オサキ怪異相談所

てくす

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スピンオフ 夕刻跳梁跋扈

不浄

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真琴:ごめんなさい、ごめんなさい
真琴:ごめんなさい、ごめんなさい

部屋には、ナニカに謝る声が響いている
声が震えている、音もおかしい
涙が溢れているのだろうか
抑揚も感じられる……
それとは別の音も響いている


夕刻跳梁跋扈  不浄



夕凪:休みをください

鳳:休み?

夕凪:茜と遊びに行くんで

鳳:いや、そういうことではなくて
  はて、休みとは?

夕凪:……私、ここで働いているで合ってます?

鳳:おや、友達とばかり
  助手の方での申し出だったのか

夕凪:ぼっちは、ずっとぼっちですよ、鳳さん

鳳:ははは、多方面に敵を作る言い方だ
  道徳からやり直すかい?夕凪
  仕方がない、私が教えてあげよう

夕凪:この場合のぼっちは、鳳さんを指します
   他の誰か、は含まれません

鳳:知れば知るほど、付き合えば付き合うほど
  君の性格は難ありと言ったところかな

夕凪:鳳さんだけに特別ですよ

鳳:良いね!特別!それは嬉しい

夕凪:多分、そういうところだと思いますよ?

鳳:色々訂正しよう
  まず、毎日拘束するつもりはないよ
  これは、友人だろうが、助手だろうが一緒だよ
  私に許可を取らなくていい

夕凪:ん

鳳に携帯を向ける夕凪

夕凪:じゃあ、この連絡はなんですかね?
   彼氏に構ってほしい彼女ですか?
   毎日来てますけど?

鳳:仕方ないじゃないか!
  気持ちを素直に伝えることは良いことだろう!?
  骸は、自分が興味ないと一切返信してくれないし
  夕凪はちゃんと返信してくれるじゃないか!

夕凪:……ちゃんと、友達作ってください

鳳:作ってるだろう!君という最高の友人が!

夕凪:はぁ……

鳳:そんなことより、今日は大丈夫なんだろう?

夕凪:まぁ、今日は予定はありませんけど

鳳:うん、時間も申し分ない
  少し、散歩しようか

夕凪:散歩って、夕方に?
   夜じゃないんですか?

鳳:何故、夜なのかな?

夕凪:霊が出やすいのは夜じゃないんですか?
   だから、妖怪も夜の方が出やすいと思って

鳳:ふふふ
  では、話ついでに行こうか



【間】



真琴:『「あなたが悪い」と何度言われたことだろう』
   『「醜い」と何度言われたことだろう』
   『そう言われ続けて育った子供は』
   『いつか、何が悪く、醜いのか解らなくなる』
   『いつか、自分がそうであると錯覚する』
   『いつか、自分以外の弱いモノを』
   『醜悪なごみと思い込んでしまうだろう』

その目は黒く濁っていた
光がなく、ただの黒。
命というものがあるとするならば
その目には、もう、命すら宿ってはいなかった。


【間】



夕凪:鳳さんと散歩するのは数回ですけど
   いつも夜だったから、そういうものかと

鳳:今までのは、ある程度の情報があったからね
  今回は何も無し、本当の散歩

夕凪:散歩という名のパトロールですけどね

鳳:これも大事なこと

夕凪:分かってますよ

鳳:さて、夕方の話だね
  これは、霊に限らず事件、事故
  実は、案外夕方に起こることが多いんだよ

夕凪:それこそ、夜じゃないんですか?

鳳:確かに多い
  だけど、夕方もなんだよ
  私は、敬意を込めて
  夕刻跳梁跋扈ゆうこくちょうりょうばっこ、と呼んでいる

夕凪:夕刻跳梁跋扈?

鳳:夕方に、魑魅魍魎ちみもうりょうが蔓延る
  この場合の魑魅魍魎は、人も霊も妖怪もだよ

夕凪:なんで夕方なんですか?

鳳:重要な時間や、何か力を持つ時間帯には名前がついている
  丑三つ時は解るね?

