1,081 / 1,110
最終章
第1061話 ダイダラボッチの弱点
しおりを挟む
「なるほどな……あのデカブツの弱点は太陽か。まるで御伽噺の吸血鬼みたいだな」
「いや、太陽が弱点というよりは太陽の光に慣れていないといった方がいいだろう。今の所は奴は太陽を直に浴びる事を嫌がっているが、時が経過して太陽の光に慣れ始めれば日中でも活動を行うかもしれん」
「つまり、いずれ奴は外の世界に出てくるという事でござるか?」
「仮に太陽の光が弱点だとしても、夜を迎えれば奴が出てくる可能性が高い」
「今夜に奴が現れたらロラン大将軍の仮説が証明されるという事か……」
『ふむふむ……つまり、奴を倒す好機は夜という事だな!!』
『話を聞いいた?あんなデカブツ、私達でどうにかできる相手じゃない』
ロランの推測を聞いた者達の中で唯一にゴウカだけはダイダラボッチと戦うつもりだったが、他の者はダイダラボッチを一目見た時から戦意を失っていた。
この場に集まっているのは王国の武人の中でも超一流揃いだが、流石にダイダラボッチの巨大さを見せつけられては怖気づくのは仕方がない。大将軍のロランでさえもダイダラボッチに勝てる方法を全く思いつかない。
大きさだけならば張り合える土鯨との戦闘でも、巨人国軍の協力や飛行船があったので何とか対処できたが、今回の場合はどちらも期待はできない。
『お前達、何をそんなにしょげている!!アチイ砂漠に現れた土鯨とやらも相当な化物だと聞いているぞ!!』
「土鯨の時とは状況が違うんだよ。あのときは巨人国軍の軍隊も一緒だったし、それに飛行船で攻撃も仕掛けられた。けど、あの化物は土鯨とは全く違う」
「土鯨の場合は砂漠にいたので砂船を利用して動きを拘束する事はできたでござるが、この場所では同じ事はできないでござる。飛行船の方も確か初代の方は戦闘兵器は搭載されていないのでは?」
「その通りだ。新型の方は戦闘に利用できる兵器はいくつかあるが、旧型の方はあくまでも移動専用機だ。それに仮に兵器を搭載していたとしても、あの化物の力を見ただろう?飛行船で近付けば撃ち落とされるぞ」
ロランはダイダラボッチが自分の身の丈はある巨大剣を投げ飛ばした時の事を思い出し、あの時に投げ放たれた巨大剣は数百メートル先まで吹っ飛んだ。その事を考えるとダイダラボッチに下手に飛行船で接近すれば投擲物で撃ち落とされる可能性が高い。
「奴を倒すにはせめて新型の飛行船を用意しなければならない……だが、そのためには一旦王都まで戻って整備を行う必要がある」
『何!?ここまで来て引き返すのか!?』
「馬鹿野郎、それ以外に方法なんてあるわけねえだろ!!あんな化物、俺達の手でどうにかなる相手じゃねえ!!」
「マジク魔導士かマホ魔導士がいれば何か手は打てたかもしれないが……」
広域魔法を扱える魔導士がいればダイダラボッチに有効打を与える事はできたかもしれないが、マジクは既に死亡してマホも目を覚める様子はない。ここは引き返す以外に方法はないが、それでもダイダラボッチの様子を伺うために見張り役は残さなければならない。
「誰かがここへ残ってダイダラボッチの動向を探る必要がある……シノビ、クノ、悪いがお前達には残ってもらう。この地方の事を詳しいのはお前達だけだからな」
「承知したでござる」
「見張り役ならば我等に任せてくれ」
ロランの言葉にシノビとクノは頷き、二人はこの地方の出身で地理も詳しく、ダイダラボッチの事も他の人間よりは知識がある。なにしろ二人にとっては先祖の故国を滅ぼした仇であり、幼少期からその存在を聞かされていた。
ダイダラボッチの見張り役を残して飛行船は一度王都に帰還し、新型の飛行船の整備を整えてこの地に戻ってダイダラボッチと戦う。それが最善手である事は理解していたが、どれだけの時間が掛かるのか分からないのが大きな不安だった。
(飛行船が王都に帰還している間にダイダラボッチが暴れれば……どれほどの被害が生まれるか想像もできんな)
討伐隊がムサシ地方を離れている間にダイダラボッチが地上に出現し、暴れ回った場合は途轍もない被害が生まれる。もしもダイダラボッチが太陽の光を克服して日中でも動き回れるようになった場合、活動範囲は一気に広まる。
最悪の場合はダイダラボッチが人里まで移動して暴れまわる事であり、この地から最も近いのは「イチノ」だった。イチノはかつてゴブリンキングも襲撃を仕掛けた場所であり、そんな場所にもしもダイダラボッチが訪れれば今度こそイチノは崩壊してしまう。
ロランは飛行船を帰還する前にせめてイチノの住民にダイダラボッチの存在を知らせ、住民を避難させる事ができればと考えているが、この場所からイチノに向かうにしても時間が掛かり過ぎる。既に時刻は夕方を迎えようとしており、もう間もなく夜が訪れる――
――同時刻、飛行船の医療室では大勢の人間が集まっていた。その中にはモモやリーナの姿も有り、二人は心配そうにベッドに横たわるナイの様子を伺う。二人の他にも彼を心配した者達が集まっていた。
「ナイ君……全然起きないね」
「大丈夫だよ、すぐに目を覚ますよ……きっと」
「まさか、あのナイがこんな事になるなんてね」
「ダイダラボッチ……想像以上の化物のようですね」
医療室にはテンはフィルの姿もあり、二人は壁に背中を預けて話し合う。ダイダラボッチが復活した際にナイは攻撃を受け、地面の中に埋もれていた所を救出されたという話は聞かされていた。
ナイの強さを知っている者ほど彼が意識不明の重体で帰ってきた事に衝撃を受け、改めてダイダラボッチがどれほど恐ろしい存在なのかを思い知らされる。そしてロランの報告によればダイダラボッチは夜を迎えると、再び地上に出現する可能性が高いと聞かされ、全員が不安を抱く。
「飛行船の修理は大分急いでいますけど、まだ半分ぐらいしか終わっていないそうです。飛行船を飛ばす事ができないので、もしもダイダラボッチが今夜訪れたとしたら終わりですね」
「怖い事を言うんじゃないよ……ナイはいつ目覚めるんだい?」
「肉体の方はもう完全に治っていますよ。ですけど、今までの疲労が一気に襲い掛かってきてしばらくは目を覚ましません。まあ、朝までには目を覚ますかもしれません」
「朝ね……つまり、ダイダラボッチが現れてもナイの力は借りれないという事か」
「ナイさんが居ても居なくても、話を聞く限りではどうしようもないと思いますけど?」
ダイダラボッチが復活したという報告を聞かされた者達は、正直に言えば半信半疑であり、小さい山ぐらいの大きさを誇る魔物が現れたなど聞かされても簡単に信じられる話ではない。
しかし、それが真実ならばダイダラボッチが現れた場合、討伐隊の中でダイダラボッチと戦える人間は数名も居ない。いくら自分の腕に自信がある武人が集まろうと、土鯨級の大きさを誇るダイダラボッチに攻撃する手段は限られている。
(デカすぎる相手にはあたしのような剛剣の使い手は相性が悪すぎるね……仮にナイが起きていても状況は大して変わらないかもね)
テンやナイやルナのような「剛剣」の使い手は自分よりも体格や筋力が大きく勝る相手とは相性が非常に悪く、残念ながらダイダラボッチが現れたとしても三人は対抗手段がないに等しい。
ダイダラボッチと戦えるとしたら魔術師の魔法が一番有効的だと思われるが、今回の討伐隊の中で魔法が使える人間はマリンぐらいしかいない。一応は魔導士の称号を持つイリアは回復魔法しか扱えず、彼女の場合は後方支援に徹してそもそも戦闘に参加しない。
「話には聞いていたが、まさかダイダラボッチが本当に蘇るとは……これもアンの仕業なのか?」
「どうですかね、そういえばアンは見つかっていないんでしたっけ?」
「ナイが発見された場所にはアンの姿は見かけなかったそうだよ。ついでに牙竜も……」
「ダイダラボッチに殺されたか、あるいは逃げたのか、もしくは……考えていても仕方ないですね」
