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最終章
第1060話 太陽と巨大剣
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――ダイダラボッチが復活した光景は森の中を移動する討伐隊も確認していた。かつてイチノを襲撃したゴブリンキングをも遥かに上回る巨人の出現は、森の中からでも見る事ができた。
『なっ、何だあれはぁあああっ!?』
「ば、馬鹿な……」
「まさかあれは……ダイダラボッチか!?」
「そんな馬鹿なっ!?」
「グルルルッ!!」
ナイの残した目印を頼りに既に討伐隊は山の近くまで移動しており、ビャクとも合流を果たしていた。彼等がビャクと合流したのはつい先ほどの事でロランはナイのマントを握りしめていた。
マントには彼の血文字でアンの目的が「ダイダラボッチの復活」の可能性がある事が記され、ロランは直にダイダラボッチを見た事はないので半信半疑だったが、山から姿を現した緑の巨人を見てナイの言う通りにダイダラボッチが復活した事を悟る。
(信じられん、なんという大きさだ……!!)
ダイダラボッチの大きさはアチイ砂漠で倒した土鯨と同程度は存在し、しかも土鯨と違う点はダイダラボッチは人型である事だった。ダイダラボッチの手には背中に突き刺さっていたはずの巨大な剣が握りしめられ、それを見たロランはあの剣がダイダラボッチの武器なのかと思った。
しかし、地中から姿を現したダイダラボッチは剣を振りかざすと、勢いよく放り込む。投げ放たれた「巨大剣」はロラン達が立っている場所の上空を通り過ぎ、地上の樹木を何本も巻き込んで派手な土煙を巻き上げる。
(武器を手放した!?何故だ!?)
自ら手にしていた巨大剣を投げ飛ばしたダイダラボッチの行動にロランは戸惑うが、当のダイダラボッチは顔面を両手で抑え込み、眩しそうに太陽を見上げて呻き声をあげた。
――ウギィイイイッ!?
太陽の光を嫌がるようにダイダラボッチは身体を縮め、自分が抜け出した大穴の中に引っ込んでしまう。ロラン達からの位置ではダイダラボッチがまるで山の中に吸い込まれるように消えた様に見えたが、彼等はダイダラボッチの姿を見て呆然とする。
「な、何だ今のは……夢か?」
「現実だとは信じたくはない気持ちは分かるが……どうやら、奴が蘇ったようだ」
「あ、あれが拙者達の先祖の故国を滅ぼした伝説の巨人……ダイダラボッチでござるか」
シノビとクノはダイダラボッチが動く姿を見て恐怖と困惑が入り混じった表情を浮かべる。二人にとってはダイダラボッチは自分達の先祖から国を奪った憎き仇なのだが、実際に動いてる姿を見るとあまりの巨大さに圧倒されて怒りの感情も抱けない。
ロランもこれまでに数々の大型の魔物を見てきた事はあるが、ダイダラボッチのような人型で巨大な魔物は見た事がない。しかも「建造物」と」見間違うほどの巨大な剣を数キロも離れた場所に投げ飛ばす膂力を誇り、その力はイチノを襲撃したゴブリンキングとは比べ物にならない。
この場にはダイダラボッチがまだ地中に埋まっている時に姿を確認した人間もいるが、実際に動いている姿を見せつけられると言葉も出ない。それほどまでにダイダラボッチは規格外の存在であり、その存在感は竜種をも上回る。
『むうっ……流石の俺もあんな化物を見るのは初めてだな。全く勝てる気がせん、はっはっはっ!!』
『何で笑えるんだ……私は今にも漏らしそうだ』
「……土鯨も体外だが、あれはもっとやばいな」
「こ、怖いとかを通り過ぎて……何が起きたのか訳が分からないよ」
魔物退治を専門とする冒険者の中でも最上位の黄金級冒険者達でさえも、ダイダラボッチを見ただけで全員が愕然とするしかなかった。中には腰を抜かした者もいるが、すぐにリーナはダイダラボッチがいる山に登ったナイの事を思い出す。
