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零章
祓花 ②
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尾先:……
槐:へぇ、こんな終わり方なんだね
尾先:……おい
槐:しかし、色々と突っ込みたいね
うむ、質問していいかな?
尾先:その前に、何してるんだよ
槐:ホラー映画を本物の霊感持ちと
一緒に見るという行為だが?
尾先:そういう事じゃねーよ
槐:また遊びに行く、と言っただろう?
尾先:ガチで遊びに来たのか?
槐:依頼が無いと会えないのかい?
寂しいねぇ、友達いないね?
尾先:お前と友達になった覚えはないが
槐:フフ、損してるね
私と友達になった方が都合が良いよ?
尾先:学者先生だからか?
生憎、こっちは必要無し、だ
槐:いや、『槐』として
尾先:お前、まだ何か隠してるのか
槐:……見たところ
この家には"何も無い"
尾先:何が無いんだ?
槐:君の黄色のせい、かな
クダだったかい?
いや、様を付けるべきか
尾先:弁えているな
クダの位を解っているのか?
槐:狐の霊というだけで
神に近い存在かもしれないという
可能性は消してはいけない
尾先:流石だな
槐:クダ、という事は管狐
或いは、それ以上の霊体だ
オサキという名前、クダという霊体
などなど、と
君には複数の要素が混在している
尾先:勉強している様で感心したよ
まぁ、全てを答える気はないが……
それで?何がウチには無いんだ?
槐:魔除けの道具の類さ
呪具でも、お札でもいい
クダ様が守っているからだろうけどね
尾先:そんな所を見ていたのか
映画に集中しているとばかり……
まぁ、いい
その見解で正解だ
槐:それの代償は無いのかい?
尾先:さぁな
槐:ある、という事で話を進めるよ
私は槐家の人間だ
槐家は何か知っているかい?
尾先:……いや、聞いた事はないな
槐:私は、この特異な目と特異な家系
この二つが混在している
槐家とは、簡単に言えば、魔除けの一族なんだ
尾先:魔除け……槐の名はそこから
なるほどな、除霊や退魔専門の家系か
槐:自分たちがやる方ではないけどね
私たちは道具を売っているんだよ
尾先:……待て
まさか、アイツとの関わりはソレか?
槐:真の事かい?
いやぁ?大門 真とは
学者と警察官の関わりだ
ただ……
廻門とは、ソレで繋がってるよ
尾先:……理解した
廻門の方を知っているなら
……これだ
槐:あぁ!厄除け煙草!
真のお祖父さんが作ったものだね
確かに作ったのはそうだが
材料は全て私たち槐家のモノだよ
尾先:友達になると都合が良い
なるほど、融通してくれるのか?
槐:私は君を少し気に入っている
格安で売る事は可能だね
尾先:調合もやっているのか?
槐:まぁ、ある程度
私は、あまり得意ではないが
母が天才的に上手いんだ
尾先:そうだな……
じゃあ、香を頼む
槐:フフ、もう友達になったのかな?
尾先:あぁ、今日から友達だな
槐:モノは後日持って行くよ
さて、じゃあ友達ついでに
このホラー映画について語ろうか
尾先:暇つぶしにもならないな
槐:……霊に取り憑かれた家族
多分、一番影響を受けているのは子供
その次に母親、かな?
尾先:創作の中での話ならそうだろうな
もし、実際に起こっている場合は、優劣はない
どちらにも憑いているが正しい
槐:なるほど
尾先:……
槐:尾先?
尾先:お前は色々調べているんだろ?
この霊をどう思う?
槐:園児の霊……悪霊化してるとしか
尾先:水子、またはそれに近い
霊に関して言えば邪気は無い
無邪気だからな
槐:文字の意味として
それを含んでいると?
尾先:実際そうなんだよ
取り憑き殺すなんて事はしない
取り憑く場合は、親を探している
または、遊び相手程度だ
槐:どうして?
尾先:この歳でこの世に
未練や怨みを残すか?