行方不明となったアンの事も気にはなるが、現時点では討伐隊が気にするべき存在はダイダラボッチ以外に有り得ない。もしもダイダラボッチが本格的に動き出した場合、なんとしてもこの飛行船だけは死守しなければならない。
幸いにもダイダラボッチが復活した場所と飛行船が浮かんでいる湖は距離があり、見つかったとしてもある程度の時間は稼げる。しかし、飛行船を飛ばそうにも現在は修理中のため、もしも今夜ダイダラボッチが襲い掛かってきた場合は討伐隊は移動手段を失う。
ダイダラボッチが飛行船を見つけないように祈るしかないが、だからといってダイダラボッチが他の場所に移動するのも問題だった。特にダイダラボッチがイチノへ向かえば大惨事は免れず、一応は既にイチノには現在の状況を報告しに使者が派遣されている。
「イチノの方々は避難は済んだでしょうか……」
「そんなわけねえだろ……いきなり山の様に巨大なゴブリンが現れて街を襲うかもしれないなんて言われて信じられるか?」
「……確かにね」
アリシアの言葉にガロが反論し、今回ばかりはガロの言葉をテンは否定する事はできなかった。イチノの人間からすればいきなりダイダラボッチの存在を伝えられても簡単に信じられるはずがなく、避難しろと言われても他の街まで移動する手段も時間もない。
今夜のうちにダイダラボッチが動き出すのかどうかが問題であり、テン達は窓の外を見つめて間もなく夜を迎えようとしている事を知る。全員がダイダラボッチが現れない事を祈るが、彼等の願いは虚しく間もなく緑の巨人は動き出そうとしていた――
「いや、太陽が弱点というよりは太陽の光に慣れていないといった方がいいだろう。今の所は奴は太陽を直に浴びる事を嫌がっているが、時が経過して太陽の光に慣れ始めれば日中でも活動を行うかもしれん」
「つまり、いずれ奴は外の世界に出てくるという事でござるか?」
「仮に太陽の光が弱点だとしても、夜を迎えれば奴が出てくる可能性が高い」
「今夜に奴が現れたらロラン大将軍の仮説が証明されるという事か……」
『ふむふむ……つまり、奴を倒す好機は夜という事だな!!』
『話を聞いいた?あんなデカブツ、私達でどうにかできる相手じゃない』
ロランの推測を聞いた者達の中で唯一にゴウカだけはダイダラボッチと戦うつもりだったが、他の者はダイダラボッチを一目見た時から戦意を失っていた。
この場に集まっているのは王国の武人の中でも超一流揃いだが、流石にダイダラボッチの巨大さを見せつけられては怖気づくのは仕方がない。大将軍のロランでさえもダイダラボッチに勝てる方法を全く思いつかない。
大きさだけならば張り合える土鯨との戦闘でも、巨人国軍の協力や飛行船があったので何とか対処できたが、今回の場合はどちらも期待はできない。
『お前達、何をそんなにしょげている!!アチイ砂漠に現れた土鯨とやらも相当な化物だと聞いているぞ!!』
「土鯨の時とは状況が違うんだよ。あのときは巨人国軍の軍隊も一緒だったし、それに飛行船で攻撃も仕掛けられた。けど、あの化物は土鯨とは全く違う」
「土鯨の場合は砂漠にいたので砂船を利用して動きを拘束する事はできたでござるが、この場所では同じ事はできないでござる。飛行船の方も確か初代の方は戦闘兵器は搭載されていないのでは?」
「その通りだ。新型の方は戦闘に利用できる兵器はいくつかあるが、旧型の方はあくまでも移動専用機だ。それに仮に兵器を搭載していたとしても、あの化物の力を見ただろう?飛行船で近付けば撃ち落とされるぞ」
ロランはダイダラボッチが自分の身の丈はある巨大剣を投げ飛ばした時の事を思い出し、あの時に投げ放たれた巨大剣は数百メートル先まで吹っ飛んだ。その事を考えるとダイダラボッチに下手に飛行船で接近すれば投擲物で撃ち落とされる可能性が高い。
「奴を倒すにはせめて新型の飛行船を用意しなければならない……だが、そのためには一旦王都まで戻って整備を行う必要がある」
『何!?ここまで来て引き返すのか!?』
