をもたらす。意識を持っていかれないようにするのが精一杯だった。

「こんな、のは……女と体を重ねたとき、も……なかった感覚だな…」
「ああっ……? あつくて、いい、きもちい」
「ネフィル……君はとんでもない一面を隠し持っていたな……」
「ナカが、あなたで、いっぱい……いいよ、ぉ」

 気高さを残したまま欲望に忠実な声で啼くその姿はシグルズの意識をいた。そして言葉よりも貪欲どんよくな彼の胎内の肉がシグルズのもっとも熱いところを決して離そうとしない。

 どんな女を抱いたときよりも強い快楽が、シグルズの獣性をも露わにしようとしていた。

「動く、ぞ……!」

 パンっ! ばちゅ、バチュン!

「あっ!?  ああーーーーっ! おく、あたって……おくぅ!」

 肉と肉のぶつかる音が湖畔に響き、そのたびにネフィルが歓喜の声をあげる。
 人間の目も理性の存在もない、ただひっそりと自然のもののみが二人を囲む。


 ここでは騎士も戦乙女も、国も家柄も、性別さえも関係なかった。

 儀式のことなど、すでに頭から消えている。

 ただ、本能が求める刺激を忠実に求めるだけ。



「ああ、きてる…! かきまわしちゃっ……あっ……きもちい、あああ」

 全てのしがらみから解き放たれた二人の本能的な動きは、まさに交尾だった。

 ネフィリムは喘ぎながら腰を振り、シグルズの性器を最奥へ導くことしか頭になかった。

 もっと、もっと満たしてほしい。
 その熱の塊で自分の胎内を搔き乱してほしい。
 気持ちいいことしか考えられない。
 気持ちいい。温かくて、安心する。熱が胎内にある。幸せだ。

「はああっ! あんっ、あ、にゃ、ああーーーーっ!」

 シグルズも夢中になって性器を叩きつけた。
 最奥へ。
 自分の子孫を残す行為。
 でも、今はとにかく目の前の雌を屈服させたい。

「ネフィル……! ネフィル……!」

 そして二人は同時に精を発した。獣じみた声は途絶え森は再び静寂せいじゃくに包まれた。

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