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王都での騒動
第177話 技能「毒耐性」
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暗殺者が混乱している隙にナイは踏み込み、この際に背中の旋斧は決して利用しない。人間相手に旋斧を使うと殺してしまう可能性があり、仕方ないのでナイは左腕に装着した闘拳で攻撃を仕掛ける。
「ふんっ!!」
「ぐはぁっ!?」
「うわっ!?く、くそっ!!」
「こいつ、何なんだ!?」
残った敵の数は三人だけでその内の一人をナイが殴りつけると、まるで巨人族に殴りつけられたように吹き飛ぶ。その様子を見ていた他の二人は短剣では勝ち目がないと判断して屋根に置いていた壺を取り出す。
「これでも食らいやがれ!!」
「魔獣用の痺れ薬だ!!」
「くっ……!?」
ナイの左右から暗殺者たちは壺の中身を放ち、大量の粉末を放つ。粉末の正体は毒薬でこれを浴びれば巨人族であろうと半日は動く事ができない程の効果があり、それを浴びたナイは口元を抑えるが、吸い込んでしまった。
しばらくするとナイは咳き込み、やがて屋根の上に倒れ込む。その様子を見て暗殺者は毒が効いたと判断し、粉末が風で吹き飛ばされた後に慎重に近づく。
「へへっ……流石に毒には耐え切れなかった」
「恐ろしいガキだぜ……ちっ、さっさと殺すぞ」
「ウォオンッ!!」
ナイの危機を悟ったビャクが地上から声を上げ、その声に反応して暗殺者たちはナイから目を離す。その一瞬の間に気絶したと思われたナイは目を開くと、近付いてきた暗殺者達の頭を掴む。
「「ふがっ!?」」
「これで……お終い!!」
二人の頭を掴んだナイは力ずくで押し倒すと、倒れた際に頭部に衝撃を受けた暗殺者たちは白目を剥いて気絶する。ナイは気絶した二人を見下ろして安堵すると、地上に存在するビャクに親指を立てた。
「ビャク、ありがとう。上手く注意を反らしてくれて助かったよ」
「ウォンッ?」
ビャクはナイを助けたつもりはなく、本当に彼が危機かと思って心配して声をかけたのだが、ナイ自身は平気だった。この時にナイは男が落とした壺を拾い上げ、聞こえていないだろうが語り掛ける。
「毒耐性があるから、これぐらいの毒は効かないんだよね」
――この半年の間にナイは「索敵」の他に「毒耐性」と呼ばれる技能を習得しており、この毒耐性の技能を身に付けたお陰でナイは大抵の毒が効かない体質になった。
この技能を習得した理由は前にナイは誤って毒茸を食べて死にかけた事があり、それを反省して毒耐性の技能を身に付けた。そのお陰でナイは暗殺者が使用した痺れ薬も効かなかったが、敢えて引っかかったふりをして隙を伺い、不意打ちを成功させる。
襲い掛かってきた暗殺者全員を倒す事に成功したナイはとりあえずは地上に降りると、そこには仲間に見捨てられて呆然とする商人の男の姿が存在した。
「ああ、くそっ……あいつら、俺を見捨てやがった!!もう、お終いだ……!!」
「落ち込んでいる所、悪いんだけどさ……まだ質問は終わってないんだけど」
「……もう好きにしてくれ、くそっ!!」
自分が捨てられたと判断した男はやけくそ気味に地面に拳を叩きつけ、そんな男に対してナイは質問を再開する。
「今日、あんたが僕を襲う時に仕掛けた奴等はどうなったのか知っている?」
「捕まったんだろ?話は聞いたぞ、まあ俺はすぐにあの後に離れたからな。捕まっている場面は見ていないが……報告は受けている」
「なら、その時に捕まえた二人の騎士(見習い)を襲ったのはあんたらの仲間の仕業で間違いない?」
「ああ、俺は参加していないが……王国騎士を二人捕まえたと聞いている」
「それならミイナは今は何処にいる?心当たりはないの?」
ヒイロとミイナに襲撃を仕掛けた犯人が人攫いの組織である事が確定し、ミイナの居場所を尋ねると男は考え込む。
「……多分、そいつならバーリの屋敷で見かけたな。相当に暴れたのか、その女を連れてきた連中はボロボロだったよ」
「バーリ?どうしてバーリの屋敷に?」
「ここら辺で人攫いが起きている事は知っているだろう?あれは俺達だけの仕業じゃない……というより、俺達はバーリの指示に従っていただけだ」
「えっ?」
男によると王都の南側の方で多発する誘拐事件の黒幕はバーリの仕業らしく、バーリは自分と繋がっている闇組織の人員を利用して街の住民を攫っていた。そしてナイが捕まえた悪党も彼の指示に従っていただけだと告げる。
「あいつは俺達を利用して街の住民を攫っている理由、それはこの国では本来禁止されている人身売買を裏でやりはじめたからだ」
「人身売買……!?」
「バーリの奴は外国の商人とも縁があってな、その商人と通じてこの国の人間を売り捌いているんだ。要するに住民を捕まえて奴隷として売り捌いているんだよ。人間の奴隷は外国では人気があるからな……」
「何てことを……」
「だが、あいつの目的はそれだけじゃない……バーリは無類の女好きでな、攫われた住民の中には女も多い。そいつらの中でバーリが気に入った女は奴が飽きるまで自分の世話をさせているはずだ……きっと、お前の探しているミイナとやらも捕まってるんじゃないのか?」
