59 / 262
高校生編side晴人 事件の始まり…なのにキスとかそれ以上とか⁉︎
43.悔しい!悔しい!悔しい!(side相川陽菜)
しおりを挟む
失敗したーーー。
ずぶ濡れの身体でなんとかハシゴを登って、プールサイドに立つ。
どうしてこうなったんだろう。
これまでの人生で、計画が上手くいかなかった事なんて無かったのに…。
目に焼き付いている、私を冷たく見下ろす蓮の姿。
違う!私はあんな視線を浴びていい人間じゃない!
信じられないくらい大事そうに萱島を抱えて、気遣う表情は見たことも無いくらいに優しかった。
でも、そんなの間違ってる!
だって、蓮に相応しいのはもっとレベルの高い人間なんだから。
そして、有り得ない桃の裏切り。
中学の時、私が目をかけてあげなきゃイジメられてた様な陰キャのくせに。
友達ができたから何だって言うの⁉︎
そんなものいたっていなくたって何も変わらない。
必要なのは、私の言うとおりに動く駒だ。
この先の更衣室には蓮と萱島がいる。
あの二人が出てくる所と鉢合わせなんて死んでもごめんだわ!
だけど、全身ずぶ濡れで校内を歩くなんてそれこそ変な噂が立ってしまう。
完璧で可愛い私のイメージが崩れる。
そんなの絶対に無理!!
誰かに助けを求めようとして、スマホも水没した事に気付いた。
いや、違う。
仮にスマホが生きてたとしても、誰にも連絡なんかできない。
こんなみっともない所なんか見せたら、弱味を握られてつけ込まれるかもしれない。
誰一人、信用なんてできないんだから。
唯一、煩く詮索しなさそうなのは同じクラスの黒崎だ。
女好きで色んな修羅場に立ち会ってるアイツなら、多少の事では動じないだろう。
言い訳さえ上手くすれば、何とかなるかもしれない。
どうにか、連絡を取る手段を探さないと…
考えていたら、外が騒がしくなった。
誰か来るかもと、急いで手近な用具倉庫に隠れると、見た事がある人物が入って来る。
一般クラスでは上位の中野啓太。
同じく上位の伊藤由奈莉。
それと……黒崎?
「晴人!」「晴ちゃん!」「萱島くーん」
それぞれに呼びながら向かう先は更衣室だ。
三人とも萱島のために来たらしい。
黒崎まで…。
これでアイツに助けを求める事ができなくなった。
更衣室でのやり取りまでは聞こえないけど、何やら騒いでいる。
暫くすると黒崎だけが急いで出てきた。
誰かと電話していて、声はかけられない。
そして、それと入れ違いのように一般客が入り始めた。
メンテナンス時間が終わったらしい。
状況は、最悪。
このまま文化祭が終わるまで隠れることになるかもしれないとゾッとする。
せめて更衣室の人間だけでもいなくなればと外を覗くと、そこには萱島の姿があった。
乾いた制服を着て、中野と伊藤に護られるように挟まれて。
何事も無かったかのように、むしろ楽し気にさえ見えるその表情。
お腹の奥底から怒りが湧いて来る。
何で⁉︎何でよ⁉︎
どうして私がこんな惨めな思いで閉じ込められてるって言うのに、アンタなんかが笑って外に出て行くのよ!
蓮の事も、桃の事も!
アンタのせいで何もかもが上手くいかない!
平凡で取り柄もない「その他大勢」の一人でしかないくせに!!
「萱島晴人…絶対に許さないんだから…!!」
●●●
☆本編にはどうでもいい設定☆
伊藤の下の名前は由奈莉です。
女バレ所属のショートカット美人。
ずぶ濡れの身体でなんとかハシゴを登って、プールサイドに立つ。
どうしてこうなったんだろう。
これまでの人生で、計画が上手くいかなかった事なんて無かったのに…。
目に焼き付いている、私を冷たく見下ろす蓮の姿。
違う!私はあんな視線を浴びていい人間じゃない!
信じられないくらい大事そうに萱島を抱えて、気遣う表情は見たことも無いくらいに優しかった。
でも、そんなの間違ってる!
だって、蓮に相応しいのはもっとレベルの高い人間なんだから。
そして、有り得ない桃の裏切り。
中学の時、私が目をかけてあげなきゃイジメられてた様な陰キャのくせに。
友達ができたから何だって言うの⁉︎
そんなものいたっていなくたって何も変わらない。
必要なのは、私の言うとおりに動く駒だ。
この先の更衣室には蓮と萱島がいる。
あの二人が出てくる所と鉢合わせなんて死んでもごめんだわ!
だけど、全身ずぶ濡れで校内を歩くなんてそれこそ変な噂が立ってしまう。
完璧で可愛い私のイメージが崩れる。
そんなの絶対に無理!!
誰かに助けを求めようとして、スマホも水没した事に気付いた。
いや、違う。
仮にスマホが生きてたとしても、誰にも連絡なんかできない。
こんなみっともない所なんか見せたら、弱味を握られてつけ込まれるかもしれない。
誰一人、信用なんてできないんだから。
唯一、煩く詮索しなさそうなのは同じクラスの黒崎だ。
女好きで色んな修羅場に立ち会ってるアイツなら、多少の事では動じないだろう。
言い訳さえ上手くすれば、何とかなるかもしれない。
どうにか、連絡を取る手段を探さないと…
考えていたら、外が騒がしくなった。
誰か来るかもと、急いで手近な用具倉庫に隠れると、見た事がある人物が入って来る。
一般クラスでは上位の中野啓太。
同じく上位の伊藤由奈莉。
それと……黒崎?
「晴人!」「晴ちゃん!」「萱島くーん」
それぞれに呼びながら向かう先は更衣室だ。
三人とも萱島のために来たらしい。
黒崎まで…。
これでアイツに助けを求める事ができなくなった。
更衣室でのやり取りまでは聞こえないけど、何やら騒いでいる。
暫くすると黒崎だけが急いで出てきた。
誰かと電話していて、声はかけられない。
そして、それと入れ違いのように一般客が入り始めた。
メンテナンス時間が終わったらしい。
状況は、最悪。
このまま文化祭が終わるまで隠れることになるかもしれないとゾッとする。
せめて更衣室の人間だけでもいなくなればと外を覗くと、そこには萱島の姿があった。
乾いた制服を着て、中野と伊藤に護られるように挟まれて。
何事も無かったかのように、むしろ楽し気にさえ見えるその表情。
お腹の奥底から怒りが湧いて来る。
何で⁉︎何でよ⁉︎
どうして私がこんな惨めな思いで閉じ込められてるって言うのに、アンタなんかが笑って外に出て行くのよ!
蓮の事も、桃の事も!
アンタのせいで何もかもが上手くいかない!
平凡で取り柄もない「その他大勢」の一人でしかないくせに!!
「萱島晴人…絶対に許さないんだから…!!」
●●●
☆本編にはどうでもいい設定☆
伊藤の下の名前は由奈莉です。
女バレ所属のショートカット美人。
103
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
だって、君は210日のポラリス
大庭和香
BL
モテ属性過多男 × モブ要素しかない俺
モテ属性過多の理央は、地味で凡庸な俺を平然と「恋人」と呼ぶ。大学の履修登録も丸かぶりで、いつも一緒。
一方、平凡な小市民の俺は、旅行先で両親が事故死したという連絡を受け、
突然人生の岐路に立たされた。
――立春から210日、夏休みの終わる頃。
それでも理央は、変わらず俺のそばにいてくれて――
📌別サイトで読み切りの形で投稿した作品を、連載形式に切り替えて投稿しています。
15,000字程度の予定です。
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
昔「結婚しよう」と言ってくれた幼馴染は今日、僕以外の人と結婚する
子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき
「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。
そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。
背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。
結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。
「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」
誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。
叶わない恋だってわかってる。
それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。
君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
天啓によると殿下の婚約者ではなくなります
ふゆきまゆ
BL
この国に生きる者は必ず受けなければいけない「天啓の儀」。それはその者が未来で最も大きく人生が動く時を見せる。
フィルニース国の貴族令息、アレンシカ・リリーベルは天啓の儀で未来を見た。きっと殿下との結婚式が映されると信じて。しかし悲しくも映ったのは殿下から婚約破棄される未来だった。腕の中に別の人を抱きながら。自分には冷たい殿下がそんなに愛している人ならば、自分は穏便に身を引いて二人を祝福しましょう。そうして一年後、学園に入学後に出会った友人になった将来の殿下の想い人をそれとなく応援しようと思ったら…。
●婚約破棄ものですが主人公に悪役令息、転生転移、回帰の要素はありません。
性表現は一切出てきません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる