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第四章 オフ会のお誘い
第31話 オフ会だけど、みんなでゲーム
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オフ会とはいうものの、ゲームする。
今回の目的は、この会場でのプレイだ。
ゲームのプレイルームに入ると、すでに『P・R・F』の用意はできていた。ちゃんと、人数分のデバイスも揃っている。
ちなみに会場は広いが、ベッドやマットレスのはない。
寝転びながらプレイしないのが、PRFの特徴だからである。
このゲームは、ペットのお世話をするために離脱する可能性が高い。したがって、「セミダイブ」という方式を採用している。
左隅に、大きな水槽が。
「この子が、沢木さんの家族なんですね?」
手のひらサイズのミドリガメが、水槽に設置された岩場でヨチヨチ歩きをしていた。
「うむ。ホクサイという」
「北斎? 画家の名前ですね」
「いかにもだ。ケント氏。カメに画家の名前をつけるのは定期」
まるで当然だろうという、口ぶりだ。
「ゲームキャラでも、同様の名前を採用しておる。ちなみに吾輩の名前は『イチ』で」
本名が太一というのと、巨大掲示板の現役ユーザーのため、そういう名前にしたらしい。
「準備ができ次第、ログインよろ」
「はい」
ボクらも手持ちの端末で、PRFのセッティングをする。
「ビビ、なんかいつもと勝手が違うね」
自分のPCで操作するより、ヌルヌル動いている気がした。
ビビも、『にゃー』と返す。さすがに、ここでは話せないもんね。
「ふむふむ。見れば見るほど、本当に意思を持っている感じである」
沢木さんのキャラが、ビビをマジマジと見つめている。
「ビビちゃん、人気者ね。大きなバグを二つも見つけたものね」
鈴音さんが、ベルの口調に変わった。やはりこっちのほうが、人と話しやすいみたい。こちらが本来の自分って感じで。
「そうなんですか?」
「ええ。ギルドでも、話題になっているわ。救世主扱いよ」
すごいな、ビビは。野生の勘が鋭いのかな。
当のビビは、もうちょっとメロンを食べたかったみたいだけど。
「では、今日はどうすべきか」
「イチさんのキャラは、どういったビルドなんです?」
「魔法を使う、女盗賊である」
イチさんの中身は初老の男性だが、アバターは女性のシーフだ。【ハンター】といって、盗賊のスキルと簡単な攻撃魔法を駆使して戦う上位職だという。
「上級職なんて、あるんですね」
「何を言う、ケント氏よ。眼の前に上級者がいるではないか」
そっか。【ガンナー】のベルさんも、【ニンジャ】のナインくんも、上級職だったっけ。
「ちな、ホクサイは僧侶の男性である。主にアンデッド浄化が仕事」
僧侶の役割はヒーラーだが、ホクサイくんはアンデッドを成仏させることがメイン業務だという。
リアルでは手のひらサイズだったのに、今ではウミガメのような大きさに。
「アンデッドがいない場合は、どうするんです?」
「普通にヒーラーとして活動する」
最近始めたばかりと言うが、イチさんもホクサイくんもレベルが案外高い。
「じゃあ……【ホーンテッド・パレス】に行きましょ」
ベルさんが、そう提案した。
「みなさんは、怖いのは苦手ですか?」
「特にはー。チビたちは苦手みたいだけどー」
「え、トワさん。ホラゲーめっちゃ苦手じゃなかったです?」
ボクは、トワさんに問いかける。
たしかトワさんって、学生時代はホラゲが苦手だったような。
「ゲームの操作に慣れていないだけで、ホラー自体は苦手じゃないよー」
ああ、たしかにそうだった。最後まで、ボタン配置に慣れていなかったな。
ベストエンディングを迎えても、スキップしちゃうし。
「ここのアンデッドやオバケは、ファンシーなものばかりだから、特に怖くはないわ。ペットたちも、驚かないかもしれないわね」
なら、安心かも。
パレスに近づいていくにつれて、ゾンビたちが襲ってくるようになった。
しかし、ホクサイくんのアビリティ【後光】によって、勝手に浄化されていく。自分よりレベルの低いアンデッドを、自動で浄化してくれるアビリティなんだって。
「イチさんのアビリティって、なんですか?」
「パレスに着いてからの、お楽しみということで」
ボクたちの目的は、【ホーンテッド・パレスの浄化】に決定した。
ホーンテッド・パレスは、絵本に出てくるような、ちょっと禍々しい感じのお城である。いかにもそれっぽく、カラスやコウモリが飛び交っていた。ランタンもドロっと溶けた外観で、雰囲気を出している。
「ビビ、行こうか」
ボクが呼びかけると、ビビは率先して先行した。
エントランスに、白い布で身体をまとったモンスターが現れる。ゴーストという、魔物らしい。
『にゃー』と、ゴーストたちを、雷をまとった突撃技で撃退していく。
ビビがエントランスから、二階に上がろうとした。
一階に立っていた石像が、突然動き出す。ビビの前に、立ちはだかった。
「吾輩たちも、負けていられないのである。ホクサイ、【セイント・プレス】!」
イチさんが、ホクサイくんを持ち上げる。
「おおおっ!」
ホクサイくんを盾のように構えながら、イチさんは石像に突撃した。
カメの甲羅による突進を受けて、石像が粉々に。
「皆も、続けーっ」