「馬鹿野郎、それ以外に方法なんてあるわけねえだろ!!あんな化物、俺達の手でどうにかなる相手じゃねえ!!」
「マジク魔導士かマホ魔導士がいれば何か手は打てたかもしれないが……」
広域魔法を扱える魔導士がいればダイダラボッチに有効打を与える事はできたかもしれないが、マジクは既に死亡してマホも目を覚める様子はない。ここは引き返す以外に方法はないが、それでもダイダラボッチの様子を伺うために見張り役は残さなければならない。
「誰かがここへ残ってダイダラボッチの動向を探る必要がある……シノビ、クノ、悪いがお前達には残ってもらう。この地方の事を詳しいのはお前達だけだからな」
「承知したでござる」
「見張り役ならば我等に任せてくれ」
ロランの言葉にシノビとクノは頷き、二人はこの地方の出身で地理も詳しく、ダイダラボッチの事も他の人間よりは知識がある。なにしろ二人にとっては先祖の故国を滅ぼした仇であり、幼少期からその存在を聞かされていた。
ダイダラボッチの見張り役を残して飛行船は一度王都に帰還し、新型の飛行船の整備を整えてこの地に戻ってダイダラボッチと戦う。それが最善手である事は理解していたが、どれだけの時間が掛かるのか分からないのが大きな不安だった。
(飛行船が王都に帰還している間にダイダラボッチが暴れれば……どれほどの被害が生まれるか想像もできんな)
討伐隊がムサシ地方を離れている間にダイダラボッチが地上に出現し、暴れ回った場合は途轍もない被害が生まれる。もしもダイダラボッチが太陽の光を克服して日中でも動き回れるようになった場合、活動範囲は一気に広まる。
最悪の場合はダイダラボッチが人里まで移動して暴れまわる事であり、この地から最も近いのは「イチノ」だった。イチノはかつてゴブリンキングも襲撃を仕掛けた場所であり、そんな場所にもしもダイダラボッチが訪れれば今度こそイチノは崩壊してしまう。
ロランは飛行船を帰還する前にせめてイチノの住民にダイダラボッチの存在を知らせ、住民を避難させる事ができればと考えているが、この場所からイチノに向かうにしても時間が掛かり過ぎる。既に時刻は夕方を迎えようとしており、もう間もなく夜が訪れる――
――同時刻、飛行船の医療室では大勢の人間が集まっていた。その中にはモモやリーナの姿も有り、二人は心配そうにベッドに横たわるナイの様子を伺う。二人の他にも彼を心配した者達が集まっていた。
「ナイ君……全然起きないね」
「大丈夫だよ、すぐに目を覚ますよ……きっと」
「まさか、あのナイがこんな事になるなんてね」
「ダイダラボッチ……想像以上の化物のようですね」
医療室にはテンはフィルの姿もあり、二人は壁に背中を預けて話し合う。ダイダラボッチが復活した際にナイは攻撃を受け、地面の中に埋もれていた所を救出されたという話は聞かされていた。
ナイの強さを知っている者ほど彼が意識不明の重体で帰ってきた事に衝撃を受け、改めてダイダラボッチがどれほど恐ろしい存在なのかを思い知らされる。そしてロランの報告によればダイダラボッチは夜を迎えると、再び地上に出現する可能性が高いと聞かされ、全員が不安を抱く。
「飛行船の修理は大分急いでいますけど、まだ半分ぐらいしか終わっていないそうです。飛行船を飛ばす事ができないので、もしもダイダラボッチが今夜訪れたとしたら終わりですね」
「怖い事を言うんじゃないよ……ナイはいつ目覚めるんだい?」
「肉体の方はもう完全に治っていますよ。ですけど、今までの疲労が一気に襲い掛かってきてしばらくは目を覚ましません。まあ、朝までには目を覚ますかもしれません」
「朝ね……つまり、ダイダラボッチが現れてもナイの力は借りれないという事か」
「ナイさんが居ても居なくても、話を聞く限りではどうしようもないと思いますけど?」
ダイダラボッチが復活したという報告を聞かされた者達は、正直に言えば半信半疑であり、小さい山ぐらいの大きさを誇る魔物が現れたなど聞かされても簡単に信じられる話ではない。
しかし、それが真実ならばダイダラボッチが現れた場合、討伐隊の中でダイダラボッチと戦える人間は数名も居ない。いくら自分の腕に自信がある武人が集まろうと、土鯨級の大きさを誇るダイダラボッチに攻撃する手段は限られている。
(デカすぎる相手にはあたしのような剛剣の使い手は相性が悪すぎるね……仮にナイが起きていても状況は大して変わらないかもね)
テンやナイやルナのような「剛剣」の使い手は自分よりも体格や筋力が大きく勝る相手とは相性が非常に悪く、残念ながらダイダラボッチが現れたとしても三人は対抗手段がないに等しい。
ダイダラボッチと戦えるとしたら魔術師の魔法が一番有効的だと思われるが、今回の討伐隊の中で魔法が使える人間はマリンぐらいしかいない。一応は魔導士の称号を持つイリアは回復魔法しか扱えず、彼女の場合は後方支援に徹してそもそも戦闘に参加しない。
「話には聞いていたが、まさかダイダラボッチが本当に蘇るとは……これもアンの仕業なのか?」
「どうですかね、そういえばアンは見つかっていないんでしたっけ?」
「ナイが発見された場所にはアンの姿は見かけなかったそうだよ。ついでに牙竜も……」
「ダイダラボッチに殺されたか、あるいは逃げたのか、もしくは……考えていても仕方ないですね」
行方不明となったアンの事も気にはなるが、現時点では討伐隊が気にするべき存在はダイダラボッチ以外に有り得ない。もしもダイダラボッチが本格的に動き出した場合、なんとしてもこの飛行船だけは死守しなければならない。
幸いにもダイダラボッチが復活した場所と飛行船が浮かんでいる湖は距離があり、見つかったとしてもある程度の時間は稼げる。しかし、飛行船を飛ばそうにも現在は修理中のため、もしも今夜ダイダラボッチが襲い掛かってきた場合は討伐隊は移動手段を失う。
ダイダラボッチが飛行船を見つけないように祈るしかないが、だからといってダイダラボッチが他の場所に移動するのも問題だった。特にダイダラボッチがイチノへ向かえば大惨事は免れず、一応は既にイチノには現在の状況を報告しに使者が派遣されている。
「イチノの方々は避難は済んだでしょうか……」
「そんなわけねえだろ……いきなり山の様に巨大なゴブリンが現れて街を襲うかもしれないなんて言われて信じられるか?」
「……確かにね」
アリシアの言葉にガロが反論し、今回ばかりはガロの言葉をテンは否定する事はできなかった。イチノの人間からすればいきなりダイダラボッチの存在を伝えられても簡単に信じられるはずがなく、避難しろと言われても他の街まで移動する手段も時間もない。
今夜のうちにダイダラボッチが動き出すのかどうかが問題であり、テン達は窓の外を見つめて間もなく夜を迎えようとしている事を知る。全員がダイダラボッチが現れない事を祈るが、彼等の願いは虚しく間もなく緑の巨人は動き出そうとしていた――
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?
mio
ファンタジー
特別になることを望む『平凡』な大学生・弥登陽斗はある日突然亡くなる。
神様に『特別』になりたい願いを叶えてやると言われ、生まれ変わった先は異世界の第7皇子!? しかも母親はなんだかさびれた離宮に追いやられているし、騎士団に入っている兄はなかなか会うことができない。それでも穏やかな日々。
そんな生活も母の死を境に変わっていく。なぜか絡んでくる異母兄弟をあしらいつつ、兄の元で剣に魔法に、いろいろと学んでいくことに。兄と兄の部下との新たな日常に、以前とはまた違った幸せを感じていた。
日常を壊し、強制的に終わらせたとある不幸が起こるまでは。
神様、一つ言わせてください。僕が言っていた特別はこういうことではないと思うんですけど!?
他サイトでも投稿しております。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる