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『双子の弟』
しおりを挟む「彗さん、今はどんなお仕事してるんでしょう?元スパイなんて、かっこいいですよねぇ。」
夫の蘭は、童顔の可愛いらしい顔を両手で包みながら、はぁっと悩ましげなため息を吐き出した。
彼は最近、彗の話ばかりしている。
婚姻関係を結んで家族になってから日が浅い夫の彗は、元スパイという特殊な経歴の持ち主だ。
「蘭は昔から、スパイ映画が好きなんだよ。」
蘭と見分けがつかないほどそっくりな顔をした双子の弟、奏が私にそっと耳打ちした。
奏は重度のブラコンで、私が蘭の妻として相応しいのか見極めるためにこの家で共に暮らしている。
顔はそっくりだけれど、蘭と奏の性格は真逆。
私を揶揄ってばかりの意地悪な奏に、いちいちドキドキしてしまっているのは内緒だ。
「スパイは印象に残らないように目立たない顔っていうのが鉄則ですけど、彗さんはあの超絶かっこいい見た目でどうやって仕事こなしてたんでしょうか・・・♡」
なかなか妊娠できないことに悩んでいた蘭が、彗のおかげですっかり元気を取り戻している。
「蘭は彗さんに夢中だね。・・・繭、もしかして妬いてる?」
ポーッとした顔で宙を見つめている蘭に気づかれないように、奏は私の耳元に口付けた。
「ちょ・・ちょっと奏さん・・・っ」
彗と食事に行くからと夫婦の営みを断られた前回の当て日を思い出す。
(確かにちょっと妬けるかもしれない・・・最近、蘭君とエッチしてないし・・・)
♢♢♢
「俺で良ければ、欲求不満の解消・・手伝おうか?」
蘭がリビングに飲み物をとりに行くと部屋を出た瞬間、奏が私の身体を押し倒した。
「そ・・・奏さん・・・?!」
「欲求不満なんでしょ?今自分がどれほど物欲しそうな顔してるのか、自覚ないんだ?」
「そんな・・・こと・・・」
無い、と断言できない自分が悲しい。
「蘭に抱かれたい?それとも・・俺に抱かれてみたい?」
「奏・・・さん・・困ります・・こんなこと・・・」
ドアップで迫る彼の唇に、思わず息を飲む。
(奏さんの唇・・・柔らかそう・・・・)
チュッと音を立てて唇を重ねた彼を、信じられない気持ちで見つめる。
彼はニッと挑発的な笑みを浮かべ、再度唇を重ねた。
「んっ・・・・や・・やだ・・・っ・・・」
彼の舌が、いやらしく絡む。
至近距離で見ても蘭と見分けがつかないほどそっくりな、双子の弟。
彼は蘭とは全く違う乱暴なキスで、私を翻弄する。
(奏さんのキス・・・・エロすぎ・・・っ・・・)
チュ、ジュル・・っ・・・グチュ・・・・グチュ・・・っ
卑猥な音が、静かな部屋に響き渡る。
「・・・二人とも・・っ・・・何してるの・・・・?」
予期できた最悪の展開。
部屋に戻ってきた蘭が、熱烈なキスを交わす私たち二人の前に、呆然と立ち尽くしていた。
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