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旋斧の秘密
第282話 そもそも魔剣とは何か?
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「ヒイロが持っている烈火は彼女の意志に従って刀身に刃を宿す事が出来る。つまり、火属性の魔力の素質が扱える人間なら炎の魔法剣を扱える事ができるんだ」
「魔法剣……」
「烈火は刀身に宿った炎の形を変化させたり、火力を上昇させる事もできるんですよ!!制御が難しいので滅多にやりませんが……」
「……へっぽこ剣士」
「だ、誰がへっぽこですか!?」
ヒイロは自分の持っている烈火を自慢げに語るが、その隣でミイナが呆れた様に口を挟む。話を聞いていたナイはある疑問を抱く。
「ヒイロは烈火以外の剣に魔法剣を発動させる事はできないの?」
「い、いえ……やろうと思えばできると思いますけど、その場合だと色々と問題があるんです」
「問題?」
「普通の武器で魔法剣を発動しようとすると使用者と武器に大きな負担が掛かる。例えばヒイロが普通の剣で魔法剣を発動させようとすれば、常時火属性の魔力を送り続けなければならない。しかも武器全体が炎に覆われて黒焦げになるだろうね」
「え?でも、烈火は燃えても焦げ跡一つないのに……」
「それは魔剣だからだよ。魔剣とは魔法剣に耐えるために作り出された武器といっても過言ではないからね」
アルトによるとヒイロはその気になれば一応は普通の武器でも魔法剣は発動できるが、その場合だとヒイロの負担が大きくなる。
「ヒイロの烈火は火属性の魔力に強い魔法金属で構成されている。それに柄の部分は魔力を吸収する仕組みが施されているから、柄を通して魔力を吸い上げて刀身に炎を宿す。このお陰で余分な魔力を吸い上げれる事もなく、しかも吸い上げた魔力は一定の間は刀身に宿し続ける。つまり、魔力の節約を行えるんだよ」
「へえっ……それは普通の武器じゃできない事なんだ」
「はい、私も何度か普通の武器で魔法剣を使った事はありますけど、木造製の武器に魔法剣を使えば一瞬で燃えてしまいますし、かといって金属製の武器に使うと熱を宿して私自身が火傷を負いかねませんし……魔剣以外の武器で魔法剣を発動させるのは色々と危険なんです」
魔法金属で構成されている魔剣ならばともかく、普通の武器ではヒイロの魔法剣には耐え切れないらしく、彼女の肉体にも危険を及ぼす可能性が高い。だからこそヒイロは魔法剣を扱う時は烈火以外の武器には使用しない様に心掛けている。
「魔剣はそもそも魔法剣の使い手のために作り出された武器だと言われているからね。ヒイロが所持している烈火は火属性の魔力の使い手と相性がいいんだ。だから僕は彼女にその魔剣を託したんだ」
「え?という事は烈火は元々はアルトが持っていたの?」
「そういう事になるね、前に市場に赴いた時に偶然に売られていたのを買ったんだ。あの時はお買い得だったね、これが魔剣だと気付かずに骨董品として売られていた時は流石に笑ったよ」
「そうだったんですか!?初耳ですよ!?」
「ちなみに私の如意斧はテンから貰った」
「それは前に聞いたような気がする」
「あたしが騎士の時に偶然手に入れたもんだよ。まあ、時々にしか使ってなかったけどね」
ヒイロはアルトから託された烈火がまさか骨董品として売られていた物だとは知らず、彼女はてっきり王国の所有物だと思っていたため、アルトが偶然に手に入れた代物だと知って衝撃を受けた。
魔剣といっても多種多様存在し、ヒイロが所持する烈火は火属性の魔力を宿す事に特化した武器らしく、彼女のように火属性の適正が高い人間しか扱えない。ナイのように聖属性の適正が高い人間では烈火は扱い切れず、魔法剣すら発動させる事もできない。
「ヒイロの烈火は火属性の使い手が扱うために作り出された魔剣だが、ナイ君の旋斧の場合は今の所は分からないな……聖属性の魔力を吸い上げる機能はあるようだが、他の属性の魔力を吸い上げる機能を持つ魔剣なんて聞いた事もない」
「そうなの?」
「反魔の盾のように魔法の力を跳ね返す反鏡剣と呼ばれる魔剣はあるが、あらゆる属性の魔力を吸い上げてそれを刃に宿すような魔剣なんて僕も聞いた事も見た事もない。それほどの魔剣があるのならばどうして今まで無名だったのか……その旋斧は非常に興味深いね」
「そんなに凄い事なの?」
「凄い事さ、例えば君の旋斧は魔術師の砲撃魔法さえも吸収する可能性を持っているんだ。そんな魔剣の事が世間に知れ渡れば大勢の人間が狙うだろうね」
「え~!?そんなの困るよ、また泥棒さんに入られちゃう!!」
