KAKERU 世界を震撼させろ

福澤賢二郎

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駆の章

巨人

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《空山隆之介》
ナイジェリアのサッカーはミスが多いが、身体能力が尋常じゃない。
すぐにチェックにて力で奪い返す。速くて強い。
その中でミッドフィルダーを務めるキャプテンのオニエ.チェクツグは特別だ。背が二メートルもあり、筋肉隆々。まるで、黒い弾丸機関車だ。
その上、上手く、欧州のサッカーをやる。
現在のところは相手のミスもあり、助かっていた。
オニエはボールを外に流して自分はゴール前に詰めて、パスを待つ。
センターバックの昌司がマークに付くが、何も気に止める様子は無い。
ボールが入ってきた。
オニエと昌司が飛ぶ。頭二つ程、オニエの方が高く思い切り身体を反った所からヘディングで打ち降ろす。
キーパーの川島は反応するが、ボールに触れずにゴールネットを揺らした。
その後は中盤でオニエが日本を抑え込む。
まるで閻魔大魔王のようだ。
おい、城戸さん、柴咲さんよ、なんとかしろよ。
隣の大海信吾が少しニヤリとしてフィールドを睨んでいる。
「空山よ、世界は凄いな。でも、俺の方が凄い事を証明したるわ」
「だが、オニエ.チェクツグは世界トップクラスの選手」
「ああ、その通りや。だが、俺には城戸や柴咲さんがおる。背後に抜ければ俺の勝ちや」
「南さん一人では前線を保てない」
前半終了のホイッスルが鳴り響いた。
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