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巨人国 侵攻編
巨人国の野望
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「というか、肝心の事を聞いてないわよ。どうして急に巨人国が同盟を破って帝国領地に侵入してきたのかを教えなさいよ」
「あ、そうだった」
「……国王様の命令だ。それ以外に答えるきはない」
「貴様!!そんな説明で納得できると思うのか!!国同士の同盟を破る事がどれほど大変な事になるのか分かるのか!?」
「あんたがいうと説得力がないわね……」
かつて帝国に内密に領地に侵入し、大量の薬草を採取しただけではなく、成人の儀式を受けるために部下を引き連れて侵入してきたデブリの言葉にルノとリディアは微妙な表情を浮かべる。結果的にはバルトロス帝国とエルフ王国の同盟は維持されたが、本来デブリの行為は許される事ではない。
最もデブリも反省し、エルフ王国側にも事情が存在したので帝国は多額の賠償金で見逃したが、元を正せばデブリが帝国へ忍び込むように誘導したのも魔王軍の仕業である。その事を理解しているのでルノもリディアも何も言わず、特に当事者でもあるリディアは気まずそうに顔を逸らす。
「さあ答えろ、どうして巨人国の王は帝国との同盟を破棄した!!そんな事をすればお前達の国は獣人国と帝国を敵に回すのだぞ!!」
「……生憎だが、獣人国は我等を襲う事はない。彼等の国で内乱が起きている事を知らないのか?」
「な、何だと……!?」
巨人国の方でも獣人国が国王の急逝によって王子たちの跡目争いが勃発し、国内で王子同士が戦を行っている事を把握していた。だからこそ同盟を破棄したとしても内乱が起きている獣人国が動くことはないと判断し、前々から軍隊を送り込んでいた帝国領地へ侵攻を仕掛けたという。
「帝国の方でも帝都で大きな騒動が起きている事も我々は把握している。お前の国であるエルフ王国へ軍隊を派遣させている事もな……」
「ど、どうしてその事を……!?」
「我々にはある伝手で他国の情報を得ている。今こそが巨人国が大陸の覇権を掴む好機だと国王は宣言された……我々はそれに従っただけだ」
「き、貴様……!!」
情報の伝達手段が乏しいはずのこの世界で他国の情報を知り尽くしているギルスに対してデブリは歯を食いしばり、ルノとリディアも不思議に思う。獣人国が内乱を引き起こしている事はともかく、帝国がエルフ王国へ派遣を行った事は最近の出来事なのにどうして遠方の巨人国の軍隊がその事を知っているのか気になった。まるで実際に誰かが見て報告を行ったように感じられ、ルノはどうやってその情報を得たのか尋ねる。
「どうやって貴方達は情報を得たんですか?」
「……答える必要はない」
「魔王軍でしょ?いえ、クズノといった方がいいかしら?」
「なっ!?」
ルノの質問に対してギルスは拒否を示したが、リディアの言葉を聞いて彼は目を見開く。その反応を見てリディアはため息を吐き出し、彼等に情報を流していたのがクズノだと悟った。
「やっぱりあの男が動いているのね……ルノ、あんたも知ってるでしょう?魔王軍の中には自由自在に転移する能力を持つ幹部が居た事を」
「ああ、あの双子の事?」
「正確に言えばいあいつらが所持していた杖が重要なのよ。あれは神器の一つで名前は「転移杖」と呼ばれていたわ。それをクズノが回収して利用して世界中を移動しているのね」
「ど、どういう事だ!!何故、お前達が奴の名前を……!?」
クズノという単語が出て来た事にギルスは動揺を隠せず、リディアは簡単に彼等に情報を流していた男の正体を話す。
「いい?あんた等に情報を流していたのはクズノとかいう性格最悪で陰湿で女にモテなさそうなダサい帽子の男でしょう?」
「だ、確かに奇抜な帽子を常に被っていたが……」
「そいつは魔王軍と呼ばれる組織のボスよ。魔王軍の事はあんた達も知ってるでしょう?」
「魔王軍だと……」
「確か、帝国で問題行動を起こしている組織か……?」
「そんな奴がどうして我々に情報を……?」
魔王軍の存在は他国にも知れ渡っていたらしく、首だけの状態の兵士長達が騒ぎ出す。ギルスもまさかクズノの正体が魔王軍だと知り、動揺を隠せない。
「し、しかし……奴が魔王軍であろうとなかろうと、巨人国に奴が持ってきた情報は全て正しかった!!奴が何者であろうと我々には関係ない」
「馬鹿ねあんた、あいつが無償でそんな重要な情報を流すと思ってるの?あんたらは利用されていたのよ。いえ、あんたらだけじゃないわ。バルトロス帝国も、エルフ王国も、獣人国も、そしてあんた達の国も奴の掌の上で弄ばれていたのよ」
「ど、どういう意味だ!?」
「つまり、獣人国の内乱も、エルフ王国に昆虫種の大群が復活したのも、帝国がこれまでに何度も危機に訪れたのは魔王軍の仕業なんです」