夕凪:……逢魔が時

鳳:流石は夕凪、正解だね
  魔と逢える時間だ
  黄昏時とも言うが、これは夕方近くの時間だね
  名が付いているということは、その意味を持つということだ
  だから、夕方は逢えるんだ

夕凪:私の時は、いつもより暗い日だって
   鳳さん言ってたじゃないですか

鳳:一つとは限らない
  怪異と関わる上で覚えておくこと、とは
  思考を一つに絞らないこと、だね
  いつもより暗い夜の日にも出逢うし、逢魔が時にも出逢う
  ふふ、なんならそれ以外も……出逢うかもね?

夕凪:めんどくさっ

鳳:それが怪異だよ
  さて、そろそろ出逢うには良い時間だね

夕凪:……アレですか?

鳳:まぁ、まずは
  話を聞いてみようじゃないか


【間】


真琴:…………

ただ、一点を見つめ、呆けている
何を考えているのか
それとも何も考えていないのか
ただ、一点を見つめ、動かない

鳳:やぁ、私は鳳
  あぁ、これは珍しい名前だろう?
  鳳凰の字が入っている、気に入っているんだ

真琴:えっ……

夕凪:ちょっと、鳳さん
   なんですかそれ

鳳:いやぁ、骸はこんな感じで話しかけるから
  人を真似てみるのも良いと思ってね

真琴:な、なんなんですか……

鳳:君、黒いよ?
  もしかして……
  人に言えない様なことが、あるんじゃないかな?

真琴:っ!?

どうやら、思う節があるようだ
ただ、呆けていた顔から、焦りが見える
瞬間ーー、逃げ出した

夕凪:あ!ちょ、どこ行くの!
   鳳さん!

鳳:人の行動は、案外解りやすい

真琴:はぁ…はぁ………っ!?
   壁……?

鳳:何かやましいことがあるとしよう
  それを突かれてしまったら
  逃げるか、相手を黙らせるかだ
  ただ、咄嗟に出てしまう行動は基本的に
  逃げ、だよね

真琴:なんで、なにこれ……

鳳:逃げるなら相手を見誤ってはいけない
  私に対して逃げるということは
  それを突破しなければならないからね

真琴:……バケモノ……

鳳:私は鳳
  成人済み、好きなお酒は日本酒
  其処等中そこらじゅうにいるただの人間
  バケモノではないけれど
  趣味でバケモノ退治はしているよ

夕凪:逃げない方がいいですよ
   この人、こう見えてヤバい……
   ヤバいのは見たまんま、かな

鳳:二人とも酷いじゃないか
  あと、逃げるなら大事なそれ
  持って逃げた方がいいんじゃないかな?

そう言い、一つの袋を指差す
何が入っているのか、黒く覆われたソレは
解らない

真琴:……知っているんですか

鳳:いや、知らないよ
  ただ、目は良い方でね
  それは、とても、大事そうだから

真琴:ごめんなさい

夕凪:えっ?

真琴:ごめんなさい、ごめんなさい
   ごめんなさい、ごめんなさい

夕凪:ちょ、ちょっと

真琴:ごめんなさい、ごめんなさい
   ごめんなさい、ごめんなさい

鳳:それ以上、その言葉を口にしない方がいい
  呪詛に近くなっているよ
  余程その言葉に呪いを込めたいみたいだ

真琴:何も知らないくせに
   何も助けてくれないくせに
   話しかけるな!近寄るな!

夕凪:情緒不安定!

鳳:憑かれていそうだねー
  物怖じしないのは良いけど
  はっきりモノを言い過ぎだよ、夕凪

夕凪:……ごめんなさい

鳳:さて、結界内だからいいけど
  夕刻跳梁跋扈の獲物だ

夕凪:……え?もしかして跋扈してるのは
   私たちの方?

鳳:どちらとも、さ
  ここじゃ人目につく
  『神隠し』

そう、言葉を口にすると景色が変わる
移動した、そう捉えるのが正しい
そこは、暗く、空気も重い

夕凪:は?何これ?

鳳:『鎮魂墓』

夕凪:何、したんですか?

真琴:なに……これ……
   お墓……?

鳳:儀式、封印、結界
  私の得意とするところを合わせると
  こんなこともできたりする

真琴:やっぱり、バケモノ……

鳳:はは、それはお互い様だよ

夕凪:何のお墓ですか?

鳳:……ここは、私の血縁者しか眠らない場所だ
  解りやすく言っているだけで親等しんとうは関係ないよ
  ずっと昔の人だって眠っている、そういう場所さ

真琴:何をする気…?
   殺すつもり!?

鳳:日本では、年間行方不明者が八万人を超える
  それは、事件性のあるものから、家出など様々だ
  また、見つかる者もいれば、そのまま消えた者もいる

真琴:……こんな場所で消えれば
   見つからないって言いたいわけ?

鳳:行方不明に関しては、誘拐など人の仕業もあれば、神隠しの様に怪異の仕業もある
  私の『神隠し』は、もちろん怪異側だろうね
  結界内を範囲とした人を移動させる
  儀式により、ある場所を指定してね
  封印は移動の定着かな

夕凪:そんなワープみたいなことできるんですか?

鳳:実際、神隠しというはそういうものだよ
  異世界に一旦送って、空間を超えて移動させる
  福岡で神隠しにあい、長野の山奥で見つかった話がある
  その距離を一瞬で移動させるのが怪異だ

夕凪:それをやったってこと?

鳳:怪異に比べると、まだまだだよ

真琴:ここに連れてきてどうするつもり!?
   やるなら、早くしてよ!!

夕凪:ちょ、落ち着いて!

鳳:頭、とはなんだろう

夕凪:頭?

真琴:ッ……

鳳:何故か、人は頭を重要視する
  身体だって必要なのにさ
  だけど、それがモノになった場合
  手や足、性器……そこに執着する人もいるけど
  そういう趣味がない人は頭を大事にする

夕凪:モノになった……場合?
   まさか……その袋

真琴:……さい
   うるさいうるさいうるさいうるさい

夕凪:それ、あなた

真琴:触るなッッ!!!

夕凪:……嘘でしょ

鳳:見せてごらんよ

真琴:……嫌だ
   ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい

夕凪:痛っ……またっ!

鳳:耳、塞いでおくといいよ
  あれ、もう呪詛だから

真琴:近寄るな、触るな、ごめんなさい
   ごめんなさい、来るなぁぁぁあ!!

錯乱しているのか、ソレが入った袋を振り回す
もう、何をしているかも解ってない
そして、それは落ちたーーー。

夕凪:ウッ……

鳳:あぁ、可哀想に

真琴:…………ぁ、あ
   …ぁ…き…ちゃん……



錯乱しているのか、ソレが入った袋を振り回す
もう、何をしているかも解ってない
ゴトっと鈍い音が響く
それは落ちたーーー。
その目は黒く濁っていた
光がなく、ただの黒。
命というものがあるとするならば
その目には、もう、命すら宿ってはいなかった。
ただ、一点を見つめ、呆けている
何を考えているのか
それとも何も考えていないのか
ただ、一点を見つめ、動かない
あぁ、鏡だ
これは、鏡なんだ
そして、理解する


私は、死んだのだ




【間】



夕凪:あなた……何をしたの……?

真琴:な、なに……も、して……ない……

夕凪:じゃあ!それは何!?

真琴:ごめんなさい、ごめんなさい

夕凪:ッ……それは、もう……解ったッての!

真琴:ヒッ……

鳳:人は過去の経験から多くを学ぶ
  意識することもあれば、無意識もだ
  夕凪が怒り、叫び、近づき、手を振った
  殴られるとでも思ったのかな?

真琴:殴っ……

鳳:虐待かな?それとも虐め?
  なんにせよ、怒鳴られ、殴られたことがあるね
  夕凪の言動に対して身を守ろうとしたね?
  呪詛も自分と誰かを呪ったモノか
  その『ごめんなさい』は誰に向けたものかな?

