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41 王宮③

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「も、もちろんでございます!」

タイラーの返事を聞くとリヒテルは安心したように微笑んだ。

「ありがとう。さぁ椅子に座ってくれ。まだ話はあるんだ。」

タイラーは急いで椅子に座り直すとリヒテルの話の続きを待った。

「ノスティアの獣人達はとても優しく穏やかだが人間を怖がっていると話しただろう?実際に人間に暴力を振われたり騙されたこともある獣人もいた。俺がプロポーズした……アリンと言うんだがあの子の両親も事故だったが人間の貴族のせいで亡くなっている。」

「貴族がですが……!?」

「あぁ。そのせいでノスティアから出ることができない猫獣人が大勢いる。……本当は町から出て色んな経験をしたいと思っているのに……!」

「俺はどの種族であっても平等に生活する権利があると思っている。そしてそれを実現したいと思っている。」

「リヒテル様……」

「それが……今私があの子の為に出来ることだと思うんだ。」

少し寂しそうに、だけど決意を持ったその輝く瞳にタイラーは心を強く打たれた。

「リヒテル様!必ずや実現致しましょう!」


そしてここからリヒテルとタイラーの計画が始まった。
まずタイラーにはアリンの両親の事故に関わった貴族を特定してもらうことにした。
これに関してはどうしても王宮が関わっているとしか思えず自分が詮索するにはどうしても危ない。タイラーにお願いすると同時に俺は仲間を増やすことを決めた。どうしても2人だけでは動きにくい上にタイラーも普段の仕事がある。信頼が出来てなおかつ王宮で勤務している人物がいい。

「リヒテル様、それに関しては適任な人物がいます。」

「それは誰だ?」

「同じリヒテル様護衛部隊のエリックです。」

「エリックか……。なぜエリックなんだ?」

「彼は……言いにくいのですが、リヒテル様の捜索が難航し、私含め皆が諦めかけた時がありました。そんな時でも彼は皆を励まし諦めるなと鼓舞してくれました……。だから彼は絶対にリヒテル様を裏切りません!」

「そうか……エリックが……」

タイラーの話を聞きリヒテルの目頭が熱くなった。と同時に申し訳なくて胸が痛んだ。自分は父や兄と対立することも多い事からとっくに見捨てられていると思っていたのだ。

ーー諦めずにいてくれたんだな…。

「わかった。エリックには私から話をしよう。」

泣きそうになるのを気付かれないよう天井を見上げてから大きく深呼吸をした。


エリックと話が出来たのはそれから暫く経ってからだった。

本当はすぐにでも話をしたいと思っていたが次の日から山盛りの書類が自室に届くようになり今までのように外に出れなくなってしまった。おまけに捜索に関わっていた護衛達が全員変わってしまっていてエリックは兄のルーカス、タイラーは父上の護衛に異動になっていた。

ーー盗聴された形跡はないな…きっとまたノスティアに行くのではないかと怪しんでいるのだろうな。


どうタイラーやエリックと連絡を取り合うか思案していたが思っていたより呆気なくその日はやってきた。


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