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if サイラスルート

レオンのことは気になりますが…

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レオンはすっかり屋敷に寄り付かなくなってしまった。
…当たり前なのだけれど。

「リィ」

俯いて物思いにふけっていると、サイラスに呼ばれた。

「サイ…」

「…兄上のこと?」

なんでサイラスはこんなに勘がいいのだろう。
困って曖昧に微笑む。

「後悔してる?」

緩く首を横に振る。
後悔している訳ではない。
サイラスを選んだこと。
今、サイラスのことがとても好きで大事。そのことを後悔なんてしていない。

ただ、あんな風にレオンを傷つけてしまったことは…
上手く説明できなくて、サイラスの手を握った。

「…兄上と話したい?」

これにも首を横に振った。
レオンに何を言ったらいいのかわからない。それに多分、私が何を言っても余計に彼を傷つけてしまう気がする…。

「…そうだね。それがいいと思う」

「うん…」

サイラスの空いていた方の手が、そっと私の髪を撫でる。

「ねぇ、母上…」

サイラスの珍しく揺らいだ声。
不思議に思って、少し身体を離して顔を見つめた。

「兄上と…よりを戻したい?」

驚いて、それから勢いよく首を横に振った。どうしてそんなことを急に…
全身から一気に血の気が引く。
もしかして…

私に…飽きた…?
嫌になった…?
愛想が尽きた…?

目を見開いてサイラスを凝視すると、苦笑が返ってきた。

「ごめん、リィ。ちょっと自信がなくなっただけ」

サイラスを見つめる。
嘘を見逃さないように。

サイラスは優しいから、私との関係を解消したいと思っても、傷つけないようにと嘘を吐く気がする。それで私が離れたいと思うまで我慢する気が……

私なんかじゃ、サイラスが本気で嘘をついたらきっと騙されてしまうのだろう。それでも、あからさまな嘘くらいなら…
そんな嘘を信じて、サイラスの負担になるのは嫌…知らずに迷惑をかけて、その所為で嫌われるのは絶対に嫌……

じっと見つめ続けると、サイラスは困ったように笑った。

「ごめん、本当にそれだけ。だってリィは、兄上のことがとても好きだったから」

予想外のことを言われて動揺して、握った手に思わず力が込もった。
確かにそうだけれど、でも今は…

「言って、リィ。今リィが好きなのは誰?」

「サイ…サイが好き…」

それは信じて欲しい。
サイラスが少し肩の力を抜いて微笑んだ。

「本当に?一生僕だけでも構わない?」

コクンと頷く。
一生サイラスだけがいい。
それ以外いらない。
でも…

「………サイ…ラス……は…?」

声が震える。
サイラスと繋いだ手も。
サイラスがもし、普通に恋をして結婚して家庭を築きたいと望むなら…私は…それを与えてあげられない私…は……

想像だけで呼吸が苦しくなる。
けれど

「…バカだね、リィは」

唐突な、呆れたような悪口にポカンとしてしまった。

「僕が今まで好きになったのはリィだけだよ」

でも続けられた言葉が甘すぎて。

「リィ以外いらないよ」

もう一度抱き寄せられて、力が抜けた。
抱きしめられて安堵して。
そして自覚する。

やっぱり好き。
私はサイラスが好き。
どれだけレオンを傷つけても、もうこの腕から離れられない…

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