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母は、ベッドの上に起きていた。家の中の用ならば、自分で歩いて済ませるほどに回復している。
「まあ。リウメネレン殿下。このような格好で失礼しました」
「療養中の身だ。こちらも急な訪問で失礼した。気に病まないように」
リウメネレンは、母に復帰の意向を問う前に、ティヌリエルの罪について説明した。
母は、王女が牢に住むことも知らずにいた。ヒサエルディスが、伏せていたのである。
「なんでまた‥‥オールコックという魔術師が、それほど悪賢かったのね」
ショックの余り絶句した母は、口を利けるようになるなり、リチャードを責めた。彼が、王女を陥れたと考えたのだ。
同意を求められたのは、ヒサエルディスである。彼女は相槌にも困って口ごもる。嘘でも彼を悪く言いたくない。
「魔術の才能は、優れていたのだろう。他にもいくつか秀でた才を持っていた」
代わりに、リウメネレンが応じた。
「彼は、魔族の長の魂を、その身に取り込んだと思われる」
「えっ?」
「では、エルフ国で預かった魂は‥‥」
ヒサエルディスは、その先を口にすることができなかった。
ティヌリエルは、保管場所へ案内しただけでなく、魂を引き渡してしまったのか。それは、余りにも大きすぎる罪だった。
「違う。オールコックが取り込んだのは、アリストファム王国で管理していた分だ。ビアトリス王女が、彼に保管場所を教えた。彼女は実際取り込む場面までは見なかったそうだが、状況からしてほぼ間違いない」
母が、ほっと息をついたのが見えた。
もし、ティヌリエルが間に合ってしまったら、リチャードは魔族の長の魂を三分の二も取り込んでいたことになる。
世界最高峰の魔術師と呼ばれるハリナダンでも、勝てなかったかもしれない。まして、当時の勇者や仲間たちを、揃えることもできないのだ。人間の寿命は短すぎる。
その後起こりうる混乱を想像しただけで、ヒサエルディスは身震いが出た。
「彼は魅了の才にも長けていた。尤も、ドワーフ国の女性には、通用しなかったらしい。彼女らは、自らに似た外見を好む傾向にあるから、かな? お陰で、そちらの魂はひとまず、取り込まれずに済んだ」
重苦しい空気を振り払うように、リウメネレンが明るい口調で言った。
ドワーフ族は、体型に性別の差がほとんど見られない。すなわち、酒樽のようなずんぐりとしたシルエットに、短めの手足がついた外見である。
髭を持つ女性も稀ではないと聞く。
リチャードが、彼女たちの好みに寄せるには、常に幻覚魔法をかけ続けなければならなかったろう。
魔族の長の魂を、三分の二も取り込んだ後には、そのような悠長な作戦ではなく、より強硬な手段を取ったかもしれない。
失敗に終わった今だから、笑う余裕があるのである。
「ヒサエルディスに渡されたブローチだが」
唐突なリウメネレンの言葉に、彼女は不意を突かれて動揺した。
彼女はリチャードとの関係を、母にも打ち明けていなかった。
ティヌリエルの罪状を聞いた後で、娘も彼と関係を結んでいたと聞かされたら、母は何と思うだろうか。
「あれには、居場所を知らせる魔法がかけられていた。エルフ国の場所を、特定する目的だったと思われる。彼が巧みだったのは、それを囮として使ったところだ」
狼狽える彼女に構わず、リウメネレンは淡々と説明を続けた。
「本命は、結界を弱める機能を持たせた道具だ。恐らくは、ティヌリエルの体内に仕込んであった。後に侵入口付近で発見された」
ヒサエルディスの脳裏に、絡み合う二人の姿が蘇った。ではあれは、愛の営みなどではなく、道具を取り出す作業だったのか。
エルフ国の持つ魂を取り込んだ後、ティヌリエルを連れて逃げるならば、道具を彼女の体内から取り出す必要はない。
リチャードは、王女を残し、ヒサエルディスを迎えに来てくれたかもしれないのだ。
一瞬だけ、二人で世界を駆ける姿を想像し、すぐに否定した。彼は三分の二を手にしたら、残る三分の一を得るために、再びドワーフ国へ赴いただろう。そこにヒサエルディスの存在は不要である。
どのみち、彼が死んだ今となっては、真相を聞くことも叶わないのだ。
「オールコックはティヌリエルを使って結界を抜け、魔族の長の魂を手に入れようとしたが、失敗した。彼女は、魂の在処を知らず、その事実も知らなかった。故に、魂を狙う輩向けの罠に嵌ったという訳だ。ブローチの一件以来、警戒していたことも幸いした。父の帰国は、彼を迎え撃つのにぎりぎり間に合った」
「ハリナダン王弟殿下のこと、改めてお悔やみ申し上げます」
母が頭を垂れた。遺体はないが、亡くなったものとして葬儀を出していた。リウメネレンは、ハリナダンの息子なのだ。
「ありがとう。それで、ティヌリエルの処遇だが、国の結界を侵し、他国の者と結託して魔族の長の魂を盗ませようとした罪は、重い。外交的な体面からも、王女は生涯幽閉となるだろう。正式な沙汰が下れば、王城から離れた別の場所へ移送する予定だ。世話をする者も、同じく隔離された生活を送ることになる。現在はヒサエルディスに世話を頼んでいる。ファヌィアル、君が回復したら、この仕事を引き継いでもらえるだろうか?」
「喜んでお受けします。私は、ティヌリエル様の乳母ですもの。最後までお世話させてもらえるのは、光栄です」
母は即答した。
ヒサエルディスは、リチャードとの関係を話さずに済んで、安堵すると同時に不安になる。
ティヌリエルが、母にも彼女なりの真相を話すかもしれない。
リチャードを失った王女は、気分の浮き沈みが激しくなっている。彼女の言い方次第で、母が傷付くことは容易に想像できた。
出来れば、王女と母を近付けたくなかった。今更の思いである。
「ところで、ファヌィアルが復帰した後のことだが」
リウメネレンが、また話題を変えた。
「ヒサエルディスの体を借りても良いか? 彼女に、手伝ってもらいたい仕事がある」
「師匠、弟子にしてくれるのですか?」
部屋に光が差した気がした。彼女は、前のめりになって尋ねた。
「弟子にはしない」
即座に断られた。それでも、気分は高揚したままである。ティヌリエルとの息詰まる時間に比べれば、リウメネレンとの仕事は、森の中に憩うと同様であった。
「もちろんですとも。何でしたら、側室でも愛人でも、とことん使ってやってください」
横から、母の声がした。やたらと嬉しそうな声であった。そこで、ヒサエルディスは落ち着きを取り戻した。
進んで娘を愛人に差し出す母が、ここにいたとは。
そこで正妻にしろ、と冗談にも言わない辺りが、王城勤めの長い母らしくもあった。
「お母さん、殿下に失礼だよ」
母の軽口のせいで、リウメネレンとの仕事を失っては堪らない。ヒサエルディスは、釘を刺したのだった。
「まあ。リウメネレン殿下。このような格好で失礼しました」
「療養中の身だ。こちらも急な訪問で失礼した。気に病まないように」
リウメネレンは、母に復帰の意向を問う前に、ティヌリエルの罪について説明した。
母は、王女が牢に住むことも知らずにいた。ヒサエルディスが、伏せていたのである。
「なんでまた‥‥オールコックという魔術師が、それほど悪賢かったのね」
ショックの余り絶句した母は、口を利けるようになるなり、リチャードを責めた。彼が、王女を陥れたと考えたのだ。
同意を求められたのは、ヒサエルディスである。彼女は相槌にも困って口ごもる。嘘でも彼を悪く言いたくない。
「魔術の才能は、優れていたのだろう。他にもいくつか秀でた才を持っていた」
代わりに、リウメネレンが応じた。
「彼は、魔族の長の魂を、その身に取り込んだと思われる」
「えっ?」
「では、エルフ国で預かった魂は‥‥」
ヒサエルディスは、その先を口にすることができなかった。
ティヌリエルは、保管場所へ案内しただけでなく、魂を引き渡してしまったのか。それは、余りにも大きすぎる罪だった。
「違う。オールコックが取り込んだのは、アリストファム王国で管理していた分だ。ビアトリス王女が、彼に保管場所を教えた。彼女は実際取り込む場面までは見なかったそうだが、状況からしてほぼ間違いない」
母が、ほっと息をついたのが見えた。
もし、ティヌリエルが間に合ってしまったら、リチャードは魔族の長の魂を三分の二も取り込んでいたことになる。
世界最高峰の魔術師と呼ばれるハリナダンでも、勝てなかったかもしれない。まして、当時の勇者や仲間たちを、揃えることもできないのだ。人間の寿命は短すぎる。
その後起こりうる混乱を想像しただけで、ヒサエルディスは身震いが出た。
「彼は魅了の才にも長けていた。尤も、ドワーフ国の女性には、通用しなかったらしい。彼女らは、自らに似た外見を好む傾向にあるから、かな? お陰で、そちらの魂はひとまず、取り込まれずに済んだ」
重苦しい空気を振り払うように、リウメネレンが明るい口調で言った。
