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忌み子と呼ばれた少年
第56話 倉庫を荒した犯人
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――狩猟を終えた後、ナイ達は村の大人達を呼び出して落とし穴に引っかかったボアを捕獲し、村に連れ帰る事に成功した。村人たちは大物を仕留めたナイとゴマンを褒め称える。
「よくやったな!!これで今夜はご馳走にありつけそうだ!!」
「それにしてもナイはともかく、あの悪ガキだったゴマンがボアを捕まえるとは……」
「どうせナイの手伝いを少ししただけだろ?」
「失礼な事を言うな!!僕がいなければボアなんて捕まえられなかったんだからな!!」
「え~?本当か?なんだか怪しいな……」
「こいつ!!おい、ナイも何か言ってくれよ!!僕のお陰でボアを捕まえる事が出来たってな!!」
「あはは……本当ですよ、ゴマンが手伝ってくれたお陰で捕まえる事が出来ました」
ゴマンをからかう大人達に対してナイは彼も役に立ったことを伝えていると、皆の元に村長がやってきた。村長は辿り着いて早々にゴマンの姿を見かけると、彼の耳を引っ張って怒鳴りつける。
「この馬鹿息子が!!とんでもない事をしでかしおって!!」
「いてててっ!?な、何だよ、親父!?」
「しらばっくれるな!!お主以外にこんな事をする奴がおるか!!食料を盗んだのはお前の仕業だろう!!」
「は、はあっ!?何の話だよ、本当に知らないぞ!?」
急に現れてゴマンを叱りつけてきた村長に周りの人間も戸惑い、ナイがゴマンが食料を盗んだとはどういう意味なのかを尋ねた。
「村長、何かあったんですか?」
「おお、ナイか。すまんな、今はこの馬鹿を説教しなければならん。全く、とんでもない事を……」
「だ、だから知らないってば!!何の話だよ!?」
「何の話もあるか!!冬備えのために保管していた食料が荒らされたんじゃぞ!!」
「ええっ!?」
村長の話によると冬を迎える前に保存しておいた食料が食い荒らされた跡が残っており、食料を荒した犯人は彼は自分の息子だと決めつけていた――
――その後、村長の家に村人は集まり、彼の家の倉庫の様子を伺う。そこには冬に備えて食料が保管されていた様子だが、何があったのか無茶苦茶に荒されていた。
「こいつは酷いな……いったい何があったんだ」
「今朝までは倉庫には食料が確かに保管されていたんじゃ。だが、先ほど倉庫を確認したらこの有様になっておった……だから儂はゴマンのせいじゃと思ったんだが」
「ちょっと待てよ!!僕は今日はずっとナイと一緒に狩猟をやってたんだぞ!?倉庫なんて入ってないし、だいたいどうして僕が自分の家の倉庫を荒すんだよ!!」
「むうっ……言われてみれば確かに」
ゴマンの言葉に村長もばつが悪そうな表情を浮かべ、朝からナイと共に外に出向いていたゴマンが倉庫を荒せるはずがない。村長の話によると昨日までは倉庫は普通の状態だったという。
倉庫を荒したのがゴマンの仕業ではなければ他の人間の仕業になるのだが、村長の倉庫を荒すような人間などこの村にはいない。その事から考えられるとしたら魔物の仕業だと思われるが、その場合だと魔物が村の中に入り込んだ事になる。
「まさか、魔物の仕業か?だが、どうやって魔物がこの中まで潜り込んだんだ?」
「おいおい、見張りの奴等は何をしてたんだよ?魔物に侵入されるなんて……」
「他の家の奴等は無事なのか?」
「くそ、魔物め!!僕に濡れ衣を被せやがって……絶対に許さないからな!!」
荒された倉庫を確認した村人たちは魔物の仕業かと思い込む中、ナイだけは冷静に倉庫の様子を確認し、ここで彼は「観察眼」の技能を発動させた。
(何か怪しい物は……あった、これだ)
倉庫の中を観察していたナイは籠の中に入っていた林檎の残骸を拾い上げ、それを確認した彼は村人に見せつける。
「この林檎を見て、芯の部分まで噛み千切られている」
「あ、本当だ!!でも、芯まで食べるなんて……」
「普通の人間の仕業じゃないな……という事はやっぱり魔物か!?」
「それにここを見て、白い毛が落ちている」
ナイは嚙み千切られた林檎の他に白色の毛が落ちている事に気付き、拾い上げるとそれは髪の毛の類ではなく、動物の毛皮のような触感だと気付く。
よくよく観察すると倉庫の中には毛が幾つも落ちており、この事から考えられるのは倉庫を荒したのは白い毛皮の魔物か動物という事になる。
「きっと、狼か何かが入り込んできたんだよ。何処かに足跡が残ってないかな?」
「足跡……あ、もしかして!!」
「何か心当たりがあるのか?」
「そういえば昨日の夜、僕が便所に行った時に窓の外で白い狼のようなのを見かけたような……でも、あの時は寝ぼけていたからただの見間違いかと思ったけど」
「おいおい、という事は村の中に狼が入り込んだのか!?」
「それはまずいだろ……見張りの連中は何してたんだよ!!」
倉庫を荒したのが狼の可能性がある事が高まると村人たちは騒ぎ出し、急いで村の中を捜索して狼を探し出す必要があった。村長はすぐに狼が入り込んだ可能性を村人全員に伝え、大人達は総出で捜索を行わせる。
「よくやったな!!これで今夜はご馳走にありつけそうだ!!」
「それにしてもナイはともかく、あの悪ガキだったゴマンがボアを捕まえるとは……」
「どうせナイの手伝いを少ししただけだろ?」
「失礼な事を言うな!!僕がいなければボアなんて捕まえられなかったんだからな!!」
「え~?本当か?なんだか怪しいな……」
「こいつ!!おい、ナイも何か言ってくれよ!!僕のお陰でボアを捕まえる事が出来たってな!!」
「あはは……本当ですよ、ゴマンが手伝ってくれたお陰で捕まえる事が出来ました」
ゴマンをからかう大人達に対してナイは彼も役に立ったことを伝えていると、皆の元に村長がやってきた。村長は辿り着いて早々にゴマンの姿を見かけると、彼の耳を引っ張って怒鳴りつける。
「この馬鹿息子が!!とんでもない事をしでかしおって!!」
「いてててっ!?な、何だよ、親父!?」
「しらばっくれるな!!お主以外にこんな事をする奴がおるか!!食料を盗んだのはお前の仕業だろう!!」
「は、はあっ!?何の話だよ、本当に知らないぞ!?」
急に現れてゴマンを叱りつけてきた村長に周りの人間も戸惑い、ナイがゴマンが食料を盗んだとはどういう意味なのかを尋ねた。
「村長、何かあったんですか?」
「おお、ナイか。すまんな、今はこの馬鹿を説教しなければならん。全く、とんでもない事を……」
「だ、だから知らないってば!!何の話だよ!?」
「何の話もあるか!!冬備えのために保管していた食料が荒らされたんじゃぞ!!」
「ええっ!?」
村長の話によると冬を迎える前に保存しておいた食料が食い荒らされた跡が残っており、食料を荒した犯人は彼は自分の息子だと決めつけていた――
――その後、村長の家に村人は集まり、彼の家の倉庫の様子を伺う。そこには冬に備えて食料が保管されていた様子だが、何があったのか無茶苦茶に荒されていた。
「こいつは酷いな……いったい何があったんだ」
「今朝までは倉庫には食料が確かに保管されていたんじゃ。だが、先ほど倉庫を確認したらこの有様になっておった……だから儂はゴマンのせいじゃと思ったんだが」
「ちょっと待てよ!!僕は今日はずっとナイと一緒に狩猟をやってたんだぞ!?倉庫なんて入ってないし、だいたいどうして僕が自分の家の倉庫を荒すんだよ!!」
「むうっ……言われてみれば確かに」
ゴマンの言葉に村長もばつが悪そうな表情を浮かべ、朝からナイと共に外に出向いていたゴマンが倉庫を荒せるはずがない。村長の話によると昨日までは倉庫は普通の状態だったという。
倉庫を荒したのがゴマンの仕業ではなければ他の人間の仕業になるのだが、村長の倉庫を荒すような人間などこの村にはいない。その事から考えられるとしたら魔物の仕業だと思われるが、その場合だと魔物が村の中に入り込んだ事になる。
「まさか、魔物の仕業か?だが、どうやって魔物がこの中まで潜り込んだんだ?」
「おいおい、見張りの奴等は何をしてたんだよ?魔物に侵入されるなんて……」
「他の家の奴等は無事なのか?」
「くそ、魔物め!!僕に濡れ衣を被せやがって……絶対に許さないからな!!」
荒された倉庫を確認した村人たちは魔物の仕業かと思い込む中、ナイだけは冷静に倉庫の様子を確認し、ここで彼は「観察眼」の技能を発動させた。
(何か怪しい物は……あった、これだ)
倉庫の中を観察していたナイは籠の中に入っていた林檎の残骸を拾い上げ、それを確認した彼は村人に見せつける。
「この林檎を見て、芯の部分まで噛み千切られている」
「あ、本当だ!!でも、芯まで食べるなんて……」
「普通の人間の仕業じゃないな……という事はやっぱり魔物か!?」
「それにここを見て、白い毛が落ちている」
ナイは嚙み千切られた林檎の他に白色の毛が落ちている事に気付き、拾い上げるとそれは髪の毛の類ではなく、動物の毛皮のような触感だと気付く。
よくよく観察すると倉庫の中には毛が幾つも落ちており、この事から考えられるのは倉庫を荒したのは白い毛皮の魔物か動物という事になる。
「きっと、狼か何かが入り込んできたんだよ。何処かに足跡が残ってないかな?」
「足跡……あ、もしかして!!」
「何か心当たりがあるのか?」
「そういえば昨日の夜、僕が便所に行った時に窓の外で白い狼のようなのを見かけたような……でも、あの時は寝ぼけていたからただの見間違いかと思ったけど」
「おいおい、という事は村の中に狼が入り込んだのか!?」
「それはまずいだろ……見張りの連中は何してたんだよ!!」
倉庫を荒したのが狼の可能性がある事が高まると村人たちは騒ぎ出し、急いで村の中を捜索して狼を探し出す必要があった。村長はすぐに狼が入り込んだ可能性を村人全員に伝え、大人達は総出で捜索を行わせる。
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