KAKERU 世界を震撼させろ

福澤賢二郎

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駆の章

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《空山隆之介》
イニエスタ、ランディ、アカサが俺のところにやって来て、笑顔で手を差しのべて来た。

「ソラヤマ、次は勝つ。予選を突破してこい。俺達も予選を突破する」

「あ、ああ、決勝で待っといてやる」

ランディが大笑いをして、手を叩いていた。

「お、おめえ、面白い奴。決勝か。おう、決勝で会おう」

イニエスタが手を上げて振り向いて、自陣のベンチへ歩きだした。
他の二人も続いて歩きだす。

あ、あれ?

足に力が入らない。足を見ると震えていた。
膝が抜ける。
思わず、尻をついてしまった。

柴咲武志がすかさず肩を貸してくれた。
「空山、良くやった。お前は立派な俺達の仲間だ」

「柴咲さん、ありがとうございます」

「お礼を言わなければならないのは俺の方だ」

俺は嬉しくて嬉しくて涙が溢れてきた。

駆、俺には仲間が出来たようだ。
すまないな。

“隆之介、俺の事は気にするな。だけど、よかったな”

遠くから駆の声が聞こえた気がした。

《桐谷里帆》
私は立ち上がっていた。
そして、濱本麟太郎も呆然としてグランドを眺めていた。
「お嬢様、サッカーごときに感動するとは思っていませんでした」
「麟太郎、違うよ。空山隆之介に感動したんだよ」
「空山隆之介に」
「麟太郎、私は隆之介のところへ行ってくるね」
「は、はい」
私はVIP室を出て、階段を駆け降りた。

駆くん、隆之介は凄いよ。
世界が隆之介を認める事になるよ。
涙が、涙が、止まらないよ。

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