ドワーフ族は、体型に性別の差がほとんど見られない。すなわち、酒樽のようなずんぐりとしたシルエットに、短めの手足がついた外見である。
髭を持つ女性も稀ではないと聞く。
リチャードが、彼女たちの好みに寄せるには、常に幻覚魔法をかけ続けなければならなかったろう。
魔族の長の魂を、三分の二も取り込んだ後には、そのような悠長な作戦ではなく、より強硬な手段を取ったかもしれない。
失敗に終わった今だから、笑う余裕があるのである。
「ヒサエルディスに渡されたブローチだが」
唐突なリウメネレンの言葉に、彼女は不意を突かれて動揺した。
彼女はリチャードとの関係を、母にも打ち明けていなかった。
ティヌリエルの罪状を聞いた後で、娘も彼と関係を結んでいたと聞かされたら、母は何と思うだろうか。
「あれには、居場所を知らせる魔法がかけられていた。エルフ国の場所を、特定する目的だったと思われる。彼が巧みだったのは、それを囮として使ったところだ」
狼狽える彼女に構わず、リウメネレンは淡々と説明を続けた。
「本命は、結界を弱める機能を持たせた道具だ。恐らくは、ティヌリエルの体内に仕込んであった。後に侵入口付近で発見された」
ヒサエルディスの脳裏に、絡み合う二人の姿が蘇った。ではあれは、愛の営みなどではなく、道具を取り出す作業だったのか。
エルフ国の持つ魂を取り込んだ後、ティヌリエルを連れて逃げるならば、道具を彼女の体内から取り出す必要はない。
リチャードは、王女を残し、ヒサエルディスを迎えに来てくれたかもしれないのだ。
一瞬だけ、二人で世界を駆ける姿を想像し、すぐに否定した。彼は三分の二を手にしたら、残る三分の一を得るために、再びドワーフ国へ赴いただろう。そこにヒサエルディスの存在は不要である。
どのみち、彼が死んだ今となっては、真相を聞くことも叶わないのだ。
「オールコックはティヌリエルを使って結界を抜け、魔族の長の魂を手に入れようとしたが、失敗した。彼女は、魂の在処を知らず、その事実も知らなかった。故に、魂を狙う輩向けの罠に嵌ったという訳だ。ブローチの一件以来、警戒していたことも幸いした。父の帰国は、彼を迎え撃つのにぎりぎり間に合った」
「ハリナダン王弟殿下のこと、改めてお悔やみ申し上げます」
母が頭を垂れた。遺体はないが、亡くなったものとして葬儀を出していた。リウメネレンは、ハリナダンの息子なのだ。
「ありがとう。それで、ティヌリエルの処遇だが、国の結界を侵し、他国の者と結託して魔族の長の魂を盗ませようとした罪は、重い。外交的な体面からも、王女は生涯幽閉となるだろう。正式な沙汰が下れば、王城から離れた別の場所へ移送する予定だ。世話をする者も、同じく隔離された生活を送ることになる。現在はヒサエルディスに世話を頼んでいる。ファヌィアル、君が回復したら、この仕事を引き継いでもらえるだろうか?」
「喜んでお受けします。私は、ティヌリエル様の乳母ですもの。最後までお世話させてもらえるのは、光栄です」
母は即答した。
ヒサエルディスは、リチャードとの関係を話さずに済んで、安堵すると同時に不安になる。
ティヌリエルが、母にも彼女なりの真相を話すかもしれない。
リチャードを失った王女は、気分の浮き沈みが激しくなっている。彼女の言い方次第で、母が傷付くことは容易に想像できた。
出来れば、王女と母を近付けたくなかった。今更の思いである。
「ところで、ファヌィアルが復帰した後のことだが」
リウメネレンが、また話題を変えた。
「ヒサエルディスの体を借りても良いか? 彼女に、手伝ってもらいたい仕事がある」
「師匠、弟子にしてくれるのですか?」
部屋に光が差した気がした。彼女は、前のめりになって尋ねた。
「弟子にはしない」
即座に断られた。それでも、気分は高揚したままである。ティヌリエルとの息詰まる時間に比べれば、リウメネレンとの仕事は、森の中に憩うと同様であった。
「もちろんですとも。何でしたら、側室でも愛人でも、とことん使ってやってください」
横から、母の声がした。やたらと嬉しそうな声であった。そこで、ヒサエルディスは落ち着きを取り戻した。
進んで娘を愛人に差し出す母が、ここにいたとは。
そこで正妻にしろ、と冗談にも言わない辺りが、王城勤めの長い母らしくもあった。
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