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弱肉強食の島編
牛人族の長との対面
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――同時刻、牛人族が住処とする湖の岸辺にて大勢のダークエルフが集まっていた。その先頭に立っているのがレナであり、彼の前には住処を守るために筏船に乗り込んだ数名のミノタウロス、そして年老いたミノタウロスが1匹だけ立っていた。
「お前達、何をしに来た!!ここは我々の住処だぞ!!」
「我々と戦いにきたのか!?」
「待て……どうやら戦う気はないようじゃ、ここまで来たというのに何もしかけて来ないという事は儂等と話し合いたいのじゃろう?」
集まってきたダークエルフ達を見て若いミノタウロス達は騒ぎ出すが、すぐに牛人族の長だけは集まってきたダークエルフの中に子供や老人も混じっている事に気付く。そして彼はダークエルフ達の前に立っているレナに視線を向け、彼が人間である事を見抜いた。
レナの隣にはハルナと族長も立っており、後ろにはアンジュとサーシャも立っていた。仮に戦いに来たのならばわざわざ子供や老人を連れてくる事はあり得ず、牛人族の長は用件を尋ねる。
「久しいな、ダークエルフの族長よ……儂に用があるのか?」
「うむ、その前にお主の方から儂等に言う事はないのか?」
「はて……心当たりはないが」
「そんなはずはないだろう!!我々の里を襲撃し、そして仲間を拘束しているはずだ!!」
「何じゃと……!?」
牛人族の長はアンジュの言葉を聞いて衝撃の表情を浮かべ、この時に彼の護衛を行っていたミノタウロス達が焦った表情を浮かべる。それを見逃さず、牛人族の長は問い質す。
「それはどういう意味だ……お前達、何か知っているのか!?」
「そ、それは……」
「白牛将の命令なので……」
「なんという事を……儂に黙って奴は他の部族に手を出したというのか!!」
「じゃあ、牛人族の長はダークエルフ達を攻撃した事を知らなかったんですね」
長は嘆くように頭を抑え、その様子を見てレナは事前にアイリスから聞いていた情報通りに彼がダークエルフの里の襲撃には関わっていない事を確信する。しかし、彼の配下は白牛将の行動を把握していたらしく、故意に牛人族の長に黙っていたらしい。
「バルカン達はどうした!?ここに捕まっているのか!?」
「どうなのだ、お前達!!早く答えろ!!」
「いや、いない……奴等は白牛将が何処かへ連れて行った」
「そのバルカンという男だけは……もう始末した」
「な、なんじゃと……殺したのか!?」
「バルカン……」
流石にバルカンが死んだ事だけは他のダークエルフ達も何か思う所があるらしく、彼の死を聞いて族長は目元を抑え、アンジュとサーシャも衝撃を受けた表情を浮かべた。レナもアイリスから事前に聞いていたとはいえ、こればかりは自分から話すわけにもいかなかった。
長は自分の知らぬところで白牛将が動き出し、更にダークエルフを捕まえてしかも1人殺してしまった事に動揺を隠せない。当然だがダークエルフからすれば牛人族が一方的に攻めてきたと判断し、こちら側を攻める口実を与えてしまった。
「ダークエルフの族長よ、まさかここへ来たのは我々を滅ぼすつもりか?だが、話を聞いてくれ。この一件は儂もあずかり知らぬ事……どうか話だけでも聞いてくれんか?」
「……本音を言えば、仲間を殺されたとあれば儂等も黙ってはおられん。だが、バルカンは既に追放した身……奴に付いてきた他の者さえ返してくれれば今回の一件は水に流すつもりだった。しかし、どうやらお主は長としての役割を果たしておらぬな」
「……その通りだ、儂は年老いた。こうして儂を慕っている者もここにいる数名のみ、もう殆どの戦士は白牛将に忠誠を誓ってしまったようじゃ」
族長の言葉に長は頷き、もう自分の求心力が落ちている事は理解していた。しかし、それでも彼は牛人族の未来のためにここで争う事はならないと判断し、頭を下げた。
「今回の一件、儂が責任を取って奴を処罰しよう。もう二度とお前達の里には攻めさせはしない……必ず捕まえたダークエルフ達も返す。だから、ここは退いてくれぬか?」
「……説得力がない。貴方はもう白牛将に軽んじられている」
「そうだ!!だいたいそんな話、信じられるか!!」
アンジュとサーシャは長の話を聞いても信じられず、実際に白牛将の暴走を長が抑えきれなかったからこそ今回の事件は起きた。だが、牛人族の長も都合の良い事を話している事は理解しており、話を続ける。
「勿論、お主等が儂の事を信じられぬは仕方あるまい。だから今この場で儂の首を渡そう」
「何だと!?」
「白牛将を抑えられない時点で儂は長としての役割は果たせなかった。ならば、せめて儂の首を切るがいい。そして奴に見せつければ必ずやあの用心深い男はお主等を警戒するだろう」
「長、何を言っておられるのですか!?」
「お辞め下さい!!貴方が死ぬことは……」
「そうですよ、勝手に話を進めないでください」
自決して今回の一件の責任を取ろうとする長に対してミノタウロスは引き留めるが、レナとしてもそんな事は望んでいなかった。
「お前達、何をしに来た!!ここは我々の住処だぞ!!」
「我々と戦いにきたのか!?」
「待て……どうやら戦う気はないようじゃ、ここまで来たというのに何もしかけて来ないという事は儂等と話し合いたいのじゃろう?」
集まってきたダークエルフ達を見て若いミノタウロス達は騒ぎ出すが、すぐに牛人族の長だけは集まってきたダークエルフの中に子供や老人も混じっている事に気付く。そして彼はダークエルフ達の前に立っているレナに視線を向け、彼が人間である事を見抜いた。
レナの隣にはハルナと族長も立っており、後ろにはアンジュとサーシャも立っていた。仮に戦いに来たのならばわざわざ子供や老人を連れてくる事はあり得ず、牛人族の長は用件を尋ねる。
「久しいな、ダークエルフの族長よ……儂に用があるのか?」
「うむ、その前にお主の方から儂等に言う事はないのか?」
「はて……心当たりはないが」
「そんなはずはないだろう!!我々の里を襲撃し、そして仲間を拘束しているはずだ!!」
「何じゃと……!?」
牛人族の長はアンジュの言葉を聞いて衝撃の表情を浮かべ、この時に彼の護衛を行っていたミノタウロス達が焦った表情を浮かべる。それを見逃さず、牛人族の長は問い質す。
「それはどういう意味だ……お前達、何か知っているのか!?」
「そ、それは……」
「白牛将の命令なので……」
「なんという事を……儂に黙って奴は他の部族に手を出したというのか!!」
「じゃあ、牛人族の長はダークエルフ達を攻撃した事を知らなかったんですね」
長は嘆くように頭を抑え、その様子を見てレナは事前にアイリスから聞いていた情報通りに彼がダークエルフの里の襲撃には関わっていない事を確信する。しかし、彼の配下は白牛将の行動を把握していたらしく、故意に牛人族の長に黙っていたらしい。
「バルカン達はどうした!?ここに捕まっているのか!?」
「どうなのだ、お前達!!早く答えろ!!」
「いや、いない……奴等は白牛将が何処かへ連れて行った」
「そのバルカンという男だけは……もう始末した」
「な、なんじゃと……殺したのか!?」
「バルカン……」
流石にバルカンが死んだ事だけは他のダークエルフ達も何か思う所があるらしく、彼の死を聞いて族長は目元を抑え、アンジュとサーシャも衝撃を受けた表情を浮かべた。レナもアイリスから事前に聞いていたとはいえ、こればかりは自分から話すわけにもいかなかった。
長は自分の知らぬところで白牛将が動き出し、更にダークエルフを捕まえてしかも1人殺してしまった事に動揺を隠せない。当然だがダークエルフからすれば牛人族が一方的に攻めてきたと判断し、こちら側を攻める口実を与えてしまった。
「ダークエルフの族長よ、まさかここへ来たのは我々を滅ぼすつもりか?だが、話を聞いてくれ。この一件は儂もあずかり知らぬ事……どうか話だけでも聞いてくれんか?」
「……本音を言えば、仲間を殺されたとあれば儂等も黙ってはおられん。だが、バルカンは既に追放した身……奴に付いてきた他の者さえ返してくれれば今回の一件は水に流すつもりだった。しかし、どうやらお主は長としての役割を果たしておらぬな」
「……その通りだ、儂は年老いた。こうして儂を慕っている者もここにいる数名のみ、もう殆どの戦士は白牛将に忠誠を誓ってしまったようじゃ」
族長の言葉に長は頷き、もう自分の求心力が落ちている事は理解していた。しかし、それでも彼は牛人族の未来のためにここで争う事はならないと判断し、頭を下げた。
「今回の一件、儂が責任を取って奴を処罰しよう。もう二度とお前達の里には攻めさせはしない……必ず捕まえたダークエルフ達も返す。だから、ここは退いてくれぬか?」
「……説得力がない。貴方はもう白牛将に軽んじられている」
「そうだ!!だいたいそんな話、信じられるか!!」
アンジュとサーシャは長の話を聞いても信じられず、実際に白牛将の暴走を長が抑えきれなかったからこそ今回の事件は起きた。だが、牛人族の長も都合の良い事を話している事は理解しており、話を続ける。
「勿論、お主等が儂の事を信じられぬは仕方あるまい。だから今この場で儂の首を渡そう」
「何だと!?」
「白牛将を抑えられない時点で儂は長としての役割は果たせなかった。ならば、せめて儂の首を切るがいい。そして奴に見せつければ必ずやあの用心深い男はお主等を警戒するだろう」
「長、何を言っておられるのですか!?」
「お辞め下さい!!貴方が死ぬことは……」
「そうですよ、勝手に話を進めないでください」
自決して今回の一件の責任を取ろうとする長に対してミノタウロスは引き留めるが、レナとしてもそんな事は望んでいなかった。
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