「そ、そうだ!!ナイ君は……ナイ君は無事なの!?」
「ウォンッ!!」
「あ、おい!!ワンコロ、どうした!?」
「ナイの元へ向かうつもりかもしれん!!すぐに追いかけるぞ!!」
ビャクはリーナの言葉を聞いてはっとした表情を浮かべ、即座にナイの元へ戻るために駆け出す。その後に他の者たちも続き、危険を覚悟で彼等はダイダラボッチが姿を隠した山へ向かう――
――討伐隊がダイダラボッチが出現した大穴に辿り着いたのはそれから一時間後であり、先にゴブリンキングの軍勢の要塞跡地に辿り着いていたビャクは必死に地面を掘っていた。
「クゥ~ンッ……」
「ぷるぷるっ!!」
「ビャク君!!良かった、やっと見つけた……あれ、プルミンちゃんも一緒だったの?」
「そういえば見かけないと思っていたが……こいつ、ちゃっかりワンコロに付いて来てたのか」
『それよりも何をしているのだ?地面を掘って……はっ!?まさかこの下にお宝を発見したのか!?』
「いや……様子がおかしい」
ビャクは討伐隊が到着しても無視して地面を掘る事に集中し、その様子を見てロランは疑問を抱いた。彼はビャクが掘っている場所を確認すると、彼が掘り起こす前からまるで何かが叩き付けられたように地面に窪みができていた。
「これはいったい……」
「ウォンッ!!ウォンッ!!」
「ぷるぷるっ!!」
窪みの中でビャクが必死に地面を掘り、その様子を見たプルミンはロランの足元に移動して必死に何かを伝えようと身体を摺り寄せる。ロランは二匹の様子を見て只事ではないと察し、他の者達に指示を出す。
「全員、今すぐ地面を掘るぞ!!武器の類は使うな、地力で掘り起こすんだ!!」
『おおっ!?本当にお宝か!?』
「武器は使うなって……素手で掘れってのか?」
「地面を掘る道具があれば好きに使っていい!!だが、魔剣や魔法の類で地面を掘るのだけは止めろ!!」
「クノ、クロとコクを呼べ」
「承知したでござる!!」
ロランの言葉に他の者たちもビャクが掘り起こしている場所に向かい、この時にクノは犬笛を吹いて忍犬を呼び出す。即座に黒狼種のクロとコクが現れ、ビャクと共に地面を掘り始める。
他の者たちも素手で地面を掘り始め、全員が力を合わせて地面を掘る。やがて地面の中から見覚えがある盾が掘り起こされ、それを発見したリーナは顔色を青くした。
「こ、これ……」
「まさか、坊主の盾か!?」
「という事は地面の中にいるのは……早く掘り起こすんだ!!」
地面の中から反魔の盾が出現すると、慌てて全員が盾が出てきた場所を中心に掘り始める。そして反魔の盾を装備していたナイが地面の中から現れ、彼の姿を見て全員が息を飲む。
「そ、そんな……!?」
「おい、生きてるのか!?」
『酷い……死んでいるのか?』
「縁起でもない事を言わないでほしいでござる!!」
「仙薬を飲ませろ!!それとありったけの回復薬を身体にかけるんだ!!」
発見されたナイの身体は酷く損傷しており、即座に彼の装備を引き剥がして治療を行う。仙薬を口の中にねじ込んで無理やりに噛ませて飲み込ませ、身体中に回復薬を振りかける。
追いかけてきた者達の中で回復魔法を扱える人間はおらず、全員が手持ちの薬をナイに分け与える事しかできなかった。それでも回復薬の効果があるのは生きた人間だけであり、仮に彼が死んでいたのならばいくら薬を与えても傷が治る事はない。
「ナイ君、しっかりして……ナイ君!!」
「リーナ、落ち着け……」
「傷の具合はどうでござる?」
「……治り始めている。どうやら生きてはいるようだ」
「だが、重傷である事に変わりはない」
幸いにもナイの怪我は治り始めた事から彼が生きている事は証明された。しかし、いったい何が起きたのか彼はこれまでにないほどの大怪我を負い、生きているのが奇跡だった。
――この場所はダイダラボッチが目覚めた場所の近くであり、ナイが地面に埋もれていた場所は最初から大きな窪みがあった。この窪みはダイダラボッチが自分の背中から引き抜いた巨大剣を叩き付けた際に発生した窪みであり、ナイはダイダラボッチの攻撃を受けながらも奇跡的に生き延びた。
どうして彼が生き延びたのかはロラン達には分からないが、その理由は「反魔の盾」だった。ダイダラボッチが攻撃を仕掛けた際にナイは偶然にも反魔の盾で防いでいた事で即死を免れた。それでも凄まじい衝撃に耐え切れずに身体が地面の中に埋もれ、地中の中に閉じ込められた。
彼が生き延びた理由はナイ自身が高い生命力を誇り、意識は失っていたが仮死状態に陥っていた事で奇跡的に生き延びた。そして彼は他の仲間達に救い出されるが、ナイの傍にいたはずのアンの姿はなかった。恐らく彼女も地中に埋まっているはずだが、強靭な肉体を持つナイならばともかく、アンではダイダラボッチの攻撃を受けて無事では済まない。
アンは地中に埋もれて死んだ可能性が高く、仮に生き延びていたとしても地中から脱出はできない。ビャクとプルミンがナイの存在に気付いたのは嗅覚と感知能力のお陰だが、この二匹は感じ取ったのはナイだけなのでアンはもう死んでいる可能性が高い――
――ロラン達はナイを救出すると、ダイダラボッチが再び現れる前に下山する事にした。ちなみにナイの装備を回収する事も忘れず、彼が意識を失っている間は他の者が装備を預かる事にした。
下山の際はビャクがナイを背中に乗せてリーナが一緒に乗って彼の身体を支える。シノビとクノは呼び出したクロとコクに乗り込んで先に帰還し、他の者たちに状況を説明する。そしてロラン達はダイダラボッチを放置する事はできず、山の近くに待機して様子を伺う。
地上に出現したはずのダイダラボッチがどうして再び地中に逃げたのかは分からないが、ロランはその原因は「太陽」が関わっているのではないかと考えていた。ダイダラボッチは長年の間、日の光の当たらない場所で過ごしていたせいで太陽を浴びておらず、それが原因なのか太陽の光と熱を浴びた時に嫌がっているように見えた。その事を彼は他の者たちに話すと、全員が彼の意見に納得する。
『なっ、何だあれはぁあああっ!?』
「ば、馬鹿な……」
「まさかあれは……ダイダラボッチか!?」
「そんな馬鹿なっ!?」
「グルルルッ!!」
ナイの残した目印を頼りに既に討伐隊は山の近くまで移動しており、ビャクとも合流を果たしていた。彼等がビャクと合流したのはつい先ほどの事でロランはナイのマントを握りしめていた。
マントには彼の血文字でアンの目的が「ダイダラボッチの復活」の可能性がある事が記され、ロランは直にダイダラボッチを見た事はないので半信半疑だったが、山から姿を現した緑の巨人を見てナイの言う通りにダイダラボッチが復活した事を悟る。
(信じられん、なんという大きさだ……!!)
ダイダラボッチの大きさはアチイ砂漠で倒した土鯨と同程度は存在し、しかも土鯨と違う点はダイダラボッチは人型である事だった。ダイダラボッチの手には背中に突き刺さっていたはずの巨大な剣が握りしめられ、それを見たロランはあの剣がダイダラボッチの武器なのかと思った。
しかし、地中から姿を現したダイダラボッチは剣を振りかざすと、勢いよく放り込む。投げ放たれた「巨大剣」はロラン達が立っている場所の上空を通り過ぎ、地上の樹木を何本も巻き込んで派手な土煙を巻き上げる。
(武器を手放した!?何故だ!?)
自ら手にしていた巨大剣を投げ飛ばしたダイダラボッチの行動にロランは戸惑うが、当のダイダラボッチは顔面を両手で抑え込み、眩しそうに太陽を見上げて呻き声をあげた。
――ウギィイイイッ!?
太陽の光を嫌がるようにダイダラボッチは身体を縮め、自分が抜け出した大穴の中に引っ込んでしまう。ロラン達からの位置ではダイダラボッチがまるで山の中に吸い込まれるように消えた様に見えたが、彼等はダイダラボッチの姿を見て呆然とする。
「な、何だ今のは……夢か?」
「現実だとは信じたくはない気持ちは分かるが……どうやら、奴が蘇ったようだ」
「あ、あれが拙者達の先祖の故国を滅ぼした伝説の巨人……ダイダラボッチでござるか」
シノビとクノはダイダラボッチが動く姿を見て恐怖と困惑が入り混じった表情を浮かべる。二人にとってはダイダラボッチは自分達の先祖から国を奪った憎き仇なのだが、実際に動いてる姿を見るとあまりの巨大さに圧倒されて怒りの感情も抱けない。
ロランもこれまでに数々の大型の魔物を見てきた事はあるが、ダイダラボッチのような人型で巨大な魔物は見た事がない。しかも「建造物」と」見間違うほどの巨大な剣を数キロも離れた場所に投げ飛ばす膂力を誇り、その力はイチノを襲撃したゴブリンキングとは比べ物にならない。
この場にはダイダラボッチがまだ地中に埋まっている時に姿を確認した人間もいるが、実際に動いている姿を見せつけられると言葉も出ない。それほどまでにダイダラボッチは規格外の存在であり、その存在感は竜種をも上回る。
『むうっ……流石の俺もあんな化物を見るのは初めてだな。全く勝てる気がせん、はっはっはっ!!』
『何で笑えるんだ……私は今にも漏らしそうだ』
「……土鯨も体外だが、あれはもっとやばいな」
「こ、怖いとかを通り過ぎて……何が起きたのか訳が分からないよ」
魔物退治を専門とする冒険者の中でも最上位の黄金級冒険者達でさえも、ダイダラボッチを見ただけで全員が愕然とするしかなかった。中には腰を抜かした者もいるが、すぐにリーナはダイダラボッチがいる山に登ったナイの事を思い出す。
「そ、そうだ!!ナイ君は……ナイ君は無事なの!?」
「ウォンッ!!」
「あ、おい!!ワンコロ、どうした!?」
「ナイの元へ向かうつもりかもしれん!!すぐに追いかけるぞ!!」
ビャクはリーナの言葉を聞いてはっとした表情を浮かべ、即座にナイの元へ戻るために駆け出す。その後に他の者たちも続き、危険を覚悟で彼等はダイダラボッチが姿を隠した山へ向かう――
――討伐隊がダイダラボッチが出現した大穴に辿り着いたのはそれから一時間後であり、先にゴブリンキングの軍勢の要塞跡地に辿り着いていたビャクは必死に地面を掘っていた。
「クゥ~ンッ……」
「ぷるぷるっ!!」
「ビャク君!!良かった、やっと見つけた……あれ、プルミンちゃんも一緒だったの?」
「そういえば見かけないと思っていたが……こいつ、ちゃっかりワンコロに付いて来てたのか」
『それよりも何をしているのだ?地面を掘って……はっ!?まさかこの下にお宝を発見したのか!?』
「いや……様子がおかしい」
ビャクは討伐隊が到着しても無視して地面を掘る事に集中し、その様子を見てロランは疑問を抱いた。彼はビャクが掘っている場所を確認すると、彼が掘り起こす前からまるで何かが叩き付けられたように地面に窪みができていた。
「これはいったい……」
「ウォンッ!!ウォンッ!!」
「ぷるぷるっ!!」
窪みの中でビャクが必死に地面を掘り、その様子を見たプルミンはロランの足元に移動して必死に何かを伝えようと身体を摺り寄せる。ロランは二匹の様子を見て只事ではないと察し、他の者達に指示を出す。
「全員、今すぐ地面を掘るぞ!!武器の類は使うな、地力で掘り起こすんだ!!」
『おおっ!?本当にお宝か!?』
「武器は使うなって……素手で掘れってのか?」
「地面を掘る道具があれば好きに使っていい!!だが、魔剣や魔法の類で地面を掘るのだけは止めろ!!」
「クノ、クロとコクを呼べ」
「承知したでござる!!」
ロランの言葉に他の者たちもビャクが掘り起こしている場所に向かい、この時にクノは犬笛を吹いて忍犬を呼び出す。即座に黒狼種のクロとコクが現れ、ビャクと共に地面を掘り始める。