真琴:ごめっ……

鳳:聞き飽きた
  『音無結界おとなしけっかい

真琴:っ……!?

鳳:ごめんなさいは言えないよ、もう
  音を遮断するのはよく使う
  妖怪は甘い蜜の様な言葉で惑わすからね

夕凪:何があったのか、話して

真琴:……何が、あったかなんて……
   何があったかなんて解らない!!

夕凪:妖怪に憑かれてやったってこと?

鳳:半分正解

夕凪:半分は……自分の意思…?

真琴:っ!?

夕凪:なら、やっぱり
   自分がしたこと分かってんの!?

真琴:仕方ない……そう、だ
   仕方ないんだ!
   だって、みんなそうだから!
   みんな、みんな、みんな
   殺そうとするから!
   殺さないと!殺されるから!

夕凪:じゃあ、この子があなたを殺そうとしたの?

真琴:いつもそうだ
   最初は心配したフリをして近づいて
   利用価値が無いと解ったら捨てるんだ
   捨てられた方のことなんて!何も知らないくせに!


【間】


言葉というものは、人によって姿を変える
私が吐いた言葉も、あなたが吐いた言葉も
誰が受け止めたか、で変わるものだ
私は、あなたを、救いたかった

真琴:ごめんなさい、ごめんなさい

その言葉を呪いの様に吐き捨て
何度も何度も私を刺しながら吐き捨てる
痛みが薄れていく中で、どうしても私は
あなたのことが許せなかった
殺されたことにじゃない
私の言葉を、受け止められなかったあなたに
そして、救えなかった自分を赦せなかった

真琴:ごめんなさい、ごめんなさい
   ごめんなさい、ごめんなさい

部屋には、あなたが謝る声が響いている
声が震えている、音もおかしい
涙が溢れているのだろうか
抑揚も感じられる……
それとは別の音も響いている
カン、カン、カン
刃が地面に当たる音だ

真琴:あなたが好きだった
   ずっと、好きだった
   手をずっと差し伸べてくれたのに
   なんで、何で、ナンデ!!
   目の前から消えちゃうんだ!!!
   人の魂は頭に宿るらしいよ、秋ちゃん
   だから、ココだけあればいいよね?
   下は要らないよね?
   こうすれば、ずっと一緒にいられるよね?
   親はダメだったんだ
   切り離しても、離れちゃった
   だけど、秋ちゃんなら繋がってるよね?


【間】


鳳:魂は頭に宿らないよ

真琴:!?

鳳:解釈の問題だ

真琴:信じない

鳳:そうだね
  言葉は受け取り方次第だ

真琴:誰も信じない

鳳:それが、答えかな

真琴:此処、圏外じゃ無い
   だったら帰れるってことだ
   アンタたちも此処で眠るといい

鳳:混ざってるよ
  それに、此処は私の血縁者のみだ
  夕凪は眠れない

真琴:知ったことか

鳳:……キミを
  殺すことだってできるんだよ?

真琴:殺ッテみろ!!

夕凪:『ふせ』!!

真琴:ギャッ!!

夕凪:できた!

鳳:流石、夕凪!
  練習した甲斐があったね!

夕凪:呪言、こんな感じで良いんですか?

鳳:まぁ、悪く無いね
  夕凪は意志が強いから相性良いと思ったんだ
  それに感覚が鋭いからね
  掴むのも早くて助かるよ

真琴:何をシタ……

鳳:私は誰かさんのように
  万能スーパーマンじゃないからね
  友達である夕凪には、自分で自分の身を少しは守れるように
  相性の良さそうな呪言を教えたんだ

夕凪:悪いけど、簡単に死なないから
   あなたは、駆除対象だ

真琴:ヒッ……

鳳:それに、キミがいると話が拗れる
  悪いけど、これで終わりだよ
  ……『陣血結界』


【間】


夕凪:じゃあ、此処は鳳さんの結界、みたいな?

