眠りの巫女と野良狐

碧野葉菜

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なんだかんだ、仲良くなります。

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「こんなにたくさん、どうするのだ?」
「洗って乾燥させて、巾着に入れて友達や顔見知りの人たちに配るのよ。草が完全に茶色くなると香りも失われちゃうから、それなりに取り替えが必要なの」

 影雪は竹ザルの薬草に鼻を近づけ「そんなにいい匂いとは思わんが」と、首を傾げていた。
 まだ夢穂が香りづけしていないそれはただの野草に過ぎないので、当たり前だ。

「それにしても、ここに来てからやたらと眠くなる、どうしてか」
「それは眠りの巫女冥利に尽きるわね」

 夢穂が祈りを捧げているこの場所は、世界の眠りの中心部だ。
 そのため命あるものがリラックスし、最も心地よい睡眠へといざなわれる空気が流れている。
 そしてそれは人間に限ったことではない。
 安らかな休息は動物を生き生きとさせ、植物をのびのびと成長させる。だからこの周辺の自然はいつも生命力に満ちているのだ。
 例え別世界から来たあやかしである影雪にも、その効果が作用してもなんら疑問はなかった。
 向こうで不足していた睡眠を、ここで取り戻しているのだろうと思われた。

「もしかして、お前が何かじゅつでもかけているのか?」
「……さあ、どうかな?」

 悪戯っ子のように笑ってみせる夢穂。
 影雪は夢穂のそんな顔を、もっと見ていられたらと思った。
 夢穂の役に立つことができたらまた笑ってくれるだろうかと、竹ザルを運びながらそんなことばかり考えていた。
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