その勢いのまま、イチさんは階段を駆け上がった。
今回の目的は、この会場でのプレイだ。
ゲームのプレイルームに入ると、すでに『P・R・F』の用意はできていた。ちゃんと、人数分のデバイスも揃っている。
ちなみに会場は広いが、ベッドやマットレスのはない。
寝転びながらプレイしないのが、PRFの特徴だからである。
このゲームは、ペットのお世話をするために離脱する可能性が高い。したがって、「セミダイブ」という方式を採用している。
左隅に、大きな水槽が。
「この子が、沢木さんの家族なんですね?」
手のひらサイズのミドリガメが、水槽に設置された岩場でヨチヨチ歩きをしていた。
「うむ。ホクサイという」
「北斎? 画家の名前ですね」
「いかにもだ。ケント氏。カメに画家の名前をつけるのは定期」
まるで当然だろうという、口ぶりだ。
「ゲームキャラでも、同様の名前を採用しておる。ちなみに吾輩の名前は『イチ』で」
本名が太一というのと、巨大掲示板の現役ユーザーのため、そういう名前にしたらしい。
「準備ができ次第、ログインよろ」
「はい」
ボクらも手持ちの端末で、PRFのセッティングをする。
「ビビ、なんかいつもと勝手が違うね」
自分のPCで操作するより、ヌルヌル動いている気がした。
ビビも、『にゃー』と返す。さすがに、ここでは話せないもんね。
「ふむふむ。見れば見るほど、本当に意思を持っている感じである」
沢木さんのキャラが、ビビをマジマジと見つめている。
「ビビちゃん、人気者ね。大きなバグを二つも見つけたものね」
鈴音さんが、ベルの口調に変わった。やはりこっちのほうが、人と話しやすいみたい。こちらが本来の自分って感じで。
「そうなんですか?」
「ええ。ギルドでも、話題になっているわ。救世主扱いよ」
すごいな、ビビは。野生の勘が鋭いのかな。
当のビビは、もうちょっとメロンを食べたかったみたいだけど。
「では、今日はどうすべきか」
「イチさんのキャラは、どういったビルドなんです?」
「魔法を使う、女盗賊である」
イチさんの中身は初老の男性だが、アバターは女性のシーフだ。【ハンター】といって、盗賊のスキルと簡単な攻撃魔法を駆使して戦う上位職だという。
「上級職なんて、あるんですね」
「何を言う、ケント氏よ。眼の前に上級者がいるではないか」
そっか。【ガンナー】のベルさんも、【ニンジャ】のナインくんも、上級職だったっけ。
「ちな、ホクサイは僧侶の男性である。主にアンデッド浄化が仕事」
僧侶の役割はヒーラーだが、ホクサイくんはアンデッドを成仏させることがメイン業務だという。
リアルでは手のひらサイズだったのに、今ではウミガメのような大きさに。
「アンデッドがいない場合は、どうするんです?」
「普通にヒーラーとして活動する」
最近始めたばかりと言うが、イチさんもホクサイくんもレベルが案外高い。
「じゃあ……【ホーンテッド・パレス】に行きましょ」
ベルさんが、そう提案した。
「みなさんは、怖いのは苦手ですか?」
「特にはー。チビたちは苦手みたいだけどー」
「え、トワさん。ホラゲーめっちゃ苦手じゃなかったです?」
ボクは、トワさんに問いかける。
たしかトワさんって、学生時代はホラゲが苦手だったような。
「ゲームの操作に慣れていないだけで、ホラー自体は苦手じゃないよー」
ああ、たしかにそうだった。最後まで、ボタン配置に慣れていなかったな。
ベストエンディングを迎えても、スキップしちゃうし。
「ここのアンデッドやオバケは、ファンシーなものばかりだから、特に怖くはないわ。ペットたちも、驚かないかもしれないわね」
なら、安心かも。
パレスに近づいていくにつれて、ゾンビたちが襲ってくるようになった。
しかし、ホクサイくんのアビリティ【後光】によって、勝手に浄化されていく。自分よりレベルの低いアンデッドを、自動で浄化してくれるアビリティなんだって。
「イチさんのアビリティって、なんですか?」
「パレスに着いてからの、お楽しみということで」
ボクたちの目的は、【ホーンテッド・パレスの浄化】に決定した。
ホーンテッド・パレスは、絵本に出てくるような、ちょっと禍々しい感じのお城である。いかにもそれっぽく、カラスやコウモリが飛び交っていた。ランタンもドロっと溶けた外観で、雰囲気を出している。
「ビビ、行こうか」
ボクが呼びかけると、ビビは率先して先行した。
エントランスに、白い布で身体をまとったモンスターが現れる。ゴーストという、魔物らしい。
『にゃー』と、ゴーストたちを、雷をまとった突撃技で撃退していく。
ビビがエントランスから、二階に上がろうとした。
一階に立っていた石像が、突然動き出す。ビビの前に、立ちはだかった。
「吾輩たちも、負けていられないのである。ホクサイ、【セイント・プレス】!」
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「おおおっ!」
ホクサイくんを盾のように構えながら、イチさんは石像に突撃した。
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その勢いのまま、イチさんは階段を駆け上がった。
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