槐:……そう言われれば
そうだとしか言えないね
尾先:扱いを間違えれば霊障はある
水子供養しなかった場合や、ぞんざいに扱えば
死という負のエネルギーに憑かれる
それが水子と重なり、霊障になる
槐:つまり、霊自体に悪気はない
結局悪いのは、今を生きる人、か
尾先:だから、この映画のような
家族を分断して殺す
なんて霊障は起こらない
……創作物と解ってはいるが、少し思うところはある
槐:優しいんだね、君は
尾先:……さぁな
残された方が辛いとはよく言うが
望んで残す側になる子供はいないさ
槐:やはり……
霊に近い存在の君たちの話は面白いね
私より多くを知っているし、多くを見てきたんだろう
百聞は一見にしかずと言うが
私が見るのは色のみだ
尾先:見なくていいものを
見なくて済むのは良いことだ
その点は羨ましい
槐:どちらも、ないものねだり
なのかもしれないね
水子に関しては少し気が重くてね
あまり調べてなかったんだ
尾先:そうなのか?
槐:私も人の子だよ
子供の死に関わる事は、あまり好きではないね
尾先:女、子供と
よく聞くワードだと思わないか?
槐:まぁ……多少は
尾先:あまり逃げない方がいい
槐:それは、どういう?
尾先:霊関係で女と子供は
切り離せないということだ
無邪気で霊障は無いとは言ったが、利用される事はあるぞ
コトリバコもそうだろ?
槐:女、子供にしか効かない呪具
まぁ、都市伝説、空想の物だけどね
尾先:コトリバコに近い呪具は、あるかもしれないだろ?
対処が同じなものは複数存在する
槐:心得たよ
そうだね、苦手や食わず嫌いは
無くしていかないと
尾先:あぁ、それと
今日の授業料に関しては、割り引いてくれていいぞ
槐:フフ、友人価格から
さらに値引きまでされるとは
仕方がない
格安でお香を作ってあげよう
君との専属契約だ
尾先:有難いな
槐:さて、今日は帰るよ
またね、尾先
尾先:……次は
槐:ん?
尾先:少し、面白いものを
見に行くとするか
なぁ、学者先生?
槐:……楽しみに
しているよ、霊能者くん
祓花 ② 終
槐:へぇ、こんな終わり方なんだね
尾先:……おい
槐:しかし、色々と突っ込みたいね
うむ、質問していいかな?
尾先:その前に、何してるんだよ
槐:ホラー映画を本物の霊感持ちと
一緒に見るという行為だが?
尾先:そういう事じゃねーよ
槐:また遊びに行く、と言っただろう?
尾先:ガチで遊びに来たのか?
槐:依頼が無いと会えないのかい?
寂しいねぇ、友達いないね?
尾先:お前と友達になった覚えはないが
槐:フフ、損してるね
私と友達になった方が都合が良いよ?
尾先:学者先生だからか?
生憎、こっちは必要無し、だ
槐:いや、『槐』として
尾先:お前、まだ何か隠してるのか
槐:……見たところ
この家には"何も無い"
尾先:何が無いんだ?
槐:君の黄色のせい、かな
クダだったかい?
いや、様を付けるべきか
尾先:弁えているな
クダの位を解っているのか?
槐:狐の霊というだけで
神に近い存在かもしれないという
可能性は消してはいけない
尾先:流石だな
槐:クダ、という事は管狐
或いは、それ以上の霊体だ
オサキという名前、クダという霊体
などなど、と
君には複数の要素が混在している
尾先:勉強している様で感心したよ
まぁ、全てを答える気はないが……
それで?何がウチには無いんだ?
槐:魔除けの道具の類さ
呪具でも、お札でもいい
クダ様が守っているからだろうけどね
尾先:そんな所を見ていたのか
映画に集中しているとばかり……
まぁ、いい
その見解で正解だ
槐:それの代償は無いのかい?
尾先:さぁな
槐:ある、という事で話を進めるよ
私は槐家の人間だ
槐家は何か知っているかい?
尾先:……いや、聞いた事はないな
槐:私は、この特異な目と特異な家系
この二つが混在している
槐家とは、簡単に言えば、魔除けの一族なんだ
尾先:魔除け……槐の名はそこから
なるほどな、除霊や退魔専門の家系か
槐:自分たちがやる方ではないけどね
私たちは道具を売っているんだよ
尾先:……待て
まさか、アイツとの関わりはソレか?
槐:真の事かい?
いやぁ?大門 真とは
学者と警察官の関わりだ
ただ……
廻門とは、ソレで繋がってるよ
尾先:……理解した
廻門の方を知っているなら
……これだ
槐:あぁ!厄除け煙草!
真のお祖父さんが作ったものだね
確かに作ったのはそうだが
材料は全て私たち槐家のモノだよ
尾先:友達になると都合が良い
なるほど、融通してくれるのか?
槐:私は君を少し気に入っている
格安で売る事は可能だね
尾先:調合もやっているのか?
槐:まぁ、ある程度
私は、あまり得意ではないが
母が天才的に上手いんだ
尾先:そうだな……
じゃあ、香を頼む
槐:フフ、もう友達になったのかな?
尾先:あぁ、今日から友達だな
槐:モノは後日持って行くよ
さて、じゃあ友達ついでに
このホラー映画について語ろうか
尾先:暇つぶしにもならないな
槐:……霊に取り憑かれた家族
多分、一番影響を受けているのは子供
その次に母親、かな?
尾先:創作の中での話ならそうだろうな
もし、実際に起こっている場合は、優劣はない
どちらにも憑いているが正しい
槐:なるほど
尾先:……
槐:尾先?
尾先:お前は色々調べているんだろ?
この霊をどう思う?
槐:園児の霊……悪霊化してるとしか
尾先:水子、またはそれに近い
霊に関して言えば邪気は無い
無邪気だからな
槐:文字の意味として
それを含んでいると?
尾先:実際そうなんだよ
取り憑き殺すなんて事はしない
取り憑く場合は、親を探している
または、遊び相手程度だ
槐:どうして?
尾先:この歳でこの世に
未練や怨みを残すか?
槐:……そう言われれば
そうだとしか言えないね
尾先:扱いを間違えれば霊障はある
水子供養しなかった場合や、ぞんざいに扱えば
死という負のエネルギーに憑かれる
それが水子と重なり、霊障になる
槐:つまり、霊自体に悪気はない
結局悪いのは、今を生きる人、か
尾先:だから、この映画のような
家族を分断して殺す
なんて霊障は起こらない
……創作物と解ってはいるが、少し思うところはある
槐:優しいんだね、君は
尾先:……さぁな
残された方が辛いとはよく言うが
望んで残す側になる子供はいないさ
槐:やはり……
霊に近い存在の君たちの話は面白いね
私より多くを知っているし、多くを見てきたんだろう
百聞は一見にしかずと言うが
私が見るのは色のみだ
尾先:見なくていいものを
見なくて済むのは良いことだ
その点は羨ましい
槐:どちらも、ないものねだり
なのかもしれないね
水子に関しては少し気が重くてね
あまり調べてなかったんだ
尾先:そうなのか?
槐:私も人の子だよ
子供の死に関わる事は、あまり好きではないね
尾先:女、子供と
よく聞くワードだと思わないか?
槐:まぁ……多少は
尾先:あまり逃げない方がいい
槐:それは、どういう?
尾先:霊関係で女と子供は
切り離せないということだ
無邪気で霊障は無いとは言ったが、利用される事はあるぞ
コトリバコもそうだろ?
槐:女、子供にしか効かない呪具
まぁ、都市伝説、空想の物だけどね
尾先:コトリバコに近い呪具は、あるかもしれないだろ?
対処が同じなものは複数存在する
槐:心得たよ
そうだね、苦手や食わず嫌いは
無くしていかないと
尾先:あぁ、それと
今日の授業料に関しては、割り引いてくれていいぞ
槐:フフ、友人価格から
さらに値引きまでされるとは
仕方がない
格安でお香を作ってあげよう
君との専属契約だ
尾先:有難いな
槐:さて、今日は帰るよ
またね、尾先
尾先:……次は
槐:ん?
尾先:少し、面白いものを
見に行くとするか
なぁ、学者先生?
槐:……楽しみに
しているよ、霊能者くん
祓花 ② 終
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