アルトの説明を聞いていたモモが声を上げ、ここでナイ達はアルトの元に訪れた理由を思い出す。旋斧の実験に付き合わされて忘れていたが、ここへ来た目的はアルトに相談するためであり、ナイは話を切り上げて彼に自分が泥棒に狙われている件を伝える。
「魔法剣……」
「烈火は刀身に宿った炎の形を変化させたり、火力を上昇させる事もできるんですよ!!制御が難しいので滅多にやりませんが……」
「……へっぽこ剣士」
「だ、誰がへっぽこですか!?」
ヒイロは自分の持っている烈火を自慢げに語るが、その隣でミイナが呆れた様に口を挟む。話を聞いていたナイはある疑問を抱く。
「ヒイロは烈火以外の剣に魔法剣を発動させる事はできないの?」
「い、いえ……やろうと思えばできると思いますけど、その場合だと色々と問題があるんです」
「問題?」
「普通の武器で魔法剣を発動しようとすると使用者と武器に大きな負担が掛かる。例えばヒイロが普通の剣で魔法剣を発動させようとすれば、常時火属性の魔力を送り続けなければならない。しかも武器全体が炎に覆われて黒焦げになるだろうね」
「え?でも、烈火は燃えても焦げ跡一つないのに……」
「それは魔剣だからだよ。魔剣とは魔法剣に耐えるために作り出された武器といっても過言ではないからね」
アルトによるとヒイロはその気になれば一応は普通の武器でも魔法剣は発動できるが、その場合だとヒイロの負担が大きくなる。
「ヒイロの烈火は火属性の魔力に強い魔法金属で構成されている。それに柄の部分は魔力を吸収する仕組みが施されているから、柄を通して魔力を吸い上げて刀身に炎を宿す。このお陰で余分な魔力を吸い上げれる事もなく、しかも吸い上げた魔力は一定の間は刀身に宿し続ける。つまり、魔力の節約を行えるんだよ」
「へえっ……それは普通の武器じゃできない事なんだ」
「はい、私も何度か普通の武器で魔法剣を使った事はありますけど、木造製の武器に魔法剣を使えば一瞬で燃えてしまいますし、かといって金属製の武器に使うと熱を宿して私自身が火傷を負いかねませんし……魔剣以外の武器で魔法剣を発動させるのは色々と危険なんです」
魔法金属で構成されている魔剣ならばともかく、普通の武器ではヒイロの魔法剣には耐え切れないらしく、彼女の肉体にも危険を及ぼす可能性が高い。だからこそヒイロは魔法剣を扱う時は烈火以外の武器には使用しない様に心掛けている。
「魔剣はそもそも魔法剣の使い手のために作り出された武器だと言われているからね。ヒイロが所持している烈火は火属性の魔力の使い手と相性がいいんだ。だから僕は彼女にその魔剣を託したんだ」
「え?という事は烈火は元々はアルトが持っていたの?」
「そういう事になるね、前に市場に赴いた時に偶然に売られていたのを買ったんだ。あの時はお買い得だったね、これが魔剣だと気付かずに骨董品として売られていた時は流石に笑ったよ」
「そうだったんですか!?初耳ですよ!?」
「ちなみに私の如意斧はテンから貰った」
「それは前に聞いたような気がする」
「あたしが騎士の時に偶然手に入れたもんだよ。まあ、時々にしか使ってなかったけどね」
ヒイロはアルトから託された烈火がまさか骨董品として売られていた物だとは知らず、彼女はてっきり王国の所有物だと思っていたため、アルトが偶然に手に入れた代物だと知って衝撃を受けた。
魔剣といっても多種多様存在し、ヒイロが所持する烈火は火属性の魔力を宿す事に特化した武器らしく、彼女のように火属性の適正が高い人間しか扱えない。ナイのように聖属性の適正が高い人間では烈火は扱い切れず、魔法剣すら発動させる事もできない。
「ヒイロの烈火は火属性の使い手が扱うために作り出された魔剣だが、ナイ君の旋斧の場合は今の所は分からないな……聖属性の魔力を吸い上げる機能はあるようだが、他の属性の魔力を吸い上げる機能を持つ魔剣なんて聞いた事もない」
「そうなの?」
「反魔の盾のように魔法の力を跳ね返す反鏡剣と呼ばれる魔剣はあるが、あらゆる属性の魔力を吸い上げてそれを刃に宿すような魔剣なんて僕も聞いた事も見た事もない。それほどの魔剣があるのならばどうして今まで無名だったのか……その旋斧は非常に興味深いね」
「そんなに凄い事なの?」
「凄い事さ、例えば君の旋斧は魔術師の砲撃魔法さえも吸収する可能性を持っているんだ。そんな魔剣の事が世間に知れ渡れば大勢の人間が狙うだろうね」
「え~!?そんなの困るよ、また泥棒さんに入られちゃう!!」
アルトの説明を聞いていたモモが声を上げ、ここでナイ達はアルトの元に訪れた理由を思い出す。旋斧の実験に付き合わされて忘れていたが、ここへ来た目的はアルトに相談するためであり、ナイは話を切り上げて彼に自分が泥棒に狙われている件を伝える。
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