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駆の章
レオン
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《空山隆之介》
ブラジルとロシアの試合を宇垣悠里に見ようと言われてスタジアムに連れて来られた俺は放送席にいる。
放送席はスタンドの中腹辺りにあり、モニターとフィールドを見ながら解説などを実施するんだ。
宇垣悠里はマイクなど急いで付けて、放送の準備をしていた。
「おい、宇垣さん、何で放送席にいるんだ?」
「一緒に試合を見るには仕方なかったの。西島監督には許可をとってあります」
「始めから、そのつもりだった?」
「ううん。今日担当するレポートの子が体調を崩してしまったの。その代理を頼まれたの」
「ふ~ん」
「私、サッカーが大好きだから」
「そのようだね」
「必ず、埋め合わせをするから」
「別にいいよ」
そこに山田太郎が現れた。
「宇垣、準備は良いか?」
「はい、大丈夫です」
「あと、ゲストが一人追加だ。冒頭のインタビューは最高になるぞ」
山田の後ろから現れたのはアルゼンチン代表のレオン.メッシーだった。
小柄で人懐っこい笑顔で入ってきた。
そして、通訳として桐谷里帆が入ってきた。
俺の顔を見てニコリした。
「宇垣さん、突然、お邪魔してすみません。隆之介が番組に出ると話をしたら、メッシーも出たいという事になってしまいました」
宇垣悠里の手足が震えている。
「レオン.メッシーさん、光栄です。今日は宜しくお願いします。さあ、席について下さい」
俺の横にレオン.メッシーが座り、少し後ろに里帆が座った。
「里帆、メッシーさんとどういう関係なんだよ」
「気になる?」
「ふん、ぜんぜん」
「ビジネスだよ」
そして、カメラマンを正面に山田太郎から位置取りの指示が入る。
俺達はそれに従い、立ち位置についた。
放送が始まった。
正面にあるモニターに日本のスタジオが映った。
大居正広だ。
(こんばんは。今日はブラジル対ロシアをお送りします。中継の悠里ちゃん。そっちはどんな状況?今日も街はお祭り騒ぎだよね)
「宇垣悠里です。今日はビッグゲストが来ています。なんと、日本代表の空山選手とアルゼンチン代表でサッカー界の至宝と呼ばれるレオン.
メッシー選手が来ています」
(う、嘘でしょ。メッシーが来てるの?)
「そうなんです。独占です」
(凄いね。時間が勿体ないからさ、早速、始めて)
「メッシー選手、今日のブラジルとロシア戦ですが、どの選手に注目してますか?」
メッシーに注目が集まる。
「僕はブラジルのマテウスかな。でも、今は日本に興味があるよ」
メッシーが俺を見ている。
「日本ですか?」
「そうだね。日本の人達には申し訳ないんだけど、スペインが圧倒的な勝利をおさめると思っていたからね」
大居正広が入ってくる。
(ぜんぜん、悪くないよ。世界中がそう思っていたもの)
「でも、結果は日本の勝利でした。日本は何処が良かったですか?」と宇垣悠里が訊ねた。
「そこの彼さ」
「空山隆之介選手ですか?」
「そう。彼が無敵艦隊の攻撃を防ぎ、世界の度肝を抜くようなビッグシュートを決めた」
レオン.メッシーと宇垣悠里はニコリと笑い、俺を見た。
「アルゼンチンは空山選手を注意しているという事ですね」
「そうなんだ。でも、解析したくても情報が無くてね。だから、ここに来たんだ。ブラジル戦を見ながら、色々と聞かせてくれ」
「あっ、ブラジル戦が始まります。スタジオへお返しします」
(え~、空山選手とメッシーの話も面白そうだけど、今日の主役はブラジルの若き帝王マテウスなのか、ロシア皇帝と呼ばれるアレクサンドルなのか。楽しみな対戦です。それでは試合を見ましょう)
ブラジル対ロシア戦がキックオフされた。
ブラジルとロシアの試合を宇垣悠里に見ようと言われてスタジアムに連れて来られた俺は放送席にいる。
放送席はスタンドの中腹辺りにあり、モニターとフィールドを見ながら解説などを実施するんだ。
宇垣悠里はマイクなど急いで付けて、放送の準備をしていた。
「おい、宇垣さん、何で放送席にいるんだ?」
「一緒に試合を見るには仕方なかったの。西島監督には許可をとってあります」
「始めから、そのつもりだった?」
「ううん。今日担当するレポートの子が体調を崩してしまったの。その代理を頼まれたの」
「ふ~ん」
「私、サッカーが大好きだから」
「そのようだね」
「必ず、埋め合わせをするから」
「別にいいよ」
そこに山田太郎が現れた。
「宇垣、準備は良いか?」
「はい、大丈夫です」
「あと、ゲストが一人追加だ。冒頭のインタビューは最高になるぞ」
山田の後ろから現れたのはアルゼンチン代表のレオン.メッシーだった。
小柄で人懐っこい笑顔で入ってきた。
そして、通訳として桐谷里帆が入ってきた。
俺の顔を見てニコリした。
「宇垣さん、突然、お邪魔してすみません。隆之介が番組に出ると話をしたら、メッシーも出たいという事になってしまいました」
宇垣悠里の手足が震えている。
「レオン.メッシーさん、光栄です。今日は宜しくお願いします。さあ、席について下さい」
俺の横にレオン.メッシーが座り、少し後ろに里帆が座った。
「里帆、メッシーさんとどういう関係なんだよ」
「気になる?」
「ふん、ぜんぜん」
「ビジネスだよ」
そして、カメラマンを正面に山田太郎から位置取りの指示が入る。
俺達はそれに従い、立ち位置についた。
放送が始まった。
正面にあるモニターに日本のスタジオが映った。
大居正広だ。
(こんばんは。今日はブラジル対ロシアをお送りします。中継の悠里ちゃん。そっちはどんな状況?今日も街はお祭り騒ぎだよね)
「宇垣悠里です。今日はビッグゲストが来ています。なんと、日本代表の空山選手とアルゼンチン代表でサッカー界の至宝と呼ばれるレオン.
メッシー選手が来ています」
(う、嘘でしょ。メッシーが来てるの?)
「そうなんです。独占です」
(凄いね。時間が勿体ないからさ、早速、始めて)
「メッシー選手、今日のブラジルとロシア戦ですが、どの選手に注目してますか?」
メッシーに注目が集まる。
「僕はブラジルのマテウスかな。でも、今は日本に興味があるよ」
メッシーが俺を見ている。
「日本ですか?」
「そうだね。日本の人達には申し訳ないんだけど、スペインが圧倒的な勝利をおさめると思っていたからね」
大居正広が入ってくる。
(ぜんぜん、悪くないよ。世界中がそう思っていたもの)
「でも、結果は日本の勝利でした。日本は何処が良かったですか?」と宇垣悠里が訊ねた。
「そこの彼さ」
「空山隆之介選手ですか?」
「そう。彼が無敵艦隊の攻撃を防ぎ、世界の度肝を抜くようなビッグシュートを決めた」
レオン.メッシーと宇垣悠里はニコリと笑い、俺を見た。
「アルゼンチンは空山選手を注意しているという事ですね」
「そうなんだ。でも、解析したくても情報が無くてね。だから、ここに来たんだ。ブラジル戦を見ながら、色々と聞かせてくれ」
「あっ、ブラジル戦が始まります。スタジオへお返しします」
(え~、空山選手とメッシーの話も面白そうだけど、今日の主役はブラジルの若き帝王マテウスなのか、ロシア皇帝と呼ばれるアレクサンドルなのか。楽しみな対戦です。それでは試合を見ましょう)
ブラジル対ロシア戦がキックオフされた。
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