ルノ達はこれまでの魔王軍の悪行を事細かに説明し、リディアは自分が一時期だけ魔王軍に所属していた事、デブリは自分の国が崩壊した事を話すと、最初は懐疑的だったギルス達も話の辻褄が合う事を知って徐々に顔色を青くした。
「あ、そうだった」
「……国王様の命令だ。それ以外に答えるきはない」
「貴様!!そんな説明で納得できると思うのか!!国同士の同盟を破る事がどれほど大変な事になるのか分かるのか!?」
「あんたがいうと説得力がないわね……」
かつて帝国に内密に領地に侵入し、大量の薬草を採取しただけではなく、成人の儀式を受けるために部下を引き連れて侵入してきたデブリの言葉にルノとリディアは微妙な表情を浮かべる。結果的にはバルトロス帝国とエルフ王国の同盟は維持されたが、本来デブリの行為は許される事ではない。
最もデブリも反省し、エルフ王国側にも事情が存在したので帝国は多額の賠償金で見逃したが、元を正せばデブリが帝国へ忍び込むように誘導したのも魔王軍の仕業である。その事を理解しているのでルノもリディアも何も言わず、特に当事者でもあるリディアは気まずそうに顔を逸らす。
「さあ答えろ、どうして巨人国の王は帝国との同盟を破棄した!!そんな事をすればお前達の国は獣人国と帝国を敵に回すのだぞ!!」
「……生憎だが、獣人国は我等を襲う事はない。彼等の国で内乱が起きている事を知らないのか?」
「な、何だと……!?」
巨人国の方でも獣人国が国王の急逝によって王子たちの跡目争いが勃発し、国内で王子同士が戦を行っている事を把握していた。だからこそ同盟を破棄したとしても内乱が起きている獣人国が動くことはないと判断し、前々から軍隊を送り込んでいた帝国領地へ侵攻を仕掛けたという。
「帝国の方でも帝都で大きな騒動が起きている事も我々は把握している。お前の国であるエルフ王国へ軍隊を派遣させている事もな……」
「ど、どうしてその事を……!?」
「我々にはある伝手で他国の情報を得ている。今こそが巨人国が大陸の覇権を掴む好機だと国王は宣言された……我々はそれに従っただけだ」
「き、貴様……!!」
情報の伝達手段が乏しいはずのこの世界で他国の情報を知り尽くしているギルスに対してデブリは歯を食いしばり、ルノとリディアも不思議に思う。獣人国が内乱を引き起こしている事はともかく、帝国がエルフ王国へ派遣を行った事は最近の出来事なのにどうして遠方の巨人国の軍隊がその事を知っているのか気になった。まるで実際に誰かが見て報告を行ったように感じられ、ルノはどうやってその情報を得たのか尋ねる。
「どうやって貴方達は情報を得たんですか?」
「……答える必要はない」
「魔王軍でしょ?いえ、クズノといった方がいいかしら?」
「なっ!?」
ルノの質問に対してギルスは拒否を示したが、リディアの言葉を聞いて彼は目を見開く。その反応を見てリディアはため息を吐き出し、彼等に情報を流していたのがクズノだと悟った。
「やっぱりあの男が動いているのね……ルノ、あんたも知ってるでしょう?魔王軍の中には自由自在に転移する能力を持つ幹部が居た事を」
「ああ、あの双子の事?」
「正確に言えばいあいつらが所持していた杖が重要なのよ。あれは神器の一つで名前は「転移杖」と呼ばれていたわ。それをクズノが回収して利用して世界中を移動しているのね」
「ど、どういう事だ!!何故、お前達が奴の名前を……!?」
クズノという単語が出て来た事にギルスは動揺を隠せず、リディアは簡単に彼等に情報を流していた男の正体を話す。
「いい?あんた等に情報を流していたのはクズノとかいう性格最悪で陰湿で女にモテなさそうなダサい帽子の男でしょう?」
「だ、確かに奇抜な帽子を常に被っていたが……」
「そいつは魔王軍と呼ばれる組織のボスよ。魔王軍の事はあんた達も知ってるでしょう?」
「魔王軍だと……」
「確か、帝国で問題行動を起こしている組織か……?」
「そんな奴がどうして我々に情報を……?」
魔王軍の存在は他国にも知れ渡っていたらしく、首だけの状態の兵士長達が騒ぎ出す。ギルスもまさかクズノの正体が魔王軍だと知り、動揺を隠せない。
「し、しかし……奴が魔王軍であろうとなかろうと、巨人国に奴が持ってきた情報は全て正しかった!!奴が何者であろうと我々には関係ない」
「馬鹿ねあんた、あいつが無償でそんな重要な情報を流すと思ってるの?あんたらは利用されていたのよ。いえ、あんたらだけじゃないわ。バルトロス帝国も、エルフ王国も、獣人国も、そしてあんた達の国も奴の掌の上で弄ばれていたのよ」
「ど、どういう意味だ!?」
「つまり、獣人国の内乱も、エルフ王国に昆虫種の大群が復活したのも、帝国がこれまでに何度も危機に訪れたのは魔王軍の仕業なんです」
ルノ達はこれまでの魔王軍の悪行を事細かに説明し、リディアは自分が一時期だけ魔王軍に所属していた事、デブリは自分の国が崩壊した事を話すと、最初は懐疑的だったギルス達も話の辻褄が合う事を知って徐々に顔色を青くした。
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