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巨人国 侵攻編
巨人国の四柱将
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「まあまあ、落ち着いて下さい。デブリ王子もそんなに興奮しないでよ」
「申し訳ありません師匠!!しかし、こいつが……」
「ちょっと待て、師匠とはどういう事だ?まさか、一国の王子を貴殿は弟子にしているのか!?」
「そういう訳じゃないんですけど……まあ、そこら辺の説明は割愛して今度はこっちの質問に答えてください」
説明するのも面倒になってきたルノはギルスと向かい合い、座るように促す。今の状況では逆らう事は不利と判断したギルスは仕方なくルノの指示に従い、レナ達はお互いに向かいながら座り込む。
「まずは改めて自己紹介させてください。俺は帝国に住んでいる初級魔術師のルノです」
「……巨人国、四柱将のギルスだ」
「四柱将?」
「師匠、巨人国では四人の将軍しか存在しないんです。彼等は四柱将と呼ばれています」
「へえ……」
巨人国にも帝国四天王のような制度が存在する事にルノは関心を抱き、しかも帝国では四天王以外の将軍が存在するのに対して巨人国ではその四柱将以外には将軍は存在しないという。それで国が成り立つのか不思議に思うが、四柱将以外にも将軍の役割を持つ特別な役職の兵士が存在するらしい。
「四柱将と言っても別に将軍が四人だけで、他にも兵士を指揮する立場の「兵士長」と呼ばれる隊長がいる。この場に捕まった巨人の中にも兵士長は居る」
「そうだったんですか。じゃあ、普通の兵士の上に立つのが隊長、その上が兵士長、更に上が四柱将という感じですか?」
「まあ……そういう事になるな」
帝国では少なくとも数十人の将軍が存在するに対し、巨人国では四人の将軍しか存在しない。代わりに兵士長と呼ばれる兵隊を纏める立場の役職が存在するらしく、帝国の制度とは根本的に違っていた。
「なるほど、という事はギルスさんの他に三人の将軍が居るんですね?」
「そういう事だ……言っておくが俺は四柱将と言っても他の三人と比べれば実力が最も低い」
「そんな!!何を言ってるんですかギルス将軍!!」
「将軍は立派に戦われております!!」
ギルスの言葉に地中に埋もれている兵士長達が騒ぎ出すが、彼等の言葉を聞いてもギルスは首を振り、他の三人がどれほど優れているのかを話す。
「俺は四柱将に選ばれたのは10年ほど前だが、他の三人は数十年も四柱将を務めている。一番上の老将軍に至っては今年で80を迎えるのに未だに現役で戦場を駆け巡る恐ろしい御方だ」
「老将軍……ギリョウさんみたいな人かな?」
「帝国の鬼人か……確かに奴も強いが、それでも俺の見立てでは老将軍の方が武勇は勝るだろう。何しろあの方は未だに牙竜を追いかけ回す程の元気な御方だからな」
「それは……凄いですね」
牙竜という言葉にルノとリディアは荷が笑いを浮かべ、その牙竜をあっさりと捕獲して服従させた事がある二人なので老将軍の凄さがいまいち伝わらない。そんな彼等の反応が気に入らなかったのか、続けてギルスは他の二人の事も自慢げに話す。
「言っておくが他の二人も老将軍に負けず劣らずの猛将だぞ。一人は俺と同期に軍隊に入ったパワードという男だが、こいつは俺よりも10年も早く四柱将の座に上がった。過去に何度か獣人国の猛者と呼ばれているガオン将軍と交戦し、撃退している。お前達もガオン将軍の名前は知っているだろう?」
「うん、まあ……良く知ってます」
「あのおっさんの事ね……」
「ん?」
ギルスの言葉にルノとリディアはより一層に微妙な表情を浮かべ、獣人国で遭遇したガオンの事を思い出す。最初に出会った時にルノに勝負を挑んであっさりと敗れ、その後は何だかんだで和解しているが、そもそもルノとリディアはガオンの実力をよく知らないまま別れてしまったのでギルスの話を聞いてもやはり凄さは伝わらない。
いい加減に反応が小さいルノ達に対してギルスは苛立ちを隠しきれず、最後に自分が最も信頼し、巨人国の英雄と呼ばれている四柱将の名前を明かす。
「ならばあの火竜を撃退したリキ将軍は知っているか!?あの方は20代の頃、部隊を率いて王都へ責めてきた火竜に深手を負わせ、見事に国を救った男だぞ!!」
「な、何だって!?あの火竜を……!!」
「へえ……それは凄いわね」
デブリはギルスの言葉を聞いて驚愕の表情を浮かべ、流石に竜種を撃退したという話はリディアも感心するが、過去に火竜を「単独」でしかも「討伐」したことがあるルノはギルスの話を聞き終えてもどう反応すればいいのか分からず、とりあえず頭に思いついた一言を告げた。
「え、それだけですか……?」
「そ、それだけだと!?」
「いや、その……ごめんなさい、とにかく他の三人の将軍も凄い方……なんですよね?」
「貴様、話を聞いていたのか!!あの火竜だぞ!?災害の象徴と呼ばれる存在を撃退したと聞いて何も思わないのか!!」
「う~ん……」
ギルスの怒鳴り声を聞いてもルノにとっては竜種がそもそも危険な存在と言われてもぴんとこず、恐らくはこの世界の竜種の殆どを討伐しているルノにとってはギルスの話はいまいち凄さが伝わらなかった。
※竜種<ルノ
「申し訳ありません師匠!!しかし、こいつが……」
「ちょっと待て、師匠とはどういう事だ?まさか、一国の王子を貴殿は弟子にしているのか!?」
「そういう訳じゃないんですけど……まあ、そこら辺の説明は割愛して今度はこっちの質問に答えてください」
説明するのも面倒になってきたルノはギルスと向かい合い、座るように促す。今の状況では逆らう事は不利と判断したギルスは仕方なくルノの指示に従い、レナ達はお互いに向かいながら座り込む。
「まずは改めて自己紹介させてください。俺は帝国に住んでいる初級魔術師のルノです」
「……巨人国、四柱将のギルスだ」
「四柱将?」
「師匠、巨人国では四人の将軍しか存在しないんです。彼等は四柱将と呼ばれています」
「へえ……」
巨人国にも帝国四天王のような制度が存在する事にルノは関心を抱き、しかも帝国では四天王以外の将軍が存在するのに対して巨人国ではその四柱将以外には将軍は存在しないという。それで国が成り立つのか不思議に思うが、四柱将以外にも将軍の役割を持つ特別な役職の兵士が存在するらしい。
「四柱将と言っても別に将軍が四人だけで、他にも兵士を指揮する立場の「兵士長」と呼ばれる隊長がいる。この場に捕まった巨人の中にも兵士長は居る」
「そうだったんですか。じゃあ、普通の兵士の上に立つのが隊長、その上が兵士長、更に上が四柱将という感じですか?」
「まあ……そういう事になるな」
帝国では少なくとも数十人の将軍が存在するに対し、巨人国では四人の将軍しか存在しない。代わりに兵士長と呼ばれる兵隊を纏める立場の役職が存在するらしく、帝国の制度とは根本的に違っていた。
「なるほど、という事はギルスさんの他に三人の将軍が居るんですね?」
「そういう事だ……言っておくが俺は四柱将と言っても他の三人と比べれば実力が最も低い」
「そんな!!何を言ってるんですかギルス将軍!!」
「将軍は立派に戦われております!!」
ギルスの言葉に地中に埋もれている兵士長達が騒ぎ出すが、彼等の言葉を聞いてもギルスは首を振り、他の三人がどれほど優れているのかを話す。
「俺は四柱将に選ばれたのは10年ほど前だが、他の三人は数十年も四柱将を務めている。一番上の老将軍に至っては今年で80を迎えるのに未だに現役で戦場を駆け巡る恐ろしい御方だ」
「老将軍……ギリョウさんみたいな人かな?」
「帝国の鬼人か……確かに奴も強いが、それでも俺の見立てでは老将軍の方が武勇は勝るだろう。何しろあの方は未だに牙竜を追いかけ回す程の元気な御方だからな」
「それは……凄いですね」
牙竜という言葉にルノとリディアは荷が笑いを浮かべ、その牙竜をあっさりと捕獲して服従させた事がある二人なので老将軍の凄さがいまいち伝わらない。そんな彼等の反応が気に入らなかったのか、続けてギルスは他の二人の事も自慢げに話す。
「言っておくが他の二人も老将軍に負けず劣らずの猛将だぞ。一人は俺と同期に軍隊に入ったパワードという男だが、こいつは俺よりも10年も早く四柱将の座に上がった。過去に何度か獣人国の猛者と呼ばれているガオン将軍と交戦し、撃退している。お前達もガオン将軍の名前は知っているだろう?」
「うん、まあ……良く知ってます」
「あのおっさんの事ね……」
「ん?」
ギルスの言葉にルノとリディアはより一層に微妙な表情を浮かべ、獣人国で遭遇したガオンの事を思い出す。最初に出会った時にルノに勝負を挑んであっさりと敗れ、その後は何だかんだで和解しているが、そもそもルノとリディアはガオンの実力をよく知らないまま別れてしまったのでギルスの話を聞いてもやはり凄さは伝わらない。
いい加減に反応が小さいルノ達に対してギルスは苛立ちを隠しきれず、最後に自分が最も信頼し、巨人国の英雄と呼ばれている四柱将の名前を明かす。
「ならばあの火竜を撃退したリキ将軍は知っているか!?あの方は20代の頃、部隊を率いて王都へ責めてきた火竜に深手を負わせ、見事に国を救った男だぞ!!」
「な、何だって!?あの火竜を……!!」
「へえ……それは凄いわね」
デブリはギルスの言葉を聞いて驚愕の表情を浮かべ、流石に竜種を撃退したという話はリディアも感心するが、過去に火竜を「単独」でしかも「討伐」したことがあるルノはギルスの話を聞き終えてもどう反応すればいいのか分からず、とりあえず頭に思いついた一言を告げた。
「え、それだけですか……?」
「そ、それだけだと!?」
「いや、その……ごめんなさい、とにかく他の三人の将軍も凄い方……なんですよね?」
「貴様、話を聞いていたのか!!あの火竜だぞ!?災害の象徴と呼ばれる存在を撃退したと聞いて何も思わないのか!!」
「う~ん……」
ギルスの怒鳴り声を聞いてもルノにとっては竜種がそもそも危険な存在と言われてもぴんとこず、恐らくはこの世界の竜種の殆どを討伐しているルノにとってはギルスの話はいまいち凄さが伝わらなかった。
※竜種<ルノ
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