8 / 18
第7話 『本心は・・?』
しおりを挟む「リスナーさんからの質問です。恋人同士の役を長く続けていたら、本当に相手のことを良いなぁと思って好きになってしまうことはありますか?」
「えっ、」
「えっ、って何その反応。真白君、なんかリアルなんだけど、それ。」
ラジオの収録。
暁は先週の夜、真白の部屋で起きたことを何も覚えていない。
真白はその夜のことが忘れられず、暁に会うたびに思い出して挙動不審になり、ずっと胸のモヤモヤが取れずにいた。
あの夜、暁が「京極 豊」の声真似をして、真白は腰を抜かすほど感じてしまった。
(俺の顔を見て、暁先輩が興奮?してキスしてきて・・それから・・・)
何度も順を追って考える。
真白もかなりお酒を飲んでいたので、はっきりと思い出せない部分があるのだ。
『俺の声で・・・感じさせてやるよ。』
暁の声が頭の中に響く。
『真白のことが好きだよ。俺以外の男の声で、感じるなんて許さない。』
(あの言葉は先輩の本心なのか、それとも・・・・)
その後彼はもう一度、真白に深く口づけをしたのだった。
(あの感触・・・すごく気持ちよかった・・・先輩の舌が・・絡まって・・)
彼の舌が入り込んできて、真白の舌に絡まって・・・
『真白が好きだ。京極 豊の声より、俺の声の方がイイだろ・・?』
確かにあの瞬間、暁の声にゾクゾクしてしまった。
(暁先輩は超売れっ子の声優でもちろん良い声なんだから、当たり前なんだけど・・)
好きだと言ったのは、ただの台詞なのか、本心なのか、真白は気になって仕方なかった。
「真白?」
「え?あ、はい?!」
「質問の答え、そんなに悩む?これはYESだな(笑)」
(人の気も知らないで・・・)
真白は恨みがましい気持ちになっていた。
「まぁ~あるかもしれないですね。好きになっちゃうのは。」
「へぇ。意外だなぁ。じゃあ、俺のこと好きになっちゃう可能性、あるんだ?」
「な・・・無いとは、言い切れないんじゃないかなぁ。先輩はぁ?」
「俺だってそりゃああると思うよ。台詞って演技ではあるけど、本気で魂込めてるんだからね。」
ははは、と笑う暁をジィッと見つめる。
(俺を惑わすのはやめて欲しい・・・・)
真白はすっきりしない気持ちを抱えたまま、収録に頭を切り替えた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
29
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる