ツインテールの神様

aika

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3人目のお供〜ウサピオ〜

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「そうだ、ハルト。試験会場には3人までお供の者を連れて行っていいのよね?」

「はい。試験要項にはそのように書いてありました。」



嫌な予感がする。

「そうだな~。もう一人、どんな子がいいかなぁ~。」

眉間にシワを寄せて難しい顔をしたリオン様が腕組みをして考え込む。

数十秒経つと、ぽん!と大きく手を叩いた。

ピンク色の可愛いツインテールが揺れる。


「そうだ!!ゆるキャラ的な子が足りないのよね。」

嫌な予感しかしない。


「あ、あのリオン様、」

口を挟もうとした僕をまるっきり無視して、リオン様は集中状態に入った。


「よ~し!!ハァァァ~~~~!!」

両手の間に丸いボウルを包み込むような仕草で気合を入れると、ブワン、と大きな音を立ててオレンジ色の巨大なエネルギーの塊が生成された。

神様は新しい生命体を作るとき、掌から光と風を混ぜ合わせたエネルギー物質を捻出し、頭で思い浮かべたデザインを設計図として送り込む。

一段と強くなった風と光に目が眩む。
立っていられないほどの、強風。目が眩むほどの光。

光と風の渦は、オレンジ色、緑色、赤、と次々に変化していき、最後には大きな白い光に包まれた。



「あ、あ・・・!リオン様・・・・!!」


お待ちください・・・!!という僕の声も虚しく、あっという間に新たな生命体が創造されてしまった。


ぽん、っとその場に現れたのは、ウサギのようなゆるキャラだった。


クリーム色のふわふわの体に、片方だけ折れ曲がった長い耳。
クリクリと、庇護欲を煽るようなあざとくて大きな瞳。
つんと上を向いた小さくて可愛い鼻に、ニッコリと笑っているような口元。


「あぁ・・・リオン様・・・・。」

僕は頭を抱えてしゃがみ込んだ。


せっかくお供の者を連れていけるのだから、試験に必要になるであろう能力を持つ生命体をきちんと考えて創造すれば良いものを・・・

どうせリオン様は、その場の感情と雰囲気で創ってしまったに違いない。


僕は、大きく深い哀愁に満ちたため息を吐き出して目を閉じる。


「で~きた!!」


目の前で得意げに笑うツインテールの神様が、悪びれもせずそう告げる。
リオン様はいつだってとにかく楽しそうだ。


「かわいそうだから、名前つけてやらなきゃ。何がいいかな~?」

クリーム色のゆるキャラを眺めながら、眉間にシワを寄せ目を細める。
ゆるキャラはすでにあざとさ全開の様子で、首を傾げてお告げを待つ。

じっと見ていたリオン様が、人差し指を立ててゆるキャラの前に振りかざした。


「そうだ!!あんたは今日からウサピオね!!決~まり!!」

『ウサピオ』


新たな生命体が、与えられた自分の名前を繰り返す。
小さな子供のような可愛い声。
原材料あざとさ100%でで出来たような、KAWAII生命体。

どのような能力を持つキャラなのか、僕は聞くのが怖かった。


「リオン様、また勝手にそんなもの作って・・・」


どうせまた考えなしに、可愛い重視で創造したキャラだろう・・・。



ツッコミを入れる僕の横で、ポップは無表情のまま大きな拍手で新たな仲間を歓迎祝福していた。



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