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玉兎編5

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 傲然と言い放ち眉と片側の口端を邪悪に吊り上げ、隙間から白い歯を牙のように見せつけ一刀を見下ろした玉兎。
 奥まで身体に突き刺さった男根を膣口で咥えたまま、腰を少しずつ浮かせる。
 大量の愛液と共に抜けて行く男根が亀首まで外に出たとき、玉兎は足の力を抜き、重力に身を任せ落ちていった。
 一刀の男根は再び奥深くまで付き刺さり根本まで入り子宮まで突き抜ける。

「うおおおおっ」

 自分の男根が膣内を勢いよく走り、全周から締め上げる膣壁を滑る快感が一刀の全身に伝わる。
 今までにない快感に一刀は腹の底から本能のまま歓声を上げる。
 しかし一度では終わらない。玉兎は子宮まで男根を入れると再び腰を上げて途中まで膣から引き抜くと再び引力に身を任せる。
 その度に一刀の身体には快感が走り、喜びの叫びを上げる。
 身体を支える為に玉兎の両手が一刀の腹の上に乗る。上下する度に掌に力が入り強く押しては軽くなる感触に一刀の内臓までもが性感帯になったような感覚になる。ピストンの回数が増える度に玉兎の指に力が入り脇腹の中に入り込んで布越しに埋もれた指の形を伝えてくる。
 艶やかなグローブの感触も加わり一刀の腹も熱くなっていく。
 ピストンの度に落ちてくる愛液の流れの一筋一筋が分かるほど一刀の身体は敏感になる。
 腹まで流れ来た愛液によって濡れた指先の感触が変わり、未知の刺激に更に興奮する。

「ほほほ、嬉しそうじゃな。妾の身体も喜んでおるぞ!」

 玉兎の身体も快感が走っている。
 これまで妖魔として精気だけの身体だったため、生身を得てその快感を初めて体験して溺れていた。
 元は雅の身体であり、昨日一刀と交わった感触を覚えていて、その時の記憶もあって快感はより大きくなっている。
 昨日触られた胸が、先ほどまで絡めていた口が、今腹に置いている両手が、食い込む指が、男根と共にピストンを繰り返す膣が、喜びと快楽を発している。

「す、すごいぞ。身体の中から精気が湧き出しておる」

 精気と共に湧き上がる快感に玉兎は溺れていく。

「あはははは、す、すごい、身体の中から溢れるほどの精気が湧き上がり、頭が真っ白になるくらいじゃ」

 大きな快感に身体を大きく仰け反らせ、顔は天を仰ぎ見て、目を大きく見開き瞳孔が収縮し口を大きく開けてもなお玉兎は腰を動かすことを止めない。
 激しい動きは身体全体に伝わり、長い後ろ髪を纏めたポニーテールが踊るように中を舞い、玉兎の妖艶さに華を添える。
 巨大な胸は興奮で更に肥大化しショルダーオフのレオタードでは隠せ無くなりつつある。
 大きくなって下にずれたレオタードの境目から乳輪の弧が見え始める。
 だが布地を突き破ろうとばかり出てきた突起に引っかかりそれ以上のズレを止める。
 代わりに巨大な質量を持つ双丘がピストンの度に激しく上下しタップを刻む。
 その衝撃は玉兎の身体を伝い、一刀の男根にまで届き、ピストンの勢いに加わる。
 玉兎の身体は熱量を増し、肌にはうっすらと汗の玉が出来はじめ、木漏れ日の光を浴びて輝き、肌に更なる彩りを与える。
 汗の玉は更に大きくなりやがて他の玉と突き雫となり肌を伝う一筋の流れとなり玉兎の肌をなぞる。
 敏感になった玉兎の肌はその一つ一つを感じ取り刺激となって玉兎を更に興奮させる。
 雫はやがて水滴となり激しく動く玉兎の身体を離れ、雨となって一刀の身体に降り注ぐ。
 玉兎によって敏感になっていた一刀の肌は雨に打たれて更に興奮する。
 滴り落ちた雫は乙女の香りを放ち一刀の鼻孔をくすぐり、脳髄に刺激を与え男性の本能を更に突き動かす。

「あうっ」

 やがて限界に近づいた一刀は一瞬だけ、力が緩み数滴、精液を流し出してしまう。

「ふおっっ」

 その瞬間玉兎は、身体を仰け反らせ一瞬固まり動きを止める。
 僅か数滴だったが自分の中に入って来た莫大な精気に玉兎は電撃が走ったような衝撃を受け、自分の身体に満ちあふれていく感触に狂喜した。

「は、は、は、素晴らしいぞ。これは」

 想像以上の精気を得られる。何より更なる快感を得られると本能から理解した玉兎は衝動のままピストンを再開する。
 先ほどの衝撃を歓喜を得ようと更に激しく大きく腰を振る。

「……む。これは……」

 その中で玉兎は違和感を感じた。
 身体の中での自分の存在が相対的に小さくなっている。
 勿論自分の精気はこれまでの行為による快感で量は増大していた。先ほどの精液で数倍になっている。
 だがそれ以上に自分とは別の魂が、精気に溢れようとしていた。しかも先ほどの先走り汁によって数十倍に膨れあがっている。

「こ、これ、は、と、止めねば」

 玉兎は腰振りを止めようとするが、身体は尚も快感を求めている。
 快感を知った身体は更なる快楽を求めて玉兎の意に反しピストン運動を続ける。

「うおおお、もうダメだ! で、出る!」

 絶え間ない刺激に一刀の我慢は限界だった。はち切れんばかりに溜まった精液と精気を出そうとする。

「ま、待て……」

 玉兎の言葉を無視し、或いは刺激となり玉兎は自分の一物から欲情の噴射を玉兎に操られた雅の身体の中に放った。

「あ、ああああああああっっっっっっっっ」

 その瞬間、玉兎は大きな悲鳴を上げたが、一刀は射精後の解放感と全能感の中で意識を失った。



「うっ」

 暫く経って一刀はようやく目が醒めた。

「おはよう、ねぼすけさん」

 雅に声を掛けられ、それが切っ掛けとなり記憶が蘇る。
 一刀は直ぐさま起き上がり雅と距離を取り自分の刀を取ろうとする。そして気が付いた。

「……雅なのか?」

「そうよ」

 拗ねたように口をとがらせ顔を赤らめながら雅は肯定した。
 いつものように少し背伸びをしていて、おっとりしたところのある雅だ。玉兎のような目の鋭さや妖艶な雰囲気は微塵も感じられず口調も普段のままだ。

「無事なのか?」

「一部を除いて平気よ」

 目をつぶり顔を真っ赤にしつつ怒ったように言う。
 何処かと聞こうとしたが、直ぐに気が付き止めた。
 前日、傷つけたばかりの場所を今日になって再び激しく擦ったら血も出るというものだ。

「で、でも、どうして玉兎が出て行ったのに無事なんだ」

「出て行ってないわよ。封印に成功したの」

「どういう事なんだ?」

「一刀の精気は確かに玉兎に注がれた。けど私の方にそれ以上の精気が注ぎ込まれたの。確かに封印しようとしたときは精気が玉兎の方が上で私は支配された。だけど、一刀が精気を注ぎ込んでくれたお陰で私の精気が圧倒して玉兎を封印することが出来たの」

 熱に浮かされるように一刀をじっと見つめながら雅は説明した。

「そ、そうか。じゃあ、玉兎はまだ」

「ええ、私の中にいるわ。私はこのまま、玉兎を封印しなければならないわ」

「復活する可能性があるのか」

「私の精気が弱まれば」

「そうか」

 一刀は雅の言葉に心の中がざわめいた。

「じゃあ、雅の精気が弱まらないようにもっと精気を」

「今はもう良いわよ!」

 雅は真っ赤に顔を染めて叫んだ。
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