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『初めてのキス』(SIDE 三条 冬紀)
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♡三条 冬紀(さんじょう ふゆき) 34歳
鶴屋医師とは高校からの同級生で、同期。
無表情で無口。淡々と喋る。
子ども相手にもにこりともしないポーカーフェイス。人間らしい表情や感情表現は誰も見たことがない。いつも冷静で、素早い診断と的確な治療で信頼されている医師。
♡鶴屋 高貴(つるや こうき) 34歳
小児科の医師。ピョンピョンと外側に跳ねたカールした毛先が特徴。少し長めのオレンジ色の髪にピアス(診療中ははずしている。)
子どもたちから大人気の明るい性格の医師。人懐っこい笑顔で、すぐに誰とでも仲良くなる。
人を褒めるのが好き。明るくて爽やかなイケメンなのでモテモテ。誰にでも優しいので勘違いされ惚れられやすい。
~~~~~~~~~~~~
「結婚、辞めることになった。」
高貴がそう言った時、胸が苦しくなった。
彼がひどく傷ついているのがわかるけれど、自分に出来ることは何も無い。
そう思ったから。
「高貴、」
彼にどんな言葉をかけたら良いかわからなかった。
ただ今まで通り彼が俺を必要だと手を伸ばす時には、必ずその手を掴みたい。
それだけが俺のはっきりとした気持ちだった。
「冬紀・・・慰めてくれよ。」
彼の言った言葉の意味が、一瞬わからなかった。
わからないふりをしたのかもしれない。
高貴の顔が近付いてきて、唇が重なる。
彼の香りがふわりと鼻をかすめて、俺は自分が一気に欲情していくのがわかった。
ダメだ。
そう思った時には、もう身体が動いていた。
ずっと欲しいと思っていた。
ずっと彼だけが、欲しかった。
「ん・・・ッあ・・・冬・・紀ッ・・・」
今度は俺からキスをして、舌を絡める。
こんな激しい感情が、自分の中にあることに驚く。
高貴をめちゃくちゃに抱いて、自分のものにしてしまいたい。
彼のシャツの下に手を入れて、確かめるように彼の身体を弄る。
「・・・ッ・・あ・・・冬・・っ紀・・・んん・・・」
彼の掠れた声が耳に届いて、俺は一気に冷静に戻った。
慌てて彼から身を引く。
「・・・冬紀・・・っ・・・?」
「悪い・・・俺、何して・・・・」
口を手で押さえて黙り込む俺に、高貴が苦笑する。
彼の弱みにつけ込んだ自分が許せなくて、一気に熱が冷めていく。
「ごめん、俺こそ。悪かった。」
彼が俺に背を向けて部屋から出て行こうと歩き出す。
「待ってくれ、高貴。」
「冬紀・・・ごめん、俺」
後ろから力一杯抱きしめると、高貴の体の力が抜けていくのがわかった。
「側にいてくれ。・・・お前の、側に居たいんだ。」
俺たちは朝まで同じベッドで眠った。
小学生頃と同じように、ただ話をしながら隣で眠る。
俺は高貴との関係を変えてしまうのが怖かった。失いたくない唯一の人間だから。
彼の隣に居たい。恋人じゃなくていいから、ずっと彼の側に。
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