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『父と母』
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「桜雅君、難産だったけど本当に頑張ったね。」
出産後の処置のため、私たち家族は一旦病室の外へ出された。
壮絶な出産に立ち会った雫が涙ぐみながら、優しく微笑む。
「無事に生まれてきてくれて、本当に良かった。」
ただ無事で、元気に生まれてきてくれること。
私たち家族が望むのは、本当にただそれだけだ。
新しい家族の誕生に、夫たちも皆嬉しそうだった。
「子どもって、本当におぎゃ~って泣いて生まれてくるんだな~って、俺感動したっす!!」
音弥が目をキラキラ輝かせながら、子どものように言う。
「・・・そうだな。」
初めての出産立ち会いで衝撃を受けたのだろうか。
出産が終わって部屋を出てから、煌大の口数が明らかに少ない。
「煌ちゃん、大丈夫?」
音弥が心配そうに覗き込むと、彼は力無く苦笑してみせた。
私も初めての立ち会いでは貧血を起こしてしまったので、気持ちは痛いほどにわかる。
出産というのは、感動的で奇跡的な出来事だけれど、壮絶で恐怖を感じる瞬間が何度もあるから。
「産後は精神的にも肉体的にも不安定になる場合が多いから、皆んなでフォローしていこう。」
慶斗の言葉に、その場にいた夫たち全員が深く頷いてみせた。
♢♢♢
難産の影響で療養を兼ねて少し長めの入院をすることになった桜雅は、暇を持て余しているらしい。
映画を見るためにPCを持ってきて欲しいと頼まれて、病室に届ける。
「桜雅君、PC持ってきたよ。」
「お~、忙しいのにごめんな。」
ベッドから起き上がり、柔軟体操をしている桜雅を見てギョッとする。
「桜雅君、そんなに動いて大丈夫?」
慌てて支えようと駆け寄ると、不意にキスされて驚いた。
「桜雅・・・君・・・っ・・・」
「もう身体は全然平気だから、心配しなくていいぜ。」
「ダメ・・・だよ、お医者さんに安静にするように言われたでしょう?」
つい先日、シノブが生まれ父親と母親になった私たちだけれど、二人の間に流れる空気は付き合いたての恋人みたいに甘ったるい。
「大丈夫だって。すげー元気。どれくらい元気か・・確かめてみるか?」
腰を掴んで引き寄せると、今度はもっと甘くて深いキス。
「桜雅・・君・・、ダメ・・・」
「繭が声我慢出来るなら、今ここで抱きたい。」
直接的な言葉に、身体が熱くなる。
(私だって・・・桜雅君とシたい・・・あ~もうなんでうちの夫はこんなにかっこいいの・・・?!)
「退院したら・・・ゆっくりシよ?」
ベッドになだれ込みたい衝動をなんとか抑えて提案すると、彼はもう一度情熱的なキスをくれた。
出産後の処置のため、私たち家族は一旦病室の外へ出された。
壮絶な出産に立ち会った雫が涙ぐみながら、優しく微笑む。
「無事に生まれてきてくれて、本当に良かった。」
ただ無事で、元気に生まれてきてくれること。
私たち家族が望むのは、本当にただそれだけだ。
新しい家族の誕生に、夫たちも皆嬉しそうだった。
「子どもって、本当におぎゃ~って泣いて生まれてくるんだな~って、俺感動したっす!!」
音弥が目をキラキラ輝かせながら、子どものように言う。
「・・・そうだな。」
初めての出産立ち会いで衝撃を受けたのだろうか。
出産が終わって部屋を出てから、煌大の口数が明らかに少ない。
「煌ちゃん、大丈夫?」
音弥が心配そうに覗き込むと、彼は力無く苦笑してみせた。
私も初めての立ち会いでは貧血を起こしてしまったので、気持ちは痛いほどにわかる。
出産というのは、感動的で奇跡的な出来事だけれど、壮絶で恐怖を感じる瞬間が何度もあるから。
「産後は精神的にも肉体的にも不安定になる場合が多いから、皆んなでフォローしていこう。」
慶斗の言葉に、その場にいた夫たち全員が深く頷いてみせた。
♢♢♢
難産の影響で療養を兼ねて少し長めの入院をすることになった桜雅は、暇を持て余しているらしい。
映画を見るためにPCを持ってきて欲しいと頼まれて、病室に届ける。
「桜雅君、PC持ってきたよ。」
「お~、忙しいのにごめんな。」
ベッドから起き上がり、柔軟体操をしている桜雅を見てギョッとする。
「桜雅君、そんなに動いて大丈夫?」
慌てて支えようと駆け寄ると、不意にキスされて驚いた。
「桜雅・・・君・・・っ・・・」
「もう身体は全然平気だから、心配しなくていいぜ。」
「ダメ・・・だよ、お医者さんに安静にするように言われたでしょう?」
つい先日、シノブが生まれ父親と母親になった私たちだけれど、二人の間に流れる空気は付き合いたての恋人みたいに甘ったるい。
「大丈夫だって。すげー元気。どれくらい元気か・・確かめてみるか?」
腰を掴んで引き寄せると、今度はもっと甘くて深いキス。
「桜雅・・君・・、ダメ・・・」
「繭が声我慢出来るなら、今ここで抱きたい。」
直接的な言葉に、身体が熱くなる。
(私だって・・・桜雅君とシたい・・・あ~もうなんでうちの夫はこんなにかっこいいの・・・?!)
「退院したら・・・ゆっくりシよ?」
ベッドになだれ込みたい衝動をなんとか抑えて提案すると、彼はもう一度情熱的なキスをくれた。
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