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外伝 ~ヨツバ王国編~
石像と化す仲間達
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「ば、馬鹿なっ……!?」
「流石にこれだけの人数を石化させるのは苦労したわ……けど、もう貴方だけよ」
――ギンタロウの視線の先には魔の草原に無数の石像が存在し、自分以外の全ての人間が既に石化している事に気付く。東聖将軍の兵士も、守備将軍の兵士も、冒険者達でさえも全員が一人残らず石像と化した状態で立ち尽くしていた。
石像と化した味方の姿を見てギンタロウが考えたのは「有り得ない」という言葉であり、彼等全員がキラウと視線を交わしたとは思えなかった。彼女が姿を晒したのはつい先ほどで数千人の人間と視線を交わす時間などない。仮にキラウが一人ではなく、何十人も居たとしたら全員と視線を交わす機会はあるかもしれないが、キラウは一人しか存在しない。
「一体何が……ぐぅっ!?」
「貴方もそろそろ終わりの様ね。中々の魔法耐性を持っていたようだけど、これまでよ」
周囲の光景を目にしたギンタロウの肉体にも異変が生じ始め、突如として身体が硬直を起こし、下半身から感覚が牛なっていく。一体自分の身に何が起きているのかギンタロウは理解するのにそれほど時間は掛からず、自分自身も「石化」していく事に気付く。
(馬鹿なっ!?俺はまだ、この声の人物と視線を交わしてはいないはずだぞ……!?)
キラウの瞳を直視していないはずのギンタロウでさえも身体が徐々に石化していき、必死に身体を動かそうとするが、既に下半身は完全に石像と化して動けない。それでもギンタロウは首だけを動かして背後に存在するはずのキラウに怒鳴りつける。
「キラウッ……貴様ぁあああっ!!」
「……終わりよ」
ギンタロウはキラウの顔を確認した瞬間、彼女の魔眼を直視した瞬間に石化が一気に進行し、完全な石像と化す。その様子を確認したキラウは先に石化させたクレナイに視線を向け、自分の役目を終えたことを確認する。
「存外、つまらない仕事だったわね……もうお前達に用はない。逝きなさい」
『アアッ……』
事前に死霊術でアンデッドに変異させた兵士達にキラウは視線を向けると、面倒そうに指を鳴らす。その直後、アンデッドの大群は倒れ込み、その様子を確認したキラウは溜息を吐きながら一度だけ振り返り、神妙な表情を浮かべた。
この魔の草原に彼女が訪れた時、東聖将軍と守備将軍の戦場にて彼女は強い闇属性の魔力を感じ取った。その魔力はキラウに匹敵する、あるいは彼女以上の魔力を感じられたが、今現在は何も感じない。その事に彼女が違和感を抱く。
「……気のせいかしらね。さて、今度はオロナ鉱山ね」
キラウは草原を後にすると、カレハの命令通りに今度は連絡が途絶えた南聖将軍の様子を伺うために南方へ向かう――
――キラウが立ち去ってからしばらく経過した後、草原に雨が降り注ぐ。石像と化した者達は雨に打たれても本人は何も感じず、自分が石化した事にも気づいていないだろう。しかし、石化から逃れた青年が一人だけ存在した。
「うぐっ、げほげほっ……な、何だ?何が起きたんだ……?」
石化を免れたのは闇の聖痕が疼き、気絶していたダインは目を覚ますと、周囲の光景を確認して呆然とする。目を覚ましたら周りの人間全員が石像と化しており、慌てて立ち上がったダインは仲間達の石像に近付く。
「お、おい……ゴンゾウ!!シズネ!!嘘だろ、おい!?」
自分の傍に居たゴンゾウとシズネの石像にダインは駆け寄り、声を掛けるが二人は自分の両手を見つめた状態で石像と化していた。どうやら唐突に石化を始めた自身の肉体に驚いた状態で石化したらしく、他にもダインはジャンヌやミナの石像が存在する事に気付いた。
「そんな……ジャンヌ、ミナ、ロウガのおっさんまで……」
石像と化したのは二人だけではなく、ジャンヌ、ミナ、ロウガ、他にもガロ、モリモ、キン、ギン、ドウ、あらゆる人間が石像となっていた。それを見たダインは膝を崩し、自分の闇の聖痕を摩る。
「一体何が起きたんだよ……くそぉっ!!」
気絶する寸前、ダインは闇の聖痕の力でこの草原に得体の知れない何かが接近している事には気づいたが、警告を行う前に魔力の消耗と闇の聖痕の影響のせいで気絶してしまう。降り注ぐ雨に打たれた事で意識は取り戻したが、結局は自分以外の全ての人間が石像と化した事にダインは絶望する。
身体が汚れるのも気にせずにダインは何度も地面に拳を打ち付け、涙を流す。だが、そんな彼の背後から近づく人影が存在し、ダインの肩を掴む。
「……ダイン」
「えっ……その声、もしかしてコトミンか!?」
「ぷるるんっ!!」
ダインは驚いて振り返ると、そこには雨を吸収した事で元の大きさに戻ったスラミンを抱えるコトミンの姿が存在し、彼女が無事だった事を知ってダインは歓喜の表情を浮かべて抱き着こうとした。
「こ、コトミン!!」
「そういうのはいい」
「あいてっ!?」
だが、抱き着こうとしてきたダインに対してコトミンは彼の顔を掴んで止めると、周囲の光景を確認して彼女も何が起きたのかを問う。
「流石にこれだけの人数を石化させるのは苦労したわ……けど、もう貴方だけよ」
――ギンタロウの視線の先には魔の草原に無数の石像が存在し、自分以外の全ての人間が既に石化している事に気付く。東聖将軍の兵士も、守備将軍の兵士も、冒険者達でさえも全員が一人残らず石像と化した状態で立ち尽くしていた。
石像と化した味方の姿を見てギンタロウが考えたのは「有り得ない」という言葉であり、彼等全員がキラウと視線を交わしたとは思えなかった。彼女が姿を晒したのはつい先ほどで数千人の人間と視線を交わす時間などない。仮にキラウが一人ではなく、何十人も居たとしたら全員と視線を交わす機会はあるかもしれないが、キラウは一人しか存在しない。
「一体何が……ぐぅっ!?」
「貴方もそろそろ終わりの様ね。中々の魔法耐性を持っていたようだけど、これまでよ」
周囲の光景を目にしたギンタロウの肉体にも異変が生じ始め、突如として身体が硬直を起こし、下半身から感覚が牛なっていく。一体自分の身に何が起きているのかギンタロウは理解するのにそれほど時間は掛からず、自分自身も「石化」していく事に気付く。
(馬鹿なっ!?俺はまだ、この声の人物と視線を交わしてはいないはずだぞ……!?)
キラウの瞳を直視していないはずのギンタロウでさえも身体が徐々に石化していき、必死に身体を動かそうとするが、既に下半身は完全に石像と化して動けない。それでもギンタロウは首だけを動かして背後に存在するはずのキラウに怒鳴りつける。
「キラウッ……貴様ぁあああっ!!」
「……終わりよ」
ギンタロウはキラウの顔を確認した瞬間、彼女の魔眼を直視した瞬間に石化が一気に進行し、完全な石像と化す。その様子を確認したキラウは先に石化させたクレナイに視線を向け、自分の役目を終えたことを確認する。
「存外、つまらない仕事だったわね……もうお前達に用はない。逝きなさい」
『アアッ……』
事前に死霊術でアンデッドに変異させた兵士達にキラウは視線を向けると、面倒そうに指を鳴らす。その直後、アンデッドの大群は倒れ込み、その様子を確認したキラウは溜息を吐きながら一度だけ振り返り、神妙な表情を浮かべた。
この魔の草原に彼女が訪れた時、東聖将軍と守備将軍の戦場にて彼女は強い闇属性の魔力を感じ取った。その魔力はキラウに匹敵する、あるいは彼女以上の魔力を感じられたが、今現在は何も感じない。その事に彼女が違和感を抱く。
「……気のせいかしらね。さて、今度はオロナ鉱山ね」
キラウは草原を後にすると、カレハの命令通りに今度は連絡が途絶えた南聖将軍の様子を伺うために南方へ向かう――
――キラウが立ち去ってからしばらく経過した後、草原に雨が降り注ぐ。石像と化した者達は雨に打たれても本人は何も感じず、自分が石化した事にも気づいていないだろう。しかし、石化から逃れた青年が一人だけ存在した。
「うぐっ、げほげほっ……な、何だ?何が起きたんだ……?」
石化を免れたのは闇の聖痕が疼き、気絶していたダインは目を覚ますと、周囲の光景を確認して呆然とする。目を覚ましたら周りの人間全員が石像と化しており、慌てて立ち上がったダインは仲間達の石像に近付く。
「お、おい……ゴンゾウ!!シズネ!!嘘だろ、おい!?」
自分の傍に居たゴンゾウとシズネの石像にダインは駆け寄り、声を掛けるが二人は自分の両手を見つめた状態で石像と化していた。どうやら唐突に石化を始めた自身の肉体に驚いた状態で石化したらしく、他にもダインはジャンヌやミナの石像が存在する事に気付いた。
「そんな……ジャンヌ、ミナ、ロウガのおっさんまで……」
石像と化したのは二人だけではなく、ジャンヌ、ミナ、ロウガ、他にもガロ、モリモ、キン、ギン、ドウ、あらゆる人間が石像となっていた。それを見たダインは膝を崩し、自分の闇の聖痕を摩る。
「一体何が起きたんだよ……くそぉっ!!」
気絶する寸前、ダインは闇の聖痕の力でこの草原に得体の知れない何かが接近している事には気づいたが、警告を行う前に魔力の消耗と闇の聖痕の影響のせいで気絶してしまう。降り注ぐ雨に打たれた事で意識は取り戻したが、結局は自分以外の全ての人間が石像と化した事にダインは絶望する。
身体が汚れるのも気にせずにダインは何度も地面に拳を打ち付け、涙を流す。だが、そんな彼の背後から近づく人影が存在し、ダインの肩を掴む。
「……ダイン」
「えっ……その声、もしかしてコトミンか!?」
「ぷるるんっ!!」
ダインは驚いて振り返ると、そこには雨を吸収した事で元の大きさに戻ったスラミンを抱えるコトミンの姿が存在し、彼女が無事だった事を知ってダインは歓喜の表情を浮かべて抱き着こうとした。
「こ、コトミン!!」
「そういうのはいい」
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だが、抱き着こうとしてきたダインに対してコトミンは彼の顔を掴んで止めると、周囲の光景を確認して彼女も何が起きたのかを問う。
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