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第2章
第62話:地獄の訓練?
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それから俺指導による厳しい訓練が続いた。
そう言えばクラスメイトは俺とゼノア、クレアを入れて10名だ。アウストにアデル、サーシャ、リリスの4人が貴族で、ディール、バーン、カリナが平民となっている。
このSクラスでの女子はクレア、サーシャ、リリス、カリナの4人だ。いや、ゼノアも入れて5人だな。
他は男子となっている。
この10名がSクラスのメンバーだ。
現在は近接戦の訓練で二人一組で組手を行っていた。途中から俺も参加し一人一人指導しながら訓練をすることになった。
組手は肩慣らしの様なものであり、訓練の本番はこれからだ。
今日は少しキツめのメニューでいくとしようか。
そう思い至った俺は邪悪笑みを浮かべ「クックック」と笑い声を上げた。
そんな俺を見たクレアと他のクラスメイト達は……
「アキトさんが何か企んでいます……あの笑みは危険ですよ……」
「確かにクレア様の言う通りかも……」
「あの笑い声、良い思いはしたことがないのだけど……」
三者三様に思ったことを口にした。
それは俺の耳にも届いているわけであり……
「おい。今、何か言ったか……?」
「「「ひぃぃっ!? な、何も言っていません!」」」
クレアを含めた全員が首を横に振り口を揃えてそう言った。
再び訓練場に悲鳴が響き渡るのだった。
夕方、全員が疲れたような表情をしていた。
「アキト、流石に疲れた……」
そう言ってきたのはアウストだった。
俺が全員を見渡すと、どこかぐったりとしているようだった。
相当堪えたのだろうと思われる。
俺は「はぁ……」と溜息を吐いた。
「お前ら体力が無さすぎるぞ。次からは走り込みも入れるとしよう」
その発言に誰もが見てわかるほど嫌な顔をする。そんなに嫌なのか? ちょっとショックなんだが……
「あの、もう少し簡単には~……」
「ならないな」
俺はリリスの発言に即答した。
「えぇ……」
「お前ら勝ちたくないのか? 本選に出たくはないのか?」
その言葉に誰もが黙りこくってしまう。
「……勝ちたいに決まってます」
みんなも「勝ちたい」と口にする。
「なら頑張れ。努力は報われる。積み重ねた努力は無駄にはならない」
「でも、本当に強くなっているのか?」
ディールがそんなことを口にした。
たしかに強くなったか分からないと不安になるだろう。
だがこれだけは言える。
「安心しろ。確実に強くなっている。それだけは俺が保証しよう」
「本当、か……?」
「ああ、本当だとも」
俺はそう宣言した。するとみんなの表情に自信が戻ってきた。
「よっしゃあ! 頑張るぞ!」
「そうね!」
「勝って本選に出場してやる!」
「勿論よ!」
「全員で予選上位に入るぞ!」
こうしてやる気に満ちた目を宿した彼らと俺達はそれぞれの自宅へと帰るのだった。
「やる気があるのはいい事だ。なら少しではなく、地獄のような特訓にするとしよう。拒否権は認めない。いいな?」
その言葉に、全員の表情が見てわかるほどに青白くなっていく。
やる気があるとは良いことだ。
うんうんと頷く俺とは正反対に、みんなはガックシと膝を突き絶望の表情をした。
「俺、予選までに正気でいられるかな……?」
「私も……」
「これは確実に逃げられない訓練だ……」
クレアは青白い顔のまま、みんなを元気付けようと口を開く。
「み、みなさん、が、頑張りましょう……!!」
めちゃくちゃ声が震えていたが……
それから予選当日まで、俺とゼノア指導による地獄のような特訓が始まるのだった。
そう言えばクラスメイトは俺とゼノア、クレアを入れて10名だ。アウストにアデル、サーシャ、リリスの4人が貴族で、ディール、バーン、カリナが平民となっている。
このSクラスでの女子はクレア、サーシャ、リリス、カリナの4人だ。いや、ゼノアも入れて5人だな。
他は男子となっている。
この10名がSクラスのメンバーだ。
現在は近接戦の訓練で二人一組で組手を行っていた。途中から俺も参加し一人一人指導しながら訓練をすることになった。
組手は肩慣らしの様なものであり、訓練の本番はこれからだ。
今日は少しキツめのメニューでいくとしようか。
そう思い至った俺は邪悪笑みを浮かべ「クックック」と笑い声を上げた。
そんな俺を見たクレアと他のクラスメイト達は……
「アキトさんが何か企んでいます……あの笑みは危険ですよ……」
「確かにクレア様の言う通りかも……」
「あの笑い声、良い思いはしたことがないのだけど……」
三者三様に思ったことを口にした。
それは俺の耳にも届いているわけであり……
「おい。今、何か言ったか……?」
「「「ひぃぃっ!? な、何も言っていません!」」」
クレアを含めた全員が首を横に振り口を揃えてそう言った。
再び訓練場に悲鳴が響き渡るのだった。
夕方、全員が疲れたような表情をしていた。
「アキト、流石に疲れた……」
そう言ってきたのはアウストだった。
俺が全員を見渡すと、どこかぐったりとしているようだった。
相当堪えたのだろうと思われる。
俺は「はぁ……」と溜息を吐いた。
「お前ら体力が無さすぎるぞ。次からは走り込みも入れるとしよう」
その発言に誰もが見てわかるほど嫌な顔をする。そんなに嫌なのか? ちょっとショックなんだが……
「あの、もう少し簡単には~……」
「ならないな」
俺はリリスの発言に即答した。
「えぇ……」
「お前ら勝ちたくないのか? 本選に出たくはないのか?」
その言葉に誰もが黙りこくってしまう。
「……勝ちたいに決まってます」
みんなも「勝ちたい」と口にする。
「なら頑張れ。努力は報われる。積み重ねた努力は無駄にはならない」
「でも、本当に強くなっているのか?」
ディールがそんなことを口にした。
たしかに強くなったか分からないと不安になるだろう。
だがこれだけは言える。
「安心しろ。確実に強くなっている。それだけは俺が保証しよう」
「本当、か……?」
「ああ、本当だとも」
俺はそう宣言した。するとみんなの表情に自信が戻ってきた。
「よっしゃあ! 頑張るぞ!」
「そうね!」
「勝って本選に出場してやる!」
「勿論よ!」
「全員で予選上位に入るぞ!」
こうしてやる気に満ちた目を宿した彼らと俺達はそれぞれの自宅へと帰るのだった。
「やる気があるのはいい事だ。なら少しではなく、地獄のような特訓にするとしよう。拒否権は認めない。いいな?」
その言葉に、全員の表情が見てわかるほどに青白くなっていく。
やる気があるとは良いことだ。
うんうんと頷く俺とは正反対に、みんなはガックシと膝を突き絶望の表情をした。
「俺、予選までに正気でいられるかな……?」
「私も……」
「これは確実に逃げられない訓練だ……」
クレアは青白い顔のまま、みんなを元気付けようと口を開く。
「み、みなさん、が、頑張りましょう……!!」
めちゃくちゃ声が震えていたが……
それから予選当日まで、俺とゼノア指導による地獄のような特訓が始まるのだった。
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