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弱肉強食の島編
罠に嵌められたのは……
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「あれ?兄貴、あいつら戻ってきましたよ」
「何だと?」
配下の言葉を聞いて白牛将は慌てて起き上がると、そこには確かに慌てた様子で戻ってくる男達の姿が存在した。戻ってきた彼等を見て白牛将は訝しみ、何事かを問い質す。
「おい、何で戻って来た!!奴等に追い返されたのか!?」
「はあっ、はあっ……ち、違います!!誰も、誰もいないんだ!!」
「何だと!?そんなわけがあるか!!」
「ほ、本当ですって!!確かに洞窟の奥には里がありましたけど、誰も見当たらないんだ!!」
男達の言葉を聞いて白牛将は訝しみ、彼等が嘘を吐いていたらすぐに臭いで気づくのだが、どういうわけなのか彼等からは嘘の臭いは感じない。だが、隠れ里の中にダークエルフがいないなど有り得ず、すぐに白牛将は確かめる事にした。
「中に入るぞ!!半分はここへ残れ、もしも逃げ出そうとする奴等がいたら捕まえろ!!」
『へいっ!!』
白牛将は半分の仲間を残して自ら滝の裏の洞窟に入り込み、その奥に存在する隠れ家へと向かう。この際に強制的にダークエルフの男達も連れ出し、一緒に隠れ里へ向かう。
周囲を岩壁に覆い込まれた隠れ里を確認した白牛将は驚き、先に入らせた男達の言う通りに中には誰もいなかった。だが、確かにここに他のダークエルフの住民がいた事は間違いなく、臭いは残っていた。
「おい、何処に隠れている!!逃げても無駄だぞ、大人しく出てくれば命だけは助けてやる!!」
白牛将は怒鳴り散らすが、隠れていると思われるダークエルフたちが現れる様子はない。ここで待ち伏せして中に入り込んできた自分達を襲うつもりかと思ったが、どうにも様子がおかしい。
「アンジュ、サーシャ!!聞こえるか、この臆病者共!!白牛将である俺が来てやったぞ!!恐れずに出て来い、この腰抜けめ!!」
「……出て来やせんね」
「本当に隠れているのか……?」
ダークエルフの戦士長達が短気なのは白牛将も良く知っており、もしもこの場にアンジュが隠れていたら挑発に我慢できずに襲い掛かって来ただろう。しかし、いくら怒鳴り散らしてもダークエルフ達が現れる様子がない。
「くそ、どうなっている……おい、お前等!!隈なく探し出せ、もしもダークエルフを見つけたらすぐに俺に知らせろ!!」
「へいっ!!」
「それと洞窟もしっかりと見張っておけ!!もしも誰か逃げ出そうとしたり、出入口を塞ごうとしたらすぐに俺を呼べ!!」
万が一にも洞窟を塞がれると隠れ里に閉じ込められてしまい、逃げ場を失う。そうならないために白牛将は洞窟を見張らせ、里の中を隈なく捜査した。敵が潜伏している事を想定し、慎重に行動を心掛ける。
だが、牛人族の心配とは裏腹に本当に里の中には誰も存在せず、確かにここにダークエルフが存在した証拠は残っているが、肝心のダークエルフの姿が見えない。しかも罠を張っている様子もなく、白牛将の元に牛人族は集まって報告を行う。
「北側、調べつくしましたが見当たりませんでした!!」
「西側も同じです!!」
「東側もいませんでした!!」
「そんな馬鹿な……なら、奴等は何処に消えた!?他に隠れ家あるのか!?」
白牛将は部下からの報告を聞いて苛立ちを隠しきれずに近くの建物に拳を叩きつけ、その衝撃だけで壁に罅が入り、その様子を見ていた他の牛人族は恐れを抱く。白牛将は連れてきたダークエルフの男達に視線を向け、首根っこを掴んで問い質す。
「おい!!本当にこの場所の事は知らないのか!?何処かに隠れられる場所があるんじゃないのか!?」
「ぐええっ……!?」
「や、止めろ!!離せよ、死んじまう!!」
「俺達は本当に何も知らないんだよ!!こんな場所があるなんて聞いてない!!嘘じゃない、信じてくれよ!!」
ダークエルフ達を痛めつけて問い質しても彼等は何も知らないと言い張り、しかも自分の鋭い嗅覚が彼等が嘘を吐いていない事を知らせる。それだけに白牛将は混乱し、どうして隠れ里に誰もいないのかと考える。
(くそっ、隠れ里は本当にあったのに何故奴等はいない!?俺達を呼び寄せて罠に嵌めようとしていたんじゃないのか……まさか、外に隠れていたのか!?)
