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高校生編side晴人 たくさんの初めてを君と

99.帰国

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胸元に痛みを覚えて意識が覚醒した。

目の前の黒髪に手を伸ばす。

「蓮…?」

「ん。身体大丈夫か?」

怜悧なイケメンが甘く微笑むアップの破壊力たるや…。

ベッドの中で腕枕されて、もう片方の手は腰に回されて。

綺麗な筋肉の付いた身体に密着してる事を意識しちゃって、顔が熱くなった。

「なんだ、照れてんの?可愛いな。」

チュッと耳にキスしてきた蓮の声が甘い。

「ぴゃっ!お、俺、どれくらい寝てた?」

「そんな経ってねぇよ、10分くらい。そろそろ下行かなきゃな。」

そっか。集合時間かぁ。

「軽くシャワー浴びる時間あんだろ。お湯出して来るわ。」

身を起こした蓮がベッドから出て行こうとする。

離れたくなくて、思わず蓮の手を引いた。

その驚いた表情にハッとする。

「ご、ごめん!何でもない!」

何恥ずかしい事してんだ自分!

「違うんだ、これは…その…ンンッ⁉︎」

言い訳の言葉を探してると、引き寄せられてキスされた。


「離れたくねぇとか、可愛いが過ぎるだろ…。」

「ち、違うってば!」

「顔に出まくってるし。ヤベェ、また勃った。」

「たっ⁉︎⁉︎」

まさかの爆弾発言に顔が真っ赤になる。

「あー、美味そう。今すぐ食いてぇ。」

「食い⁉︎⁉︎」

「安心しろ、今日はもうしねぇよ。このまま最後までやっちまう自信しかねぇから。」

あ、それさっきも言ってたよね。

浮かんだ疑問が羞恥を勝った。

「ねぇ、蓮。『最後まで』って何?」

「……………あ?」

何その『マジか』って顔。

「…晴さん、男女しかセックスできないって思ってます?」

「急な敬語!…って、え!?セッ…!?」

バカにされてる気もするけど、今はそれ所じゃない。

「そ、それって男同士でもできるって事!?」

「やっぱ知らなかったか…。」

うぇぇ!?

男女の事は勿論知ってるよ、保健の授業でやったから。

だけど…男同士で?

「ど、どうやって…。」

「…あ~、それは日本帰ってからにしよ。
取り敢えず今はシャワーな。」

そう言って、俺を抱き上げるとバスルームに向かって歩き出す。

お湯を出して、ボディソープを手に取ると…

「わぁっ!?な、何!?」

「洗ってる。」

「じ、自分でやりマス!」

「離れたくねぇんだろ?」

後ろから密着されて、泡と一緒に手を滑らせてくる。

「ひゃあっ!」

際どい所を触られて変な声が出た。

どうしても、お尻に当たってるを意識してしまう。

温かいシャワーと、身体を滑る手、蓮の熱い昂り。

ダメだ、頭が沸騰しそう。

「も、無理ぃぃぃ~」

情けなくも脚から力が抜けた俺を、蓮が笑いながら支えてくれる。

「悪い、揶揄いすぎたわ。」

「…お前なぁ…!」

余裕な蓮に腹が立って離れようとすると、顎を取られて後ろを向かされた。

重なった唇の、優しい慈しむような感覚にうっかり目を閉じる。

「…ハァ…マジで感じやすいし快楽に弱いし…最高だけど心配でもあるな…。」

何やらブツブツ言う蓮を見上げると、フッと笑う気配がした。

「ごめんって。晴の制服取って来てやるから。」

またヒョイッと抱えられてバスルームを出ると、タオルで包まれた。

「部屋506だよな?」

「そうだけど…自分で行けるよ?」

「ノーパンで行く気か?カードキー寄越せ。」

あっ…そうでした。

備え付けのバスローブを羽織らされて蓮を見送る。

今のうちにパンツ洗っとこ。

ホテル内のコインランドリーは自由に使えるから、水洗いして後で他の洗濯物と一緒に回して…。

「ん?」

洗面所の鏡に映った自分を見て違和感を覚えた。

なんか赤くなってる。

「ーーってこれ!!」

鎖骨の下にあるのは紛れもないキスマだった。

しかも、一つや二つじゃない。

「…マジかよ…。」

バスローブの胸元を広げると、赤い痕が沢山散ってる。

10個はあるよな…。

最中も起きる前も、この辺りにチリッとした痛みがあったのはコイツのせいか!


それにしても付けすぎなのでは!?

それともこれが普通なの?

わ、分からん…。

これって独占欲のサインなんだよね?

って事はさ、多いほど独占欲が強い…?


「え、蓮ってそうなの?」

「何が?」

「ひょおっ!」


若干パニックになって思わず声に出すと、まさかのレスポンス。

ビビったぁ!

蓮が戻って来たの全然気付かなかったよ。


「な、なんでもない…あ、待って!何でもなくないわ!コレ凄い事になってんだけど!?」

「ああ、肌白いから綺麗に残るな。」

胸元をはだけて痕を見せながら言うと、大変満足そうな蓮のお返事…。

「違う!そこじゃない!」

「着替える時気を付けろよ?同室の奴等に見られたくないだろ?」

そ、そうじゃん。

啓太達に見られたら、俺がそう言う事してたってバレる訳で…。

「何でこんなに付けるんだよぉ!馬鹿!」

真っ赤になって抗議してるのに蓮は涼しい顔だ。

「シャツから見えねぇ所にしただけ譲歩だから。」

「譲歩…?」

ふいに近付いて来た蓮が俺の首筋にキスを落とす。

「本当はガチ見えする所に付けて、晴が俺のだって全人類に分からせてぇ。」

ぜ、全人類ですと!?

ボボボッと赤くなる顔を隠そうとしたら、今度は頬にキスされた。

「俺にならどんだけ見せてもいいからな?」

悪戯っぽく笑う顔すらカッコよくて、色気まで溢れてて…。

撃沈した俺はまた暫く蓮のなすがまま。

顔中にキスされながら、悟った。


ーーー多分、俺の恋人は独占欲強め。







蓮が俺の部屋から取って来てくれた制服(とパンツ)を装備して集合場所のロビーに降りた。

5分前だからもう殆ど集まってるみたいだ。

「晴人!」

啓太に呼ばれてそっちに行くと、サッキーもいた。

「おじぃさん達元気だった?」

ニコニコ聞いて来る2人に頷く。

なんか、じぃちゃん家に行ったのが遠い昔みたいだ。

あの後蓮と恋人になるなんて想像もしてなかったのに。

思わずチラッと蓮を見ると、蓮が見えないように手を触れて来た。

きっと同じ事考えてるんだろうな。


あぁ、なんかもう、幸せすぎてオーバーキル!


「晴人、なんかポヤッとしてないか?」

ギクッ

流石は啓太。

俺の様子がおかしいことに気付いたらしい。

「え、えっ?そうかなぁ?」

下手すぎだろ俺ぇぇぇ!

「1時間前に着いて部屋で寝てたんだよ。」

すかさず蓮のフォローが入る。

「マジか、フランス来て昼寝とかある意味贅沢だな!」

カラカラ笑う啓太にホッとしたけど…サッキーがめっちゃこっち見てるんですが…。

「はい、静かに~!点呼取るからクラスごとに並べ~!」

先生の指示に、蓮とサッキーが特進の方に向かってホッとした。

もしかして、気付かれてる???

サッキー鋭そうだし。


2人には、日本に帰ってから蓮と付き合う事になったって話すつもりだ。

多分、驚くだろうな。

恥ずかしいけど、応援してくれた2人の反応が楽しみだったりもしてーー。















「えぇぇ!?マジ!?」

「フランスでそんな事に!?」


はい、そんな訳で帰って来ましたJAPAN!!

帰国後、土日休みを挟んで今日は久しぶりの登校日。

放課後の空き教室で、俺は蓮と恋人になったって啓太とサッキーに伝えた。

その反応が、さっきのやつ。

2人とも詳しく聞きたがったけど、恥ずかしいから誤魔化しちゃって。

それでも「おめでとう」って言ってくれたのが嬉しかった。



「晴人くん、首にキスマ付いてるよ。」

後輩にお土産を渡しに行く啓太を見送った後、サッキーにそう言われて心臓が飛び跳ねた。

「え!?」

思わず首を押さえて狼狽えると、ニヤリと笑うサッキー。

「あ、気のせいだったかも。」


うわぁぁ!やられた!!









●●●
世界規模で独占欲発揮する彼氏は「強め」どころじゃないと思う。



























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