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王都での騒動
第176話 バーリの正体
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「まさか……そのバーリがあんたらの親玉なのか?」
「ち、違う!!バーリ様はただの支援者だ!!」
「支援者?」
「……俺達の組織に多額の援助をしてくれている、その代わりに俺達もバーリ様の商売敵を裏で始末しているんだ」
男によるとバーリは彼が所属する組織に多額の援助を行い、その見返りとしてバーリの邪魔者を裏で排除しているという。そのお陰でバーリ商会は王都でも指折りの商会になったという。
「王都の大商人が悪党と手を組むなんて……」
「ははっ……別にこんな事は珍しくもないぜ?規模が大きい商会ほど裏では色々とやっているもんさ」
「……なら、あの屋敷がお前達の組織の本拠地じゃないのか?」
「ち、違う……けど、俺に聞いても本拠地の場所は知らないぞ。俺達はただの下っ端だからな……本拠地の居場所を知っているとしたら幹部と直属の配下ぐらいだ」
「幹部?」
「本拠地の居場所を知りたかったら幹部に問い質すしかないぞ……まあ、そんな事は不可能だろうがな」
商人の男は捕まっているにも関わらずに徐々に余裕を取り戻した態度を取り、その様子を見てナイは疑問を抱く。先ほどからペラペラと内部情報を話しているが、こうもあっさりと白状されるとナイは拍子抜けする。
「お前、何か企んでいるのか?」
「そんな事はない……こう見えてもいっぱいいっぱいだ。たく、とんでもないガキに声を掛けちまったと後悔してるよ」
「その割には焦っているようには見えないけど?」
「ふっ……そろそろ来る頃合いだと思ってな」
「……来る?」
「ウォンッ!!」
ナイは商人の男の言葉に疑問を抱くと、ここでビャクが何かに気付いたように近くの建物の屋上に視線を向ける。ビャクの反応を見てナイも見上げると、屋根の上に人影が見えた。
他に仲間が隠れていたのかとナイは警戒するが、男の手にはボーガンが握りしめられており、ナイに目掛けて発射する。それを見たナイは咄嗟に避けようとしたが、この時にナイの優れた動体視力が迫りくる矢は自分ではなく、商人の男の元へ向かっている事に気付く。
(なっ!?)
自分に向けてではなく、仲間に向けて矢を発射した男を見てナイは驚くが、今は考えている暇はなく、迫りくる矢に対してナイは咄嗟に右腕に装着した盾で防ぐ。
「くっ!?」
「えっ!?」
「っ……!?」
ゴマンの盾のお陰で矢は弾かれ、ナイに庇われた男は助かった。その一方でボーガンを発射させた屋根の人物はナイが男を守った事に唖然とするが、すぐに新しい矢を装填して狙いを定めようとする。
「くっ……」
「させるか!!」
ナイは刺剣を取り出すと、この時に「投擲」の技能を発動させて男に放つ。投げ放たれた刺剣は見事にボーガンに衝突すると、屋根の上の男は悲鳴を上げてへたり込む。
「ぎゃあっ!?」
「馬鹿、何をしている!!」
「くそっ……殺せっ!!」
どうやら隠れていたのは一人だけではなく、他の建物の屋根からも黒装束で身を包んだ者達が現れてボーガンを構える。ナイに捕まった男は慌てふためく。
「ま、待て!!どうして俺まで!?」
「……組織に役立たずはいらない、お前達を始末するのが我々の役目だ」
「な、何だって!?話が違う!!」
「グルルルッ……!!」
どうやらナイに捕まった者達は見限られたらしく、ここに現れた者達の狙いはナイだけではなく、彼に捕まった仲間も始末するつもりらしい。それを知った男は必死に逃げようとするが、この時にビャクが唸り声を上げる。
屋根の上の男達は地上のビャクの迫力に気圧され、矢を放つのを躊躇する。その隙を逃さずにナイは次々と刺剣を放つ。
「させるか!!」
「ぐあっ!?」
「ぎゃあっ!?」
「ば、馬鹿なっ!?」
地上から放たれた刺剣は男達のボーガンや腕へと突き刺さり、全員が矢を放つ前に阻止されてしまう。更にナイは跳躍の技能を生かし、左右の建物を足場に利用して交互に跳び上がると、屋根の上へと降りたつ。
「はああっ!!」
「なっ……何だこいつは!?」
「こいつ、獣人族だったのか!?」
「くそっ……やるしかないぞ!!」
獣人族並の身軽さで壁を蹴り上げて屋根に移動してきたナイに対して暗殺者たちは短剣を抜き、この時にナイは男達の短剣から妙な臭いを感じとる。恐らくは毒が塗られており、危険を察して攻撃を受けない様に身構える。
「敵は一人だ、やっちまえっ!!」
「うおおおっ!!」
「馬鹿、不用意に突っ込むな!!ここは連携を取って……」
「ふんっ!!」
先走った暗殺者の1人がナイを襲おうと背後から迫るが、それに対してナイは振り返りもせずに盾を装備した右腕を放ち、盾越しに暗殺者を殴りつける。
「ふげぇっ!?」
「うぎゃあっ!?」
「うわっ!?」
「な、何だっ!?」
盾の効果により、殴りつけられた男は衝撃波を受けて派手に吹き飛び、その際に別の人間も巻き込む。他の暗殺者は何が起きたのか分からずに混乱していると、その隙を見逃さずにナイは次の行動に移る。
「ち、違う!!バーリ様はただの支援者だ!!」
「支援者?」
「……俺達の組織に多額の援助をしてくれている、その代わりに俺達もバーリ様の商売敵を裏で始末しているんだ」
男によるとバーリは彼が所属する組織に多額の援助を行い、その見返りとしてバーリの邪魔者を裏で排除しているという。そのお陰でバーリ商会は王都でも指折りの商会になったという。
「王都の大商人が悪党と手を組むなんて……」
「ははっ……別にこんな事は珍しくもないぜ?規模が大きい商会ほど裏では色々とやっているもんさ」
「……なら、あの屋敷がお前達の組織の本拠地じゃないのか?」
「ち、違う……けど、俺に聞いても本拠地の場所は知らないぞ。俺達はただの下っ端だからな……本拠地の居場所を知っているとしたら幹部と直属の配下ぐらいだ」
「幹部?」
「本拠地の居場所を知りたかったら幹部に問い質すしかないぞ……まあ、そんな事は不可能だろうがな」
商人の男は捕まっているにも関わらずに徐々に余裕を取り戻した態度を取り、その様子を見てナイは疑問を抱く。先ほどからペラペラと内部情報を話しているが、こうもあっさりと白状されるとナイは拍子抜けする。
「お前、何か企んでいるのか?」
「そんな事はない……こう見えてもいっぱいいっぱいだ。たく、とんでもないガキに声を掛けちまったと後悔してるよ」
「その割には焦っているようには見えないけど?」
「ふっ……そろそろ来る頃合いだと思ってな」
「……来る?」
「ウォンッ!!」
ナイは商人の男の言葉に疑問を抱くと、ここでビャクが何かに気付いたように近くの建物の屋上に視線を向ける。ビャクの反応を見てナイも見上げると、屋根の上に人影が見えた。
他に仲間が隠れていたのかとナイは警戒するが、男の手にはボーガンが握りしめられており、ナイに目掛けて発射する。それを見たナイは咄嗟に避けようとしたが、この時にナイの優れた動体視力が迫りくる矢は自分ではなく、商人の男の元へ向かっている事に気付く。
(なっ!?)
自分に向けてではなく、仲間に向けて矢を発射した男を見てナイは驚くが、今は考えている暇はなく、迫りくる矢に対してナイは咄嗟に右腕に装着した盾で防ぐ。
「くっ!?」
「えっ!?」
「っ……!?」
ゴマンの盾のお陰で矢は弾かれ、ナイに庇われた男は助かった。その一方でボーガンを発射させた屋根の人物はナイが男を守った事に唖然とするが、すぐに新しい矢を装填して狙いを定めようとする。
「くっ……」
「させるか!!」
ナイは刺剣を取り出すと、この時に「投擲」の技能を発動させて男に放つ。投げ放たれた刺剣は見事にボーガンに衝突すると、屋根の上の男は悲鳴を上げてへたり込む。
「ぎゃあっ!?」
「馬鹿、何をしている!!」
「くそっ……殺せっ!!」
どうやら隠れていたのは一人だけではなく、他の建物の屋根からも黒装束で身を包んだ者達が現れてボーガンを構える。ナイに捕まった男は慌てふためく。
「ま、待て!!どうして俺まで!?」
「……組織に役立たずはいらない、お前達を始末するのが我々の役目だ」
「な、何だって!?話が違う!!」
「グルルルッ……!!」
どうやらナイに捕まった者達は見限られたらしく、ここに現れた者達の狙いはナイだけではなく、彼に捕まった仲間も始末するつもりらしい。それを知った男は必死に逃げようとするが、この時にビャクが唸り声を上げる。
屋根の上の男達は地上のビャクの迫力に気圧され、矢を放つのを躊躇する。その隙を逃さずにナイは次々と刺剣を放つ。
「させるか!!」
「ぐあっ!?」
「ぎゃあっ!?」
「ば、馬鹿なっ!?」
地上から放たれた刺剣は男達のボーガンや腕へと突き刺さり、全員が矢を放つ前に阻止されてしまう。更にナイは跳躍の技能を生かし、左右の建物を足場に利用して交互に跳び上がると、屋根の上へと降りたつ。
「はああっ!!」
「なっ……何だこいつは!?」
「こいつ、獣人族だったのか!?」
「くそっ……やるしかないぞ!!」
獣人族並の身軽さで壁を蹴り上げて屋根に移動してきたナイに対して暗殺者たちは短剣を抜き、この時にナイは男達の短剣から妙な臭いを感じとる。恐らくは毒が塗られており、危険を察して攻撃を受けない様に身構える。
「敵は一人だ、やっちまえっ!!」
「うおおおっ!!」
「馬鹿、不用意に突っ込むな!!ここは連携を取って……」
「ふんっ!!」
先走った暗殺者の1人がナイを襲おうと背後から迫るが、それに対してナイは振り返りもせずに盾を装備した右腕を放ち、盾越しに暗殺者を殴りつける。
「ふげぇっ!?」
「うぎゃあっ!?」
「うわっ!?」
「な、何だっ!?」
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