11 / 49
第二章 ここほれニャンニャン
第11話 愛猫とダンジョンへ
しおりを挟む
ダンジョンの中は、思っていたより深そうだ。
明るいからまだいいけど、真っ暗だと夜目がきかないボクだとキツかったかも。
ダンジョンの構造は、岩をくり抜いた感じの自然なものだ。遺跡などのように、人工物がある感じではない。
『ケントご主人。こっちニャ』
わずかにビビが先行して、お宝の位置まで歩いていく。
「モンスターに気をつけてね」
本来なら、ボクがビビを守りつつ進行していくつもりだった。
しかしビビは、好奇心のほうが勝っているみたい。先に進んでしまう。
ビビが喜びそうなお宝が、あるといいね。
『魔物ニャ』
「わかった。下がってて、ビビ」
危ない魔物なら、ビビを守らなきゃ。
現れたのは、イノシシの頭をした小太りの亜人だ。【オーク】だな。ここは、オークの巣なのかもしれない。
オークが、手に持った棍棒を振り下ろす。
ボクは、盾で防御した。
「うおっ! 重っ!」
地面がめり込んだよ。こんなの、ビビに当てられない。
結構、殺意が高めだそ。このオークは。
『ケントご主人。多分、当たらないように避けるか、受け流すシステムだニャ。まともに受け止めちゃダメニャー』
そうか。バカ正直すぎた。
「よし、それ!」
今度は、斜めの方角に受け流す。
『OKご主人。今ニャ』
ビビが【ライトニングスピア】を放った。雷撃を帯びた剣で、相手を突っつく。
電撃が体に流れ込んで、オークが目を回した。モザイク状になって、オークの肉体が消えていく。
仲間がやられたのに気づいてか、オークが集まってきた。
群がるオークを、同じような手法で撃退していく。
さすが、ゲームと言うだけある。ちゃんと、攻略法があるんだな。
「受け流して……ビビ!」
『OKだニャ』
ボクが攻撃を流して、オークの体制が崩れたところを、ビビが倒す。
「これでラストだ、ビビ」
『【ライトニングスピア】ニャ!』
どうにか、すべてのオークを撃退した。
「ボクのレベルが、一ポイント上がったね」
『そうだニャ。ニャアは強くなりすぎてて、オーク相手ではレベルが上がらないニャー』
「ステータスは体力に振って、と。スキルは、なにを取ろうかな」
ボクは、取れそうなスキルを前に悩む。
盾で攻撃できる【シールドバッシュ】。
自分が壁役になって、敵を怒らせる【挑発】。
回復魔法の【ヒール】。
魔法の杖があるから、ヒールはいいか。
「【挑発】を取るね」
これで、ビビが攻撃対象になるのを避けられる。
「探索スキルは、もうすぐ発動しそう?」
『ビンビン伝わってくるニャ』
「例の、クモ型モンスターの気配ってある?」
ボクたちは冒険者ギルドから、『クモのモンスターを倒して、糸を取ってこい』と依頼を受けている。
『モンスターの気配は、わからないニャ。でも、アイテムの位置は特定できそうニャー』
ビビはボス部屋とは違うルートを、トテトテと進む。
『ここニャ』
なにもない壁に、ビビが触れた。
ネコの顔をしたピクトグラムが、マーカーとなって壁に出現する。
ピクトグラムを、ビビがちょこんと前足で押す。
ズズズと壁が動いて、新しい道ができた。
「こんな道があったのか」
ビビといっしょに、狭い道を進む。
『このスキル、隠し扉も見つけられるみたいニャン』
ビビの持っている【ここ掘れニャンニャン】、隠し通路まで見つけられるとは。
財宝がたくさんある部屋に、たどり着いた。
「宝物庫だ」
お金だけではなく、換金用アイテムの絵画、レアアイテムまで手に入れる。
でも全部、店売りで手に入る高級品や、お金に換えられるものばかり。
たしかにお金は大事だが、いずれ手に入るなら特別感がない。
この発想って、贅沢なんだけどね。
『限定的なアイテムは、出てこないニャー』
「そうだね」
やはり効果的なアイテムは、ボスを倒さないとダメみたい。
ひとまず、手当たり次第にお宝をもらっていく。
これは、領地の資材代にしようかな。
「よし。クモモンスターを目指すか」
『やっぱり地に足のついた財宝は、自分で勝ち取る必要があるニャね』
哲学的なことを、ビビが語る。
「そうだねー。苦労の先に、財宝があるんだろうね」
ボクも、しみじみ感じた。
手軽にチートなんて、小説の世界だけなんだね。
「ちょっとまって。この道、ボス部屋に続いてない?」
床が見えたとき、真下にボスの気配を感じた。
いやあ、前言は撤回しよう。チートって、あるところにはあるんだなあ。まさか、こんなところに抜け道があったなんて。
バカでかいクモが、獲物を求めてキョロキョロしている。小学校の体育館を、まるまる埋め尽くすくらいの大きさだ。
目を回したオークが、ぐるぐる巻きにされて捕まっていた。
オークでさえ、刃が立たないのか。そりゃそうだろうね。フロア全部覆い尽くすくらいに、大きいもの。アイツ。
しかし