上 下
30 / 35

兄さん

しおりを挟む


今日から一週間、両親が旅行に出かける。

こんな機会は滅多にない。
誰かの家に泊まりに行って、エッチ三昧ざんまいというのはどうだろうか?なんてライトの頭の中はエロイことでいっぱいだった。

(幼馴染のるい君と、一線越えるのもありかなぁ・・・♡)

花奈がだらしなく鼻の下を伸ばして、そんなことを思い巡らせていると、兄のリヒトが部屋に入ってきた。


「ライト、晩御飯出来たよ。一緒に食べよう。」

エプロン姿の兄に、思わずドキリとする。
我が兄ながら、目が覚めるようなキラッキラのイケメン。
こんな美しい生き物とひとつ屋根の下で暮らす幸福に、花奈は未だに慣れていなかった。


リヒトは、ライトとはまた違ったタイプのイケメンだ。

清純派、というのだろうか。
誠実さや知的さが滲み出た、品格のある人格者という印象。

優等生の彼は、全国模試でいつも上位の成績。
学校では生徒会に所属し、教師たちからの信頼も厚い模範的な生徒らしい。

一見不良っぽく見える親友と、いつも一緒にいる。
リヒトが毎日のように部屋に連れ込んでいる彼と、BL的な展開があったりしないかと、花奈はよからぬ妄想を抱いてはこっそり彼の部屋を盗み見たりしていた。


イケメンは、どんなタイプもひっくるめて大歓迎だ。
どさくさに紛れて何度か入浴シーンを覗こうと試みたけれど、彼は実に守りが硬い。

なかなか見れないとなると、ますます見たくなるのが、人間のさがというものだろう。


「すごい・・・兄さん、料理まで出来るの・・・?」

同じ家で育ったとは、信じ難い。
リヒトは、料理の腕まで磨いていたらしい。

所狭しと並んだ手料理の数々は、どれもライトの大好物ばかりだった。


「ライトが好きなメニュー全部作っちゃった。張り切りすぎだよね、僕。」

にっこり微笑むリヒトの眩しさに、花奈は撃沈する。


(ま、眩しすぎる・・!兄様・・・!リヒト様ぁ・・・♡)


ハンバーグにカレーに、餃子、オムライス。
どう考えても作りすぎであることは否めないけれど、リヒトのキラキラの笑顔を見ていたら、たまらない幸福感に包まれる。


「ねーえ、ライト。今日は、僕と一緒に寝ない?」

「え・・・?」


(願ってもないです!!ありがとうございます・・・!!)
花奈は、目をハートマークにして、リヒトの顔を見る。


「たまにはいいでしょう。兄弟の仲を深めるっていうのも。」

リヒトの瞳の奥に、ギラついたたくらみが見え隠れしていた。
優等生の彼は、いつも穏やかな笑みを浮かべているはずなのだが、今夜のリヒトは何やら挑発的な視線をライトに向けている気がする。



(兄弟・・・?!禁断の兄弟愛・・・・!?)

花奈は、期待に鼻息を荒くしながら、兄の提案を受け入れた。


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

魔王陛下と!明るい家族計画!

BL / 完結 24h.ポイント:610pt お気に入り:30

奥様は女装妻(R18)

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:241pt お気に入り:10

「違うよ!女の子じゃなくて、飛鳥が好きなの」

恋愛 / 完結 24h.ポイント:198pt お気に入り:2

【完】お兄ちゃんは私を甘く戴く

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:22

尽くすことに疲れた結果

BL / 完結 24h.ポイント:418pt お気に入り:3,019

幸せメリークリスマス♡ ~童貞くん初めての性の6時間~

BL / 連載中 24h.ポイント:347pt お気に入り:89

帰れなくてもいっか

BL / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:37

処理中です...