「なっ!?」
「ウォンッ!?」
バーリは女好きで捕まえた女性の中で見目麗しい者は自分の元に置くと知り、ナイは攫われたミイナの身が危ない事を知る。彼女は年齢こそ若いが外見は美少女と言っても過言ではなく、女好きのバーリに目を付けられる可能性は高い。
「ふんっ!!」
「ぐはぁっ!?」
「うわっ!?く、くそっ!!」
「こいつ、何なんだ!?」
残った敵の数は三人だけでその内の一人をナイが殴りつけると、まるで巨人族に殴りつけられたように吹き飛ぶ。その様子を見ていた他の二人は短剣では勝ち目がないと判断して屋根に置いていた壺を取り出す。
「これでも食らいやがれ!!」
「魔獣用の痺れ薬だ!!」
「くっ……!?」
ナイの左右から暗殺者たちは壺の中身を放ち、大量の粉末を放つ。粉末の正体は毒薬でこれを浴びれば巨人族であろうと半日は動く事ができない程の効果があり、それを浴びたナイは口元を抑えるが、吸い込んでしまった。
しばらくするとナイは咳き込み、やがて屋根の上に倒れ込む。その様子を見て暗殺者は毒が効いたと判断し、粉末が風で吹き飛ばされた後に慎重に近づく。
「へへっ……流石に毒には耐え切れなかった」
「恐ろしいガキだぜ……ちっ、さっさと殺すぞ」
「ウォオンッ!!」
ナイの危機を悟ったビャクが地上から声を上げ、その声に反応して暗殺者たちはナイから目を離す。その一瞬の間に気絶したと思われたナイは目を開くと、近付いてきた暗殺者達の頭を掴む。
「「ふがっ!?」」
「これで……お終い!!」
二人の頭を掴んだナイは力ずくで押し倒すと、倒れた際に頭部に衝撃を受けた暗殺者たちは白目を剥いて気絶する。ナイは気絶した二人を見下ろして安堵すると、地上に存在するビャクに親指を立てた。
「ビャク、ありがとう。上手く注意を反らしてくれて助かったよ」
「ウォンッ?」
ビャクはナイを助けたつもりはなく、本当に彼が危機かと思って心配して声をかけたのだが、ナイ自身は平気だった。この時にナイは男が落とした壺を拾い上げ、聞こえていないだろうが語り掛ける。
「毒耐性があるから、これぐらいの毒は効かないんだよね」
――この半年の間にナイは「索敵」の他に「毒耐性」と呼ばれる技能を習得しており、この毒耐性の技能を身に付けたお陰でナイは大抵の毒が効かない体質になった。
この技能を習得した理由は前にナイは誤って毒茸を食べて死にかけた事があり、それを反省して毒耐性の技能を身に付けた。そのお陰でナイは暗殺者が使用した痺れ薬も効かなかったが、敢えて引っかかったふりをして隙を伺い、不意打ちを成功させる。
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「ああ、くそっ……あいつら、俺を見捨てやがった!!もう、お終いだ……!!」
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「……もう好きにしてくれ、くそっ!!」
自分が捨てられたと判断した男はやけくそ気味に地面に拳を叩きつけ、そんな男に対してナイは質問を再開する。
「今日、あんたが僕を襲う時に仕掛けた奴等はどうなったのか知っている?」
「捕まったんだろ?話は聞いたぞ、まあ俺はすぐにあの後に離れたからな。捕まっている場面は見ていないが……報告は受けている」
「なら、その時に捕まえた二人の騎士(見習い)を襲ったのはあんたらの仲間の仕業で間違いない?」
「ああ、俺は参加していないが……王国騎士を二人捕まえたと聞いている」
「それならミイナは今は何処にいる?心当たりはないの?」
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「……多分、そいつならバーリの屋敷で見かけたな。相当に暴れたのか、その女を連れてきた連中はボロボロだったよ」
「バーリ?どうしてバーリの屋敷に?」
「ここら辺で人攫いが起きている事は知っているだろう?あれは俺達だけの仕業じゃない……というより、俺達はバーリの指示に従っていただけだ」
「えっ?」
男によると王都の南側の方で多発する誘拐事件の黒幕はバーリの仕業らしく、バーリは自分と繋がっている闇組織の人員を利用して街の住民を攫っていた。そしてナイが捕まえた悪党も彼の指示に従っていただけだと告げる。
「あいつは俺達を利用して街の住民を攫っている理由、それはこの国では本来禁止されている人身売買を裏でやりはじめたからだ」
「人身売買……!?」
「バーリの奴は外国の商人とも縁があってな、その商人と通じてこの国の人間を売り捌いているんだ。要するに住民を捕まえて奴隷として売り捌いているんだよ。人間の奴隷は外国では人気があるからな……」
「何てことを……」
「だが、あいつの目的はそれだけじゃない……バーリは無類の女好きでな、攫われた住民の中には女も多い。そいつらの中でバーリが気に入った女は奴が飽きるまで自分の世話をさせているはずだ……きっと、お前の探しているミイナとやらも捕まってるんじゃないのか?」
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