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第一章 建国前夜編
55話 記憶を頼りに
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「できた!!」
まだ日が昇る前に昨晩から取り掛かっていたあるものを作り終えた。
「タケルさん、本当にこれが飛ぶんですか…?」
「多分…な。」
作り終えたものを見てゴブが心配そうに聞いてきた。
元の世界にいた頃、社員旅行先の施設でやってた体験に参加した時の記憶を頼りに作ったから多分うまく行ってるはずだ。
ちなみにバースも手伝ってくれたが、最早自分が何を作らされているかもわかっていない様子だった。
ただこのサイズのものを作ったことはないから正直どうなるかは全く予想できない。
「夜明け前に配置につきたい。この砦の指揮官級を集めてくれ。」
そうバースに伝えてすぐに指揮官たちが集まってきた。
最後の一人が来たのを確認して作戦の説明を始める。
「今日の作戦について説明する。まずライは昨日と同じように南北の森にドラグーンを展開して敵の進行を阻止してくれ。」
「わかった、任せてくれ。」
「そしてバースは夜通し集めてもらった砂や砂利をここと、ここに撒いてくれ。それから、作戦決行後も騎馬中隊を使ってとにかく砂を撒き続けてほしい。」
テーブルに広げた地図上を指して説明する。
指定した場所は、砦の正面側の南北の森だ。
それを聞いてバースも力強く返事をする。
「あとは…サイカ、魔法隊のうち静の部族のものを砦に10人、この場所に残りを半分ずつ配置して、サイカは砦から魔法隊の指揮をとってくれ。」
地図上の砦の位置とバースに指定した位置をそれぞれ指して説明し、サイカの顔を見る。
サイカは深く頷いた。
言葉にはしないがかなり気合が入っているのがわかる。
このサイカというゴブリンは、風の部族の長で魔法中隊の隊長を担っているゴブリンメイジだ。
クールなやつであまり喋ったりはしないが、ゴブと仲が良く、絶対の信頼を置いているらしい。
今回の作戦がうまく行くかどうかは正直サイカにかかっている。
そのことは事前に伝えていたから気合十分って感じだ。
「皆聞いてくれ、敵にアルロイみたいな化け物がいる時点で、この砦を突破させない事の重要性が跳ね上がってる。ここであと1日でも稼ぐことができなければ避難が終わる前に南部が飲み込まれる危険性が高い。そうさせないためにも、もう一踏ん張り頑張ってくれ。武運を祈る。」
そう伝えて会議を終えた。
それぞれが持ち場に急いで向かう。
もちろん俺とゴブ、サイカも砦正面の櫓へ向かう。
全員が配置についた頃、ようやく空が明るくなり始めてきた。
斥候の報告によると夜明けと共に動く気配ありとのことだったから、おそらく間も無くやってくるだろう。
全部隊に合図を待つように告げ、敵が来る方向を注視する。
静かだ。
昨日の戦闘のせいか、今日は鳥の鳴き声すら聞こえてこない。
辺りが静まり返っている。
ドドドドッ
しばらく様子を見ていると静寂を切り裂くように遠くから軍勢が迫る音が聞こえてきた。
目を細めて音の方に目を凝らす。
「今だ!!」
敵が視界に入ったタイミングで全体に合図をした。
頼むぞ、上手く行ってくれ。
まだ日が昇る前に昨晩から取り掛かっていたあるものを作り終えた。
「タケルさん、本当にこれが飛ぶんですか…?」
「多分…な。」
作り終えたものを見てゴブが心配そうに聞いてきた。
元の世界にいた頃、社員旅行先の施設でやってた体験に参加した時の記憶を頼りに作ったから多分うまく行ってるはずだ。
ちなみにバースも手伝ってくれたが、最早自分が何を作らされているかもわかっていない様子だった。
ただこのサイズのものを作ったことはないから正直どうなるかは全く予想できない。
「夜明け前に配置につきたい。この砦の指揮官級を集めてくれ。」
そうバースに伝えてすぐに指揮官たちが集まってきた。
最後の一人が来たのを確認して作戦の説明を始める。
「今日の作戦について説明する。まずライは昨日と同じように南北の森にドラグーンを展開して敵の進行を阻止してくれ。」
「わかった、任せてくれ。」
「そしてバースは夜通し集めてもらった砂や砂利をここと、ここに撒いてくれ。それから、作戦決行後も騎馬中隊を使ってとにかく砂を撒き続けてほしい。」
テーブルに広げた地図上を指して説明する。
指定した場所は、砦の正面側の南北の森だ。
それを聞いてバースも力強く返事をする。
「あとは…サイカ、魔法隊のうち静の部族のものを砦に10人、この場所に残りを半分ずつ配置して、サイカは砦から魔法隊の指揮をとってくれ。」
地図上の砦の位置とバースに指定した位置をそれぞれ指して説明し、サイカの顔を見る。
サイカは深く頷いた。
言葉にはしないがかなり気合が入っているのがわかる。
このサイカというゴブリンは、風の部族の長で魔法中隊の隊長を担っているゴブリンメイジだ。
クールなやつであまり喋ったりはしないが、ゴブと仲が良く、絶対の信頼を置いているらしい。
今回の作戦がうまく行くかどうかは正直サイカにかかっている。
そのことは事前に伝えていたから気合十分って感じだ。
「皆聞いてくれ、敵にアルロイみたいな化け物がいる時点で、この砦を突破させない事の重要性が跳ね上がってる。ここであと1日でも稼ぐことができなければ避難が終わる前に南部が飲み込まれる危険性が高い。そうさせないためにも、もう一踏ん張り頑張ってくれ。武運を祈る。」
そう伝えて会議を終えた。
それぞれが持ち場に急いで向かう。
もちろん俺とゴブ、サイカも砦正面の櫓へ向かう。
全員が配置についた頃、ようやく空が明るくなり始めてきた。
斥候の報告によると夜明けと共に動く気配ありとのことだったから、おそらく間も無くやってくるだろう。
全部隊に合図を待つように告げ、敵が来る方向を注視する。
静かだ。
昨日の戦闘のせいか、今日は鳥の鳴き声すら聞こえてこない。
辺りが静まり返っている。
ドドドドッ
しばらく様子を見ていると静寂を切り裂くように遠くから軍勢が迫る音が聞こえてきた。
目を細めて音の方に目を凝らす。
「今だ!!」
敵が視界に入ったタイミングで全体に合図をした。
頼むぞ、上手く行ってくれ。
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