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『トラウマ』(SIDE 雫)
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「雫、一緒に寝るか?」
「うん、いいよ。」
巧と俺は、来月で付き合って5年の記念日を迎える恋人同士だ。
シェアハウスで共同生活を始めるまでは、3年同棲していた
表向きはただの幼馴染として、ここで生活することになる。
恋人同士であることは、泰莉君や弥弦さんに知られてはいけない。
それくらいの距離感が、今の俺たちにはちょうど良いリハビリになるかもしれないと内心期待していた。
「巧、おやすみ。」
「雫、おやすみ。」
いつも通り手を繋いで、眠りにつく。
恋人同士になってから、ずっとそうしてきたように、俺たちのルーティンをこなす日々。
巧とはもう2年、身体を重ねていない。
俺たちの間には、解決しがたい問題があった。
互いに真正面からぶつかり合うことを避け、それでも離れる選択が出来ない俺たちは、破綻しないギリギリのバランスを保っている。
あの日の記憶が、頭から離れない。
巧が同僚の梓先生と浮気した、あの夜の記憶。
何度も何度もその光景が夢に現れ、俺を苦しめる。
許そうと自分に言い聞かせてみても、頭で思うほど心はすんなりと受け入れてくれなかった。
嫉妬に狂い、感情のコントロールを失って、あんな行動を取るなんて。
俺はあの日からずっと、自分のことが信じられずに苦しんでいた。
眠れずに寝返りを打つと、巧が後ろから優しく抱きしめてくれる。
お尻に当たる硬い感触に、ギクリと身体がこわばった。
彼の逞しい下半身が、熱を帯びているのがわかる。
ズキズキと下半身が脈打つように痛い。
彼が欲しくないと言えば嘘になるけれど、他人と寝た彼の身体に愛されるのが怖かった。
あの夜の身体を引き裂かれるような苦しさが、胸に迫る。
憎悪に飲み込まれ自分が自分でなくなるような恐怖に、背筋が冷たくなった。
「うん、いいよ。」
巧と俺は、来月で付き合って5年の記念日を迎える恋人同士だ。
シェアハウスで共同生活を始めるまでは、3年同棲していた
表向きはただの幼馴染として、ここで生活することになる。
恋人同士であることは、泰莉君や弥弦さんに知られてはいけない。
それくらいの距離感が、今の俺たちにはちょうど良いリハビリになるかもしれないと内心期待していた。
「巧、おやすみ。」
「雫、おやすみ。」
いつも通り手を繋いで、眠りにつく。
恋人同士になってから、ずっとそうしてきたように、俺たちのルーティンをこなす日々。
巧とはもう2年、身体を重ねていない。
俺たちの間には、解決しがたい問題があった。
互いに真正面からぶつかり合うことを避け、それでも離れる選択が出来ない俺たちは、破綻しないギリギリのバランスを保っている。
あの日の記憶が、頭から離れない。
巧が同僚の梓先生と浮気した、あの夜の記憶。
何度も何度もその光景が夢に現れ、俺を苦しめる。
許そうと自分に言い聞かせてみても、頭で思うほど心はすんなりと受け入れてくれなかった。
嫉妬に狂い、感情のコントロールを失って、あんな行動を取るなんて。
俺はあの日からずっと、自分のことが信じられずに苦しんでいた。
眠れずに寝返りを打つと、巧が後ろから優しく抱きしめてくれる。
お尻に当たる硬い感触に、ギクリと身体がこわばった。
彼の逞しい下半身が、熱を帯びているのがわかる。
ズキズキと下半身が脈打つように痛い。
彼が欲しくないと言えば嘘になるけれど、他人と寝た彼の身体に愛されるのが怖かった。
あの夜の身体を引き裂かれるような苦しさが、胸に迫る。
憎悪に飲み込まれ自分が自分でなくなるような恐怖に、背筋が冷たくなった。
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