他の者たちも素手で地面を掘り始め、全員が力を合わせて地面を掘る。やがて地面の中から見覚えがある盾が掘り起こされ、それを発見したリーナは顔色を青くした。
「こ、これ……」
「まさか、坊主の盾か!?」
「という事は地面の中にいるのは……早く掘り起こすんだ!!」
地面の中から反魔の盾が出現すると、慌てて全員が盾が出てきた場所を中心に掘り始める。そして反魔の盾を装備していたナイが地面の中から現れ、彼の姿を見て全員が息を飲む。
「そ、そんな……!?」
「おい、生きてるのか!?」
『酷い……死んでいるのか?』
「縁起でもない事を言わないでほしいでござる!!」
「仙薬を飲ませろ!!それとありったけの回復薬を身体にかけるんだ!!」
発見されたナイの身体は酷く損傷しており、即座に彼の装備を引き剥がして治療を行う。仙薬を口の中にねじ込んで無理やりに噛ませて飲み込ませ、身体中に回復薬を振りかける。
追いかけてきた者達の中で回復魔法を扱える人間はおらず、全員が手持ちの薬をナイに分け与える事しかできなかった。それでも回復薬の効果があるのは生きた人間だけであり、仮に彼が死んでいたのならばいくら薬を与えても傷が治る事はない。
「ナイ君、しっかりして……ナイ君!!」
「リーナ、落ち着け……」
「傷の具合はどうでござる?」
「……治り始めている。どうやら生きてはいるようだ」
「だが、重傷である事に変わりはない」
幸いにもナイの怪我は治り始めた事から彼が生きている事は証明された。しかし、いったい何が起きたのか彼はこれまでにないほどの大怪我を負い、生きているのが奇跡だった。
――この場所はダイダラボッチが目覚めた場所の近くであり、ナイが地面に埋もれていた場所は最初から大きな窪みがあった。この窪みはダイダラボッチが自分の背中から引き抜いた巨大剣を叩き付けた際に発生した窪みであり、ナイはダイダラボッチの攻撃を受けながらも奇跡的に生き延びた。
どうして彼が生き延びたのかはロラン達には分からないが、その理由は「反魔の盾」だった。ダイダラボッチが攻撃を仕掛けた際にナイは偶然にも反魔の盾で防いでいた事で即死を免れた。それでも凄まじい衝撃に耐え切れずに身体が地面の中に埋もれ、地中の中に閉じ込められた。
彼が生き延びた理由はナイ自身が高い生命力を誇り、意識は失っていたが仮死状態に陥っていた事で奇跡的に生き延びた。そして彼は他の仲間達に救い出されるが、ナイの傍にいたはずのアンの姿はなかった。恐らく彼女も地中に埋まっているはずだが、強靭な肉体を持つナイならばともかく、アンではダイダラボッチの攻撃を受けて無事では済まない。
アンは地中に埋もれて死んだ可能性が高く、仮に生き延びていたとしても地中から脱出はできない。ビャクとプルミンがナイの存在に気付いたのは嗅覚と感知能力のお陰だが、この二匹は感じ取ったのはナイだけなのでアンはもう死んでいる可能性が高い――
――ロラン達はナイを救出すると、ダイダラボッチが再び現れる前に下山する事にした。ちなみにナイの装備を回収する事も忘れず、彼が意識を失っている間は他の者が装備を預かる事にした。
下山の際はビャクがナイを背中に乗せてリーナが一緒に乗って彼の身体を支える。シノビとクノは呼び出したクロとコクに乗り込んで先に帰還し、他の者たちに状況を説明する。そしてロラン達はダイダラボッチを放置する事はできず、山の近くに待機して様子を伺う。
地上に出現したはずのダイダラボッチがどうして再び地中に逃げたのかは分からないが、ロランはその原因は「太陽」が関わっているのではないかと考えていた。ダイダラボッチは長年の間、日の光の当たらない場所で過ごしていたせいで太陽を浴びておらず、それが原因なのか太陽の光と熱を浴びた時に嫌がっているように見えた。その事を彼は他の者たちに話すと、全員が彼の意見に納得する。
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