鳳:テリトリーかな?
  すぐに結界や儀式、封印をできるように
  ある程度の準備は終わっている場所だよ
  まぁ、人目に付かないなら滅多に使わない
  みんな寝てるしね

夕凪:……お邪魔しました

鳳:さて

夕凪:あ、私が!
   ……あの

話しかけられたのは久しぶりの様な気がする
全てを終わらせてくれた恩人だ

夕凪:あなたの大切なもの
   どうしたらいいですか?

……………
………

夕凪:……分かりました
   責任を持って帰します

あぁ、これで、やっと
あの子も救われる……

夕凪:あっ……ありがとうございました
   成仏……できたの…かな

鳳:……
  やぁ、廻門せと
  そんな嫌そうな声を出さないでくれよ
  殺人事件、かっこ霊も関わってるよ
  ……未成年、だね
  一応会って話す方がいいかな
  それと、遺物もあるよ
  ん、私はいいけど
  ……少し、刺激が強すぎたかもしれない
  じゃあ、いつもの場所で

夕凪:……鳳さん

鳳:……なにかな?

夕凪:帰りましょう

鳳:あぁ、そうだね



【間】



真琴:『「あなたが悪い」と何度言われたことだろう』
   『「醜い」と何度言われたことだろう』
   『そう言われ続けて育った子供は』
   『いつか、何が悪く、醜いのか解らなくなる』
   『いつか、自分がそうであると錯覚する』
   『いつか、自分以外の弱いモノを』
   『醜悪なごみと思い込んでしまうだろう』
   『誰かが、違うと言った気がする』
   『誰かが、綺麗にしてくれた気がする』
   『誰かが、助けようとしてくれた気がする』
   『それを、解らず、理解せず、見ない様にして』
   『結局、醜悪なごみに成ったのは自分自身だ』


鳳の家でテレビを見ている夕凪

夕凪:……

テレビからは、未成年の犯罪について、大人たちが議論している
そして、虐待問題についても専門家たちが、あぁでもないと続ける

夕凪:これって、あの子ですよね

鳳:未成年だから、名前も顔も出ないけどね
  SNSでは、話題だね
  便利な世の中になったけど不便だね

夕凪:そう、ですね
   ……西尾 秋奈
   そっか、秋奈ちゃんか

鳳:最終的には廻門に帰してもらったよ
  私たちじゃ不審すぎるからね

夕凪:はい

鳳:……心に棲みつく怪異は多い
  虐待による心の穴に棲みついた妖怪
  今回は、蝕穢しょくえという奴だ
  穢れに触れ、穢れることを言うけど
  その字が妖怪に転じたモノだね
  自分をゴミと思い込んだ人は
  自分に触れることも穢れになる

夕凪:悲しすぎますよ、それ
   ……何か、できることはなかったのかな

鳳:神でも仏でも無い私たちには無理だね
  怪異とは、良く出来ている
  人の闇を食べるのも使うのも上手い
  半分と言ったけど、大半は妖怪のせいでもある
  だけど、少なからず本人の意思も存在していた
  いや、本人だけじゃない
  周りの環境も、あの子にとっては穢れだった

夕凪:助けようとした人の声でも届かない
   そんなの、認めたくない

鳳:強さも人それぞれだよ
  憶測で語ることは幾らでも出来る
  怪異と関わるなら、これは日常茶飯事だよ
  人の生き死にこそ、怪異だ

夕凪:だったら私は

鳳:うん?

夕凪:助けますよ、手の届く範囲は

鳳:私の友人は、強い人が多いね
  嫌いじゃあないよ、夕凪
  私も賛成だ

夕凪:夕刻跳梁跋扈

鳳:……

夕凪:続けますから
   跋扈するのは私たちもですよね?

鳳:あぁ、そうだね

夕凪:それと、友人が多いって冗談ですか?

鳳:ハハッ!口が減らないなぁ!
  それでいい、君はそのままで

夕凪:行きましょう、鳳さん

鳳:そうだね、夕刻を跋扈しようか、夕凪



夕刻跳梁跋扈 不浄 終
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