ツインテールの神様

aika

文字の大きさ
上 下
1 / 3

リオン様

しおりを挟む



この世界に神様というものが存在するなら、きっとこんな感じだ。

僕は「神様」をイメージする時「大きな杖を持ち頭にワッカが浮いている、白い立派な髭を生やしたおじいさん」というビジュアルを思い浮かべる。

皆さんにとっての「神様」のイメージはどうだろう?

現実は、イメージとはかけ離れている。
それがこの世の常だと、僕は痛いほどに知っている。

「神様」のイメージ。

現実と想像には大きなギャップがある。


僕はいわゆる「神様」のお供の者だ。
神様によって創造された、神様にとって都合の良いお供(召使)としてこの世界に生を受けた。


「ちょっとあんた、いつまでモタモタしてんのよ?さっさと行くわよ。」

このような悪態をついてくる、顔だけは超絶可愛いツインテールの女の子が、僕の世界の「神様」だ。

信じられないだろうが、これが現実。
ピンク色の髪をしたツインテールの女の子。つぶらな瞳に、艶のある頬、小柄で華奢な身体。
見た目はどこかのアイドルみたいに可愛くてあざとい。

中身は・・、というとこれまたギャップがひどい。

「神様」らしくないツンデレキャラ特有の喋り方、男勝り、人を見下す大きな態度。
まぁ、「神様」なんだから、人を見下すような大きな態度は良しとして、それ以外は見るに耐えない。


僕は彼女、いや、神様を見てゲンナリと深いため息を吐き出した。

「神様」なのに計画性は皆無。思いつきと気まぐれで行動するし、後先考えない感情型。
考えなしの行動から生み出される様々な困難や面倒ごとは、僕たちお供の者たちに容赦無く降りかかってくる。

「ハルト、あんた私に意見しようとしてない?してるわよね。その顔。」

アイドル顔の神様は、その名を「リオン」様と言う。

「ま、まさか。リオン様、そんなことあるわけないじゃないですか。」

「いや、確実に思ったわよね?」

可愛い顔して、勝気な性格。もう少ししおらしさがあれば、僕たちお供の者たちは楽に生きられるのに・・なんて思ってみても、口に出す勇気はもちろんない。

「そんな・・滅相もございません。」

「ったく、わかってんの?あんたは、私が造ったんだから、逆らう権利ないんだからね。」

それを言われちゃあ、口をつぐむしかない。

「ハハハ・・・」

得意の愛想笑いでなんとか誤魔化した。

神様というより鬼嫁、に近い。
そんなことを考えながら、ツインテールのピンクの髪を揺らして僕に迫る神様のご機嫌を伺うのが僕の日課だ。



しおりを挟む

処理中です...