最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

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帝都防衛編

岩人形の弱点

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「しかし、よりにもよって岩人形の大群とは……乾期でなければそれほど脅威な存在ではないのだが」
「え?そうなんですか?」
「岩人形の弱点は水です。雨でも降れば勝手に自滅しますよ」
「そうなの?」


岩人形という存在を知らないルノとしてはリーリスの答えに驚き、この際に岩人形の詳しい生態を尋ねる(事前にある程度の情報は聞いているが)。


「岩人形に水を浴びせればそんなに簡単に倒せるの?」
「そうですね。大量の水を浴びせれば岩人形の肉体は崩壊します。内部に存在する核は無事ですが、肉体の再生には時間が掛かります」
「どんな岩人形も?」
「ええ、何故か煉瓦や岩石で構成された個体でも水を浴びると身体が崩れてしまうんです。しかも魔法の水以外にも効果はあります」
「うむ。そのお陰で奴等は水場を避けて通る」
「へえっ……」


水が弱点と聞いたルノは先日の日の国で編み出した魔法を思い出し、戦闘の際には天空に巨大な氷塊を作り上げ、岩人形の大群に浴びせようかと考えたが、1万を超える岩人形の大群を飲み干す程の水量を生み出すとなると肉体の負担も大きいだろう。


「そういえばリーリスよ、お主の開発した道具の中に水を扱う物はなかったか?ほら、お主が四天王に就任した際にデキンの奴に水を浴びせた事があっただろう?」
「ああ、はいはい。水大砲の事ですね?洒落で作った奴をデキン大臣が新兵器と勘違いして暴発させた奴ですね。あの時は本当に大変でしたね~」
「うむ。あの筒のような物から水の塊が飛び出して訓練場を水浸しにした兵器か」
「そんなの作ってたんだ」
「作ったというか、悪戯心で計画書を書いていたら勝手に技術班の作り上げちゃったんですよ。威力の調整に失敗して只の水をまき散らす大砲になっちゃいましたけど」


ルノが召喚される前、リーリスが四天王に就任したばかりの頃、彼女が冗談で書いていた計画書を新兵器と勘違いされて作り出した魔道具が存在した。その名前は「水大砲」という水属性の魔石を利用して放水を行えるという魔道具らしく、威力に難点があったために現在は使用禁止されて武器庫の奥底に保管されているらしい。


「あの魔道具を量産し、防壁に配備すれば岩人形に対抗できるのではないか?」
「そうですね。二週間もあればそれなりの数も作り出せるとは思いますけど、あれはコストかかりますよ?特に水属性の魔石を大量に必要としますから」
「ふむ……水属性の魔石はそれなりに高価だからのう。今から用意しても間に合うかどうか」
「冒険者の中からも水属性の魔法を扱える魔術師だけは無条件で呼び寄せるのはどうでしょうか?そうすれば防壁の上から水属性の砲撃魔法を打ち込めますし、有利に動くかと……」
「よし、やれる事は全てやるしかない……水属性を扱える魔術師の職業の冒険者だけはランクに関係なく呼び寄せてくれ。それと城の倉庫から回復薬と魔力回復薬などの薬品も点検も頼むぞ」
「はい!!」
「はいはい」


バルトスの言葉にアイラとリーリスが会議室を退出し、一先ずは最低限の準備を整えた。このまま籠城を行い、岩人形が帝都まで到着するまで動かず、防壁で彼等を迎え撃つ。しかし、それだけで本当に危機を乗り越えられるのか疑問を抱き、ルノは質問を行う。


「岩人形に他に弱点はないんですか?」
「特にないのう……生物と違い、岩人形は基本的に餌を求めない。だから奴等は自分の縄張りを犯す存在にしか本来は襲わないはずなのだが、今回のように大群を率いて人間が住む地域に攻め込むなど歴史上でも初めての出来事だろう」
「それに儂等も岩人形の存在を知っていても、実際に戦うのは初めての者が多い。知識として知っていても実際の相手はどれほどの脅威なのかは戦闘が始まるまでは分からん」
「ああっ……今が乾期でなければ雨さえ降れば自滅してくれるというのに」
「雨か……」


どれほどの大群だろうと雨が降り注げば岩人形は肉体を崩壊して自滅する事は間違いはない。しかし、帝国領地は現在は乾季を迎えているため、岩人形が到達する前に雨が降り注ぐことは期待できない。


「あの……さっきの話に戻るんですけど、そんなに水属性の魔石は高いんですか?」
「む?まあ、高いと言えば高いな。火属性は比較的に安く入手できるが、水属性の場合は手に入る場所が海底や湖の底だからな……人魚族の力を借りねば入手は困難じゃ」
「人魚族?」
「この帝都には滅多に訪れないが、水中で暮らす魔人族の事だ。最も魔人族と言っても彼等は人間に友好的で海や湖に住んでいる事から陸地に興味は持たない。だから人魚族は他の種族と争う事はない」
「なるほど」


人魚という言葉にルノは興味を抱き、一目見てみたいと思うが、今は岩人形の対応策を考える事が先決であり、気を取り直して別の方法を考える。
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