ここで白牛将は洞窟の外に待機させている他の仲間の事を思い出し、もしや最初からダークエルフ達は隠れ里の外で待ち伏せし、まんまと隠れ里に入り込んだ自分達を襲うつもりではなかったのかと考える。
洞窟の見張りのために白牛将は半数の仲間を外に待機させたが、自分達が里に入っている間に外に待機させた仲間の身を案じた彼は洞窟を駆け抜け、外へ飛び出す。すると、そこには異様な光景が広がっていた。
「お前等、無事か……!?」
「あれ?兄貴、どうかしたんですか?」
「何か忘れものですか?」
そこには洞窟の外で見張りを行いながら座り込むミノタウロス達の姿を確認し、白牛将は唖然とした。外に待機させていた仲間も無事である事から彼は本当にダークエルフ達が隠れ里を放棄して逃げ出したと知る。
「何だと?」
配下の言葉を聞いて白牛将は慌てて起き上がると、そこには確かに慌てた様子で戻ってくる男達の姿が存在した。戻ってきた彼等を見て白牛将は訝しみ、何事かを問い質す。
「おい、何で戻って来た!!奴等に追い返されたのか!?」
「はあっ、はあっ……ち、違います!!誰も、誰もいないんだ!!」
「何だと!?そんなわけがあるか!!」
「ほ、本当ですって!!確かに洞窟の奥には里がありましたけど、誰も見当たらないんだ!!」
男達の言葉を聞いて白牛将は訝しみ、彼等が嘘を吐いていたらすぐに臭いで気づくのだが、どういうわけなのか彼等からは嘘の臭いは感じない。だが、隠れ里の中にダークエルフがいないなど有り得ず、すぐに白牛将は確かめる事にした。
「中に入るぞ!!半分はここへ残れ、もしも逃げ出そうとする奴等がいたら捕まえろ!!」
『へいっ!!』
白牛将は半分の仲間を残して自ら滝の裏の洞窟に入り込み、その奥に存在する隠れ家へと向かう。この際に強制的にダークエルフの男達も連れ出し、一緒に隠れ里へ向かう。
周囲を岩壁に覆い込まれた隠れ里を確認した白牛将は驚き、先に入らせた男達の言う通りに中には誰もいなかった。だが、確かにここに他のダークエルフの住民がいた事は間違いなく、臭いは残っていた。
「おい、何処に隠れている!!逃げても無駄だぞ、大人しく出てくれば命だけは助けてやる!!」
白牛将は怒鳴り散らすが、隠れていると思われるダークエルフたちが現れる様子はない。ここで待ち伏せして中に入り込んできた自分達を襲うつもりかと思ったが、どうにも様子がおかしい。
「アンジュ、サーシャ!!聞こえるか、この臆病者共!!白牛将である俺が来てやったぞ!!恐れずに出て来い、この腰抜けめ!!」
「……出て来やせんね」
「本当に隠れているのか……?」
ダークエルフの戦士長達が短気なのは白牛将も良く知っており、もしもこの場にアンジュが隠れていたら挑発に我慢できずに襲い掛かって来ただろう。しかし、いくら怒鳴り散らしてもダークエルフ達が現れる様子がない。
「くそ、どうなっている……おい、お前等!!隈なく探し出せ、もしもダークエルフを見つけたらすぐに俺に知らせろ!!」
「へいっ!!」
「それと洞窟もしっかりと見張っておけ!!もしも誰か逃げ出そうとしたり、出入口を塞ごうとしたらすぐに俺を呼べ!!」
万が一にも洞窟を塞がれると隠れ里に閉じ込められてしまい、逃げ場を失う。そうならないために白牛将は洞窟を見張らせ、里の中を隈なく捜査した。敵が潜伏している事を想定し、慎重に行動を心掛ける。
だが、牛人族の心配とは裏腹に本当に里の中には誰も存在せず、確かにここにダークエルフが存在した証拠は残っているが、肝心のダークエルフの姿が見えない。しかも罠を張っている様子もなく、白牛将の元に牛人族は集まって報告を行う。
「北側、調べつくしましたが見当たりませんでした!!」
「西側も同じです!!」
「東側もいませんでした!!」
「そんな馬鹿な……なら、奴等は何処に消えた!?他に隠れ家あるのか!?」
白牛将は部下からの報告を聞いて苛立ちを隠しきれずに近くの建物に拳を叩きつけ、その衝撃だけで壁に罅が入り、その様子を見ていた他の牛人族は恐れを抱く。白牛将は連れてきたダークエルフの男達に視線を向け、首根っこを掴んで問い質す。
「おい!!本当にこの場所の事は知らないのか!?何処かに隠れられる場所があるんじゃないのか!?」
「ぐええっ……!?」
「や、止めろ!!離せよ、死んじまう!!」
「俺達は本当に何も知らないんだよ!!こんな場所があるなんて聞いてない!!嘘じゃない、信じてくれよ!!」
ダークエルフ達を痛めつけて問い質しても彼等は何も知らないと言い張り、しかも自分の鋭い嗅覚が彼等が嘘を吐いていない事を知らせる。それだけに白牛将は混乱し、どうして隠れ里に誰もいないのかと考える。
(くそっ、隠れ里は本当にあったのに何故奴等はいない!?俺達を呼び寄せて罠に嵌めようとしていたんじゃないのか……まさか、外に隠れていたのか!?)
ここで白牛将は洞窟の外に待機させている他の仲間の事を思い出し、もしや最初からダークエルフ達は隠れ里の外で待ち伏せし、まんまと隠れ里に入り込んだ自分達を襲うつもりではなかったのかと考える。
洞窟の見張りのために白牛将は半数の仲間を外に待機させたが、自分達が里に入っている間に外に待機させた仲間の身を案じた彼は洞窟を駆け抜け、外へ飛び出す。すると、そこには異様な光景が広がっていた。
「お前等、無事か……!?」
「あれ?兄貴、どうかしたんですか?」
「何か忘れものですか?」
そこには洞窟の外で見張りを行いながら座り込むミノタウロス達の姿を確認し、白牛将は唖然とした。外に待機させていた仲間も無事である事から彼は本当にダークエルフ達が隠れ里を放棄して逃げ出したと知る。
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