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外伝 ~ヨツバ王国編~
得体の知れぬ能力
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「……皆、石像になっている。どうして?」
「そんなもん、決まってるだろ……キラウだよ!!キラウの奴がやったんだ!!」
「ぷるぷるっ……」
「あ、ごめん……」
ダインの怒声にスラミンは怯えたように震え、その姿を見たダインは冷静になり、落ち着いて周囲の光景を伺う。残念ながら自分達以外に石化を逃れられた人間は存在しないらしく、ダインは闇の聖痕に手を翳す。
(この変な紋様が急に疼いて僕は意識を失った……だから、石化は免れたのかもしれない。けど、それならどうしてコトミンとスラミンだけは無事だったんだ?)
キラウが魔の草原に現れて両軍の兵士を石化させた事は間違いなく、ダインは自分が気絶していた事でキラウの魔眼から逃れたと考えたが、それならばどうしてコトミンとスラミンは無事だったのかを問う。
「コトミンとスラミンは大丈夫なのか?どうして二人だけ石化を逃れられたんだ?」
「多分、スラミンのお陰だと思う」
「ぷるん?」
コトミンの言葉に両手に抱えられているスラミンが不思議そうに顔を上げ、ダインもコトミンの言葉に疑問を抱くと、コトミンは事情を話す。
「私も実は石化しかけた……気がする」
「えっ!?大丈夫なの!?」
「身体が動かなくなって、もう駄目かと思ったときに抱えていたスラミンが緑色の液体を私に浴びせたら動けるようになった。多分、前にティナが持っていた精霊薬の残りだと思う」
「ぷるぷるっ」
コトミンによると彼女もキラウの魔眼を直視したわけでもないにも関わらず、他の者達と同様に石化しかけたという。だが、彼女の傍に存在したスラミンが体内にまだ残っていた「精霊薬」をコトミンに与えた事で石化から解放され、身体の自由を取り戻したという。
ダインは驚いてスラミンに視線を向けるが、スラミンも自分の行動をよく理解していないのか、不思議そうに自分を見つめてくる二人に震える。コトミンの話が事実だとしたら、ティナの所持していた「精霊薬」と呼ばれる薬ならば石化された人間を元に戻す効果を持つ事になる。
「そういえば精霊薬って聞いたことがあるぞ……そうだ、どんな怪我も病気も治す万能薬だって前におとぎ話で読んだ事がある!!けど、まさか石化まで食い止めるなんて……そうだ!!ならスラミンの精霊薬で皆を元に戻せば……!!」
「それは出来ない。残念だけど、私を救う時にスラミンも体内に残っていた精霊薬を使い切ったみたい」
「ぷるるんっ……」
スラミンは申し訳なさそうに縮こまり、その様子を見たダインは落胆を隠せない。だが、精霊薬ならば石像にされた人間を元に戻せる事が発覚した以上、まだ希望は残っていた。
「よし、急いで東壁街へ戻ろう!!街に残っているティナとエリナに精霊薬がまだ残ってないのか聞こう!!レナの奴も起きてるかもしれないし、まずは街に戻るんだ!!」
「……私たち3人だけで?」
「あっ……」
「ぷるぷるっ……」
東壁街へ戻ろうとしたダインだが、コトミンの言葉に立ち止まり、現時点の戦力を再確認する。コトミンは回復魔法を扱えるが手元に水がなければ魔法は使用できず、スラミンも雨のお陰で復活したとはいえ、そもそも戦力には成り得ない。ダインも先ほどの戦闘で魔力を大分消耗しており、正直に言えば万全の状態とは言えなかった。
ゴンゾウかシズネの片方だけでも残っていれば良かったのだが、現在の戦力では東壁街へ戻るまでにもしも魔物に見つかった場合は対抗する事も難しい。だが、ここで残っていたとしても魔の草原の樹肉の香りを嗅ぎつけて魔物達が殺到する可能性もあるため、急いで離れなければならない。
「ダイン、どうするの?」
「どうするって言われても……よし、レナが起きて迎えに来てくれるまで大人しく隠れていよう!!」
「ぷるるんっ!!」
先ほどまでの戦場での勇姿は何処へ行ったのか、情けない事を言い出したダインにスラミンは「なんでやねんっ!!」とばかりにダインの頭の上へ飛び跳ねる。だが、実際問題に現在のダインたちでは魔物に遭遇しただけで殺される可能性は高い。だが、そんな二人の足元の地面が盛り上がり、突如として腕が出現するとダインの足首を掴む。
「わあっ!?な、なんだなんだっ!?」
「……地面から腕が生えた?」
「ぷるんっ!?」
『拙者でござる!!』
足首を掴まれたダインは必死に引き剥がそうとすると、地中から聞き覚えのある声が響き、地面の中から黒装束の少女が現れた。その姿を見た瞬間、ダインとコトミンは声を合わせて驚く。
『に、忍者っ!?』
「いや、だから拙者でござる!?ハンゾウでござるよ!!」
「ぷるんっ?」
地面から砂まみれで現れたのは忍者であるハンゾウが姿を現し、彼女は服の汚れを振り払うと、ダインは地面に隠れていた彼女に動揺した声を上げる。
「お、お前……ずっと隠れていたのか!?地面の中に!?」
「忍法、土遁の術でござる。地中に身を隠し、相手が立ち去るまで隠れる和国の忍者だけが扱える術でござる!!」
「……なら、私は水遁の術が使える。ずっと水中に隠れてやり過ごせる」
「いや、何処に対抗心を抱いてるんだよっ!?」
ハンゾウが無事だった事は喜ばしいが、どうして彼女が地面の中に隠れていたのかをダインは問い質す。
「そんなもん、決まってるだろ……キラウだよ!!キラウの奴がやったんだ!!」
「ぷるぷるっ……」
「あ、ごめん……」
ダインの怒声にスラミンは怯えたように震え、その姿を見たダインは冷静になり、落ち着いて周囲の光景を伺う。残念ながら自分達以外に石化を逃れられた人間は存在しないらしく、ダインは闇の聖痕に手を翳す。
(この変な紋様が急に疼いて僕は意識を失った……だから、石化は免れたのかもしれない。けど、それならどうしてコトミンとスラミンだけは無事だったんだ?)
キラウが魔の草原に現れて両軍の兵士を石化させた事は間違いなく、ダインは自分が気絶していた事でキラウの魔眼から逃れたと考えたが、それならばどうしてコトミンとスラミンは無事だったのかを問う。
「コトミンとスラミンは大丈夫なのか?どうして二人だけ石化を逃れられたんだ?」
「多分、スラミンのお陰だと思う」
「ぷるん?」
コトミンの言葉に両手に抱えられているスラミンが不思議そうに顔を上げ、ダインもコトミンの言葉に疑問を抱くと、コトミンは事情を話す。
「私も実は石化しかけた……気がする」
「えっ!?大丈夫なの!?」
「身体が動かなくなって、もう駄目かと思ったときに抱えていたスラミンが緑色の液体を私に浴びせたら動けるようになった。多分、前にティナが持っていた精霊薬の残りだと思う」
「ぷるぷるっ」
コトミンによると彼女もキラウの魔眼を直視したわけでもないにも関わらず、他の者達と同様に石化しかけたという。だが、彼女の傍に存在したスラミンが体内にまだ残っていた「精霊薬」をコトミンに与えた事で石化から解放され、身体の自由を取り戻したという。
ダインは驚いてスラミンに視線を向けるが、スラミンも自分の行動をよく理解していないのか、不思議そうに自分を見つめてくる二人に震える。コトミンの話が事実だとしたら、ティナの所持していた「精霊薬」と呼ばれる薬ならば石化された人間を元に戻す効果を持つ事になる。
「そういえば精霊薬って聞いたことがあるぞ……そうだ、どんな怪我も病気も治す万能薬だって前におとぎ話で読んだ事がある!!けど、まさか石化まで食い止めるなんて……そうだ!!ならスラミンの精霊薬で皆を元に戻せば……!!」
「それは出来ない。残念だけど、私を救う時にスラミンも体内に残っていた精霊薬を使い切ったみたい」
「ぷるるんっ……」
スラミンは申し訳なさそうに縮こまり、その様子を見たダインは落胆を隠せない。だが、精霊薬ならば石像にされた人間を元に戻せる事が発覚した以上、まだ希望は残っていた。
「よし、急いで東壁街へ戻ろう!!街に残っているティナとエリナに精霊薬がまだ残ってないのか聞こう!!レナの奴も起きてるかもしれないし、まずは街に戻るんだ!!」
「……私たち3人だけで?」
「あっ……」
「ぷるぷるっ……」
東壁街へ戻ろうとしたダインだが、コトミンの言葉に立ち止まり、現時点の戦力を再確認する。コトミンは回復魔法を扱えるが手元に水がなければ魔法は使用できず、スラミンも雨のお陰で復活したとはいえ、そもそも戦力には成り得ない。ダインも先ほどの戦闘で魔力を大分消耗しており、正直に言えば万全の状態とは言えなかった。
ゴンゾウかシズネの片方だけでも残っていれば良かったのだが、現在の戦力では東壁街へ戻るまでにもしも魔物に見つかった場合は対抗する事も難しい。だが、ここで残っていたとしても魔の草原の樹肉の香りを嗅ぎつけて魔物達が殺到する可能性もあるため、急いで離れなければならない。
「ダイン、どうするの?」
「どうするって言われても……よし、レナが起きて迎えに来てくれるまで大人しく隠れていよう!!」
「ぷるるんっ!!」
先ほどまでの戦場での勇姿は何処へ行ったのか、情けない事を言い出したダインにスラミンは「なんでやねんっ!!」とばかりにダインの頭の上へ飛び跳ねる。だが、実際問題に現在のダインたちでは魔物に遭遇しただけで殺される可能性は高い。だが、そんな二人の足元の地面が盛り上がり、突如として腕が出現するとダインの足首を掴む。
「わあっ!?な、なんだなんだっ!?」
「……地面から腕が生えた?」
「ぷるんっ!?」
『拙者でござる!!』
足首を掴まれたダインは必死に引き剥がそうとすると、地中から聞き覚えのある声が響き、地面の中から黒装束の少女が現れた。その姿を見た瞬間、ダインとコトミンは声を合わせて驚く。
『に、忍者っ!?』
「いや、だから拙者でござる!?ハンゾウでござるよ!!」
「ぷるんっ?」
地面から砂まみれで現れたのは忍者であるハンゾウが姿を現し、彼女は服の汚れを振り払うと、ダインは地面に隠れていた彼女に動揺した声を上げる。
「お、お前……ずっと隠れていたのか!?地面の中に!?」
「忍法、土遁の術でござる。地中に身を隠し、相手が立ち去るまで隠れる和国の忍者だけが扱える術でござる!!」
「……なら、私は水遁の術が使える。ずっと水中に隠れてやり過ごせる」
「いや、何処に対抗心を抱いてるんだよっ!?」
ハンゾウが無事だった事は喜ばしいが、どうして彼女が地面の中に隠れていたのかをダインは問い質す。
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