【完結】意地っ張りで口の悪い受けと、拗らせて執着する攻めの日常

付き合う前

感情3(東雲サイド)

そのうち俺はあきらめた。
我慢するのをあきらめた。
俺が距離を取ろうとしたって、こいつから近づいて来るんだから。

もし俺が我慢しきれなくなっても、それはこいつが悪い。

そんな勝手な理屈をこねて。


でも不思議なことに、開き直ったら衝動は穏やかになった。
俺は前より積極的に藤堂に触れるようになった。

腕に触れ。
肩に触れ。
頭に触れ。
腹に触れた。

偶然を装って、唇でも髪や肌にこっそり触れた。

藤堂は唇で触れていることには気づいていないのか、「暑苦しい！」って腕を振り回して怒るだけだった。

適当な話をでっち上げて同情をひいたら、たまに抱きしめるくらいは許してくれるようになった。
あまりのチョロさに、変な奴に騙されないか少し心配になった。