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高校生編side晴人 守る為に闘う事と事件の決着

70.これは親愛のあれだから!

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顔を傾けて、そしてーーー

「いやぁ、遅くなってごめんね!」

「わぁぁぁぁぁ⁉︎⁉︎⁉︎」


正に唇が触れ合う寸前、第三者の声がして俺は飛び上がった。

「あれ?お邪魔だったかな?」

「…チッ…マジで邪魔。」

部屋に入って来たのは理事長で、驚いて落ちそうになった俺を抱き止めながら蓮が舌打ちする。

って言うか俺、幾ら本人に言われたからって自分からキスしようとするとか…!!

好きバレ確定なのでは⁉︎
ねぇ、これもうバレてるよね⁉︎


それでキスしろって言ってきたって事は、蓮も俺の事が……好き?


ままま、待て落ち着け!
今のは凄い自惚れ発言だったぞ⁉︎

中学の時もキスされて、それで勘違いしそうになったけど…蓮は遥の事が好きだったんじゃん。

だからこれはきっとそう言う意味じゃなくて、
その…あれだよ、あれ。そう、あれだって。

親愛のあれ!

『ずっと側にいろ』とか…プ、プロポーズみたいな事言ってたけど、良く考えたら蓮は蓮母の息子なんだもんな。

情熱的でスキンシップが激しくてもおかしくない訳だ。

だから、これはきっと親愛のあれ!

大事な事だから2回言いました!!



「れ、蓮!降ろして!」

「このままでいいだろ。」

「言い訳ないだろ!理事長がいるんだぞ⁉︎」

「叔父さんなら気にしないから。」

「蓮、お前は本当に拓哉君の血が濃いなぁ。」

理事長はそう言いながら向かいのソファに腰かけると苦笑した。

「晴人君、悪いんだけどこのままだと話しが進まないから、蓮に譲歩してやってくれる?
残念なことに、あまり時間が取れないんだ。」

俺はハッとする。
忙しい理事長の時間を無駄に使う訳にはいかないじゃないか!

しょうがない、俺が大人になろう。
でもせめて、理事長の方は向きたい。

俺が蓮の膝の上でクルリと向きを変えると蓮は不服そうだったけど、すぐに背後から首筋に顔を埋めてきた。

……何かちょっと可愛いかも。
あ、でも犬みたいに吸うのはヤメテ。。

そんな緊張感の無い状態で理事長の話しを聞く事になった訳なんだけどーー。

事件の詳細は、俺達が推測した内容で概ね合ってたみたいだ。


相川さんは何をした訳でも無いからお咎めなし。
良かった。

橋本先輩は自分の罪を認めて反省してるらしい。
そっか。これも良かった。

「橋本君は退学を希望しているんだけど、別の高校に編入できるように手を尽くすつもりだよ。
田丸先生は罪を認めて退職される事になった。」

学校側としては小火の被害届は取り下げる事にしたけど、2人の事は生徒に知れ渡ってしまった。

このままここにいるより、新転地へ行った方が本人達の気持ちも楽だろうと理事長は言った。

「君達には本当に申し訳なかったね。
手続きがあるから、この事は3日後に全校集会で話そうと思う。」

それまで待っていて欲しいと言う理事長に同意して、俺と蓮は理事長室を後にした。






「はぁ。何か気が抜けちゃったな…。」

廊下を歩きながら言うと、蓮は少し笑った。

「アドレナリン出まくってたんじゃね?
もう昼だし早退するか?」

朝からドタバタしてたせいで時間の感覚が無かったけど、もうすぐ昼休みになろうとしてる。

「うーん、文化祭の1日目も早退してるじゃん?
流石に頻繁すぎって言うか…蓮はどうすんの?」

「取り敢えずこの服は脱ぎてぇ。暑い。」

確かに、ロングコートは脱いでるけどレザーのパンツにセーターは暑そう。

「撮影で使った服くれるって言うから、着替えんのめんどくてこのまま帰ってたんだよ。」

成る程。だからこの格好で現れたのか。

「カシミアってこんなあったけぇのな。この下何も着てないんだぜ?」

「わぁぁ⁉︎」

蓮がそう言ってセーターの裾を捲ると、素晴らしい腹筋が現れた。

色気がヤバすぎて思わず変な声出ちゃったじゃん!
これ変に思われるやつじゃん!

「ふ、腹筋アピールするなよ!嫌味か!」

ドギマギしながら冗談で回避しようとしたのに、蓮は足を止めてしまった。

ま、待って。
壁際に追い詰めるのはヤメテ。

「ち、違うから!腹筋にじゃなくて、見なれない格好に調子狂っただけで…!」

何も言われてないのに言い訳する。
パニクった俺は、墓穴を掘った事に気付いてなかった。

「お前、これ好きなの?」

至近距離で蓮の青い目に見つめられて、カラコンも似合うなぁなんてポーっとしてしまう。

「ううん。この服装もカッコイイけど、いつもの蓮の方が好き。」

めちゃめちゃ似合ってるけど、これだと大人すぎて隣を歩くのが憚られる。

普段の、シンプルでお洒落な格好の方が安心感があるんだよな。

「……いや、そっちじゃなくて…いや…それでもいいか…。」

「蓮?どした?」

急に動きを止めて独り言を言う蓮に目をやると、グイッと頭を抱き込まれた。

「晴、このまま帰ろ。」

「え?」

「帰って、さっきの続きしてぇ。」

さっきの続き?……キス…⁉︎……スイカ…

理解が追い付かなくて脳内でしりとりする俺なんかお構い無しに、蓮は俺を上向かせた。

「晴、キスしてくれる気だったもんな?」

愉しそうだ。物凄く。

あ!これは、揶揄ってるな⁉︎⁉︎

「バ、バカッ!そんな訳ないだろ!
だいたいお前は……あれ?」

抗議しようとして、蓮の首元の違和感に気付いた。

「晴?」

そこからチラリと見えるのは…。

嬉しくなって、セーターの首元に手を突っ込んだ。
鎖骨辺りまで手を滑らせて、を掴む。

「はっ⁉︎⁉︎⁉︎」

ビックリしたのか身体を硬らせる蓮。

「あ、ごめん。俺の手冷たかった?」

「……違う、そこじゃない…。」

何故かガクリと脱力する蓮を尻目に、俺は引っ張り出した物を見て嬉しくなった。

「御守り、つけてくれてたんだな!」

それは、俺が蓮母に託した御守り。

「そう言えばさ、これ見た時に蓮母が『そう言うことね』って言ってたんだよなぁ。何でか分かる?」

ふいに思い出した光景を蓮に問いかけるけど、蓮は首を振った。

「お前は気にしなくていい。それより、これ返すわ。」

蓮は御守りをはずすと、俺の首にかけた。
これをくれた時を思い出して思わず笑みが溢れる。

「ふふっ。コイツ俺の分身みたいな物だから、蓮の事守ってくれると思ったんだ。効果あった?」

「ああ。願いも叶った。」

「マジ⁉︎俺のなのに、蓮の方が恩恵受けてない⁉︎」

「次は晴の番だって。」

抗議する俺の頭を、蓮はクシャリと撫でる。


そしてーーー


目を閉じて、飾り紐の先に結ばれた御守りに口付けを落とすと、俺のシャツの中に隠すように入れた。


俺のために祈りを込めるようなその仕草に、泣きたくなる程の想いが込み上げる。


思わずシャツの上から御守りを押さえて見上げると、蓮は幸せそうに笑った。






●●●
エロい方に仕向けたい蓮を、天然で回避しがちな晴人。「これ」って多分、服の事じゃないよ?
(side蓮をお楽しみに笑)

暫くラブラブパートが続きますよー(*´∀`*)


















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