424 / 1,110
ゴブリンキングの脅威
第412話 ミスリルの鎖帷子
しおりを挟む
フックショットを改造して刃を放つだけではなく、手の甲の部分に刃を固定化させる事が出来る様になったらしく、この状態ならば隠し武器として利用できる。ナイの手元に武器がない時でも闘拳に内蔵された刃で戦えるようになった。
「どうじゃ?それならば隠し武器として役に立つぞ」
「うわぁっ……これ、格好いいですね」
「へえ、面白いじゃないかい……もしも敵と戦う時もまさかそんな場所から刃が飛び出すとは思わないだろうね」
「どちらかというと暗殺者の暗器みたいね」
「う~ん、でもそれを付けているといきなり刃物が飛び出しそうで怖いなぁっ……」
隠し武器の機能も搭載したした闘拳を見てテンとヒナは感心するが、モモは若干怖がる。ナイとしては隠し武器は色々と実戦でも役立ちそうで嬉しく思う。
「さあ、次の装備はこいつじゃな」
「あ、それは……」
「しかし、随分とボロボロだな……無茶な使い方をしたな?」
ハマーンが次に取り上げたのは刺剣であり、これまでの戦闘で刺剣の刃は刃毀れが酷く、研ぎ直す必要があった。だが、この際にハマーンは刃を作り直すように助言する。
「こいつはもう限界じゃな……鋼鉄程度の金属ではゴーレムのような魔物には通じんぞ。それに見た所、どうやら風属性の魔石で強化しておるのじゃな」
「はい……前にアルトが取り付けてくれました」
「やはりそうか……それならばもうすこし頑丈な金属の刃でないとこの武器の性能は生かせんぞ」
以前にアルトに改造を施して貰った刺剣だが、彼のお陰で風属性の魔石を利用する事で刺剣を投擲する際は回転力と速度が上昇し、威力を向上させる事に成功した。しかし、その反面に刃の負担が大きくなり、肉体が硬い魔物と戦う時は今のままの刃では限界があった。
ゴーレムとの戦闘ではナイは刺剣を利用しなかったのは硬すぎるからであり、仮にゴーレム種のような相手に刺剣を撃ち込めば刃が壊れる可能性もある。だが、魔法金属製の刃に作り替えれば簡単に壊れたりはしない。
「お前さんが良いのであればこの武器の刃をミスリルに変えてやってもいいが、どうする?」
「えっ!?でも、それってナイ君のお爺ちゃんの……」
「……お願いします」
「ナイ君!?本当に良いの!?」
刺剣がアルの形見である事はヒナとモモも知っており、ナイが武器を改造する事を承諾した事に驚きを隠せない。しかし、ナイは吹っ切れた様に告げる。
「平気だよ。確かに爺ちゃんの形見だけど、壊さない様に大切にしまっておくよりも武器として使った方が爺ちゃんも喜ぶと思うんだ」
「でも……」
「いいじゃないかい、あたしはそういう考えは嫌いじゃないよ。ナイの好きなようにさせてやりな」
「うむ、安心しろ!!必ずや儂の手でこの短剣を強化するからな!!」
ハマーンは刺剣を受け取ると、流石に今すぐにミスリルを加工して刃を作り出す事はできず、一晩貸してほしい事を告げる。最後に彼はナイの鎖帷子に視線を向け、流石にこの装備の強化は彼も無理だった。
「こいつの場合は直したり強化するよりも、新しい防具を身に付けた方が良いと思うぞ」
「そうですか……」
「ふむ、うちの商品の中で防御に優れているのはミスリルの鎖帷子じゃな。確か、一つだけ余っているはずだから持っていくか?」
「ミスリルの鎖帷子!?それってかなり高いんじゃないのかい?」
「いや、前にうちと契約している商人から依頼されて作り出した品物なんじゃが、実は発注の数を誤って一つだけ余分に作ってしまってな……余り物で悪いが、良かった着て見てくれんか?」
「そういう事なら……」
ナイはハマーンが用意してくれたミスリル製の鎖帷子を渡され、試しに装着してみた。前の鎖帷子と重さはそれほど変わらず、それでも魔法金属で構成されているので以前よりも衝撃に強くなって簡単には壊れる事はないという。
「へえ、ミスリルって意外と軽いんですね」
「うむ。重さ自体は鋼鉄よりも軽く、硬度は鋼鉄の数倍は誇るし耐久力も高い。それに魔法に対する耐性も高いから魔法攻撃を受けても損傷を抑えられるぞ」
「それにしてもミスリルの鎖帷子なんて豪勢な物を誰が頼んで作ったんだい?」
「うちのお得意さんだったんだが、最近捕まって商会も解体されたからな……名前は確か、リーバだったか?」
「……それ、もしかしてバーリじゃないかい?」
「おおっ!!そうじゃった!!そんな名前な気がする!!」
テンの言葉にハマーンは頷き、この時にナイ達は何とも言えない表情を浮かべる。どうやらバーリはハマーンから商品を購入していたらしく、ナイ達はハマーンのお得意先の一つを潰してしまったらしい。
バーリとハマーンの意外な繋がりに驚きながらも、ナイはミスリルの鎖帷子を身に付けた状態で動き回り、動作は問題ないことを確認した。これでナイの装備の強化は終わったかと思われたが、ここでハマーンはナイがまだ身に着けている魔法腕輪に視線を向けた。
「どうじゃ?それならば隠し武器として役に立つぞ」
「うわぁっ……これ、格好いいですね」
「へえ、面白いじゃないかい……もしも敵と戦う時もまさかそんな場所から刃が飛び出すとは思わないだろうね」
「どちらかというと暗殺者の暗器みたいね」
「う~ん、でもそれを付けているといきなり刃物が飛び出しそうで怖いなぁっ……」
隠し武器の機能も搭載したした闘拳を見てテンとヒナは感心するが、モモは若干怖がる。ナイとしては隠し武器は色々と実戦でも役立ちそうで嬉しく思う。
「さあ、次の装備はこいつじゃな」
「あ、それは……」
「しかし、随分とボロボロだな……無茶な使い方をしたな?」
ハマーンが次に取り上げたのは刺剣であり、これまでの戦闘で刺剣の刃は刃毀れが酷く、研ぎ直す必要があった。だが、この際にハマーンは刃を作り直すように助言する。
「こいつはもう限界じゃな……鋼鉄程度の金属ではゴーレムのような魔物には通じんぞ。それに見た所、どうやら風属性の魔石で強化しておるのじゃな」
「はい……前にアルトが取り付けてくれました」
「やはりそうか……それならばもうすこし頑丈な金属の刃でないとこの武器の性能は生かせんぞ」
以前にアルトに改造を施して貰った刺剣だが、彼のお陰で風属性の魔石を利用する事で刺剣を投擲する際は回転力と速度が上昇し、威力を向上させる事に成功した。しかし、その反面に刃の負担が大きくなり、肉体が硬い魔物と戦う時は今のままの刃では限界があった。
ゴーレムとの戦闘ではナイは刺剣を利用しなかったのは硬すぎるからであり、仮にゴーレム種のような相手に刺剣を撃ち込めば刃が壊れる可能性もある。だが、魔法金属製の刃に作り替えれば簡単に壊れたりはしない。
「お前さんが良いのであればこの武器の刃をミスリルに変えてやってもいいが、どうする?」
「えっ!?でも、それってナイ君のお爺ちゃんの……」
「……お願いします」
「ナイ君!?本当に良いの!?」
刺剣がアルの形見である事はヒナとモモも知っており、ナイが武器を改造する事を承諾した事に驚きを隠せない。しかし、ナイは吹っ切れた様に告げる。
「平気だよ。確かに爺ちゃんの形見だけど、壊さない様に大切にしまっておくよりも武器として使った方が爺ちゃんも喜ぶと思うんだ」
「でも……」
「いいじゃないかい、あたしはそういう考えは嫌いじゃないよ。ナイの好きなようにさせてやりな」
「うむ、安心しろ!!必ずや儂の手でこの短剣を強化するからな!!」
ハマーンは刺剣を受け取ると、流石に今すぐにミスリルを加工して刃を作り出す事はできず、一晩貸してほしい事を告げる。最後に彼はナイの鎖帷子に視線を向け、流石にこの装備の強化は彼も無理だった。
「こいつの場合は直したり強化するよりも、新しい防具を身に付けた方が良いと思うぞ」
「そうですか……」
「ふむ、うちの商品の中で防御に優れているのはミスリルの鎖帷子じゃな。確か、一つだけ余っているはずだから持っていくか?」
「ミスリルの鎖帷子!?それってかなり高いんじゃないのかい?」
「いや、前にうちと契約している商人から依頼されて作り出した品物なんじゃが、実は発注の数を誤って一つだけ余分に作ってしまってな……余り物で悪いが、良かった着て見てくれんか?」
「そういう事なら……」
ナイはハマーンが用意してくれたミスリル製の鎖帷子を渡され、試しに装着してみた。前の鎖帷子と重さはそれほど変わらず、それでも魔法金属で構成されているので以前よりも衝撃に強くなって簡単には壊れる事はないという。
「へえ、ミスリルって意外と軽いんですね」
「うむ。重さ自体は鋼鉄よりも軽く、硬度は鋼鉄の数倍は誇るし耐久力も高い。それに魔法に対する耐性も高いから魔法攻撃を受けても損傷を抑えられるぞ」
「それにしてもミスリルの鎖帷子なんて豪勢な物を誰が頼んで作ったんだい?」
「うちのお得意さんだったんだが、最近捕まって商会も解体されたからな……名前は確か、リーバだったか?」
「……それ、もしかしてバーリじゃないかい?」
「おおっ!!そうじゃった!!そんな名前な気がする!!」
テンの言葉にハマーンは頷き、この時にナイ達は何とも言えない表情を浮かべる。どうやらバーリはハマーンから商品を購入していたらしく、ナイ達はハマーンのお得意先の一つを潰してしまったらしい。
バーリとハマーンの意外な繋がりに驚きながらも、ナイはミスリルの鎖帷子を身に付けた状態で動き回り、動作は問題ないことを確認した。これでナイの装備の強化は終わったかと思われたが、ここでハマーンはナイがまだ身に着けている魔法腕輪に視線を向けた。
10
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる