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高校生編side晴人 守る為に闘う事と事件の決着

69.事件の顛末

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今回は橋本の証言のみになります。
反省はしてますが途中は自己厨メンタルなので、そう言う話が苦手な方は読み飛ばしていただいて大丈夫です!
次話はチューしたのか⁉︎から始まりますのでそこからお楽しみくださいませ(*´∀`*)
●●●


(橋本の証言)

萱島を相川さんの前から消すには、退学にするのが一番だと考えました。

職員室で偶然目にした剣道部の『部室の鍵管理表』によると、文化祭2日目の当番は萱島。

これは、使える。
剣道部の部室で「煙草の不始末による火事」を偽装すれば、鍵を持っている萱島を犯人に仕立て上げる事ができる。

喫煙した上に火事を起こしたとなれば、まず間違いなく退学になるだろう。

そう考えて、実行しました。

煙草は前日の夜に兄の煙草を盗んで、窓はできるだけ小さく割るために、生徒会室の備品の中にあったガラスカッターを使いました。

当日、あの場所は誰も来なくて、予想以上にアッサリと火を付けた煙草を投げ入れる事に成功しました。

後は燃えてしまえばガラスの穴もバレない。
煙草も燃えてしまうけれど、火の気がない所での火災は煙草の不始末が疑われるとテレビで見た事があったんです。

特に場所が高校、それも人気の無い所にある部室なんて隠れて喫煙したと思われてもおかしくないでしょう?

ただ、思ったより早く発見されて小火で終わってしまいました。

焦りましたが、第一発見者萱島だと聞いて…これは逆に幸運だ、と。

部室のカギを持ってる上に第一発見なら、警察はまず萱島を疑う。

そう思っていたのに、誤算がありました。
まさか部室の鍵が機能していなかったとは…。

誰でも入れる状態だったのなら、萱島だけが疑われる訳ではなくなります。

むしろ、窓ガラスが残ってしまったために放火の線が浮上してしまった。

焦った僕は、煙草の吸い殻が残ったことを逆に利用することにしました。

手元に残った同じ銘柄の煙草を、萱島が持っていれば疑いはまた萱島に向くだろうと思ったんです。

文化祭の翌日に持ち物検査がある事は、知っていました。
その時に見付かれば、大々的に皆に知られる事になる。

萱島の鞄に煙草を入れるのは、教室に誰もいなくなる全校集会の時が良いと考えました。

僕は生徒会なので、資料を取りに行くと言えば体育館を出る事ができる。

ですが、先生が巡回している事も知っていました。
特に小火の後なので、その目を掻い潜る事は困難。

それならば、協力者がいればいい。

そこで、特進クラスを目の敵にしている田丸先生を利用しようと考えたんです。

生徒会の生徒は、全校集会の後も仕事があるため、朝のうちに持ち物検査を済ませます。

僕はその時に田丸先生に接触しました。

煙草を見せて「これを特進の一年生が捨てている所を目撃した」と、そう言いました。

そしてさらに「このままでは証拠にならない。本人のためにも学校のためにも、罪を認めさせるべきだ」と言って、事を提案したんです。

田丸先生は迷った素振りを見せたものの、「罪を認めさせるのは正義だ」と言って協力を容認してくれました。
「特進に目にもの見せてやる」とも言っていましたが。

一年生の誰の物かを聞かれて、切藤か黒崎だと言いました。
特に目立つのがその二人だったのでパッと思い付いただけで、そこに他意はありません。

とにかく協力者を得た僕は、全校集会が始まると計画を実行に移しました。

僕が体育館を抜けるのを見ても、田丸先生が一緒にいたお陰で他の先生は何の疑問も抱かなかったようです。

僕は「教室に二人でいる所を見られたら不味いから」と言って、廊下の途中で田丸先生に見張りをお願いしました。

先生は僕が特進クラスに行くと思っていたはずですが、実際に僕が行ったのはその手前にある一般クラス。萱島の教室です。

教室には座席表があるので、萱島の鞄を見付けるのは簡単で、そこからは面白い様に順調に事が運びました。


指定鞄の内側に印字してある名前が『萱島』な事を確認して、見付からないように奥のポケット部分に煙草を隠す。

特進クラスまで行ったように見せかけるために少し時間を置いて田丸先生と合流する。

田丸先生に成功の報告をして、何食わぬ顔で共に体育館に戻る。



切藤と黒崎の鞄に仕掛けた訳では無い事が後で田丸先生にバレるでしょうが、気にしませんでした。

萱島のクラスと特進が合同で検査を受けるのを知っていたので、もし詰められても「奴等が気付いて無関係の萱島君に罪を被せた」と言うつもりだったんです。


田丸先生はそれを糾弾する証拠が無いため悔しがるでしょうが、僕的には萱島が疑われれば他の奴がどうなろうがどうでも良かったので。

僕が特進を堕ちた身で田丸先生程ではないにしても特進に悪感情があったのも理由の一つだと言う事は否定しません。





その後、作戦が上手くいったと思っていた僕の元に信じられない知らせが届きました。

何故か本当に切藤が煙草を所時していた事になっていたんです。


僕はパニックに陥りました。
田丸先生が、僕が萱島の鞄に煙草を入れた事に気が付いたんじゃないかと疑ったんです。

気付いて、どうにかして切藤に罪を被せる事に成功したんじゃないか、と。


その場合、何故僕が萱島を狙ったのかに対して追求される危険性が出てきます。

そうしたら、全てがバレてしまうんじゃないか…。

共犯とは言え先生はいつでも僕を切り捨てるだろうと思いました。


その日は一斉下校だったので田丸先生に接触する事ができず、僕は不安を抱えたまま早朝に学校に行きました。


職員室の前を通ると、ドアが少し空いていて、田丸先生が激昂する声が聞こえて来て…。
どうやら、切藤を退学に追い込む事ができなかったようでした。


そして此方をチラリと見た先生が僕を認識して…睨み付けるのを感じました。


その時、確信に変わったんです。


万が一この事が露見したら、田丸先生は僕を売る気なんだ、と。




実際、そうなりましたよね。


次の一手を考える前に僕の罪は大っぴらになり…
まさか写真を撮られていたなんて…。

僕的には、どうして文化祭の日にあんな人気の無い所を撮影してたのか気になりますけど。



話が逸れましたね。

田丸先生は僕が余計な事を言わないようにするつもりだったと思います。

全ては僕が一人でした事にしようとした。

萱島達がそれを防いでくれましたが…。

僕のせいでこんな目にあったのに、どうして庇ってくれたのか…。

その時、やっと目が覚めました。

「好きな人のために」だなんて、本当に一人善がりで馬鹿な事をしてしまったと後悔しています。

それから…剣道部の人達にも謝りたいです。

同級生の、最後の試合を潰してしまうかもしれないだなんて考えてもみなくて…。


萱島にも切藤にも、相川さんにも…巻き込んでしまった全ての方に申し訳ないです。


きちんと罪を償いたいと思っています。






●●●
彼が相川に憧憬の念を抱いていたのは本当ですが、「学校のアイドル」たる彼女を手に入れる事で「自分が引け目を感じている特進の人間より優位に立てる」と言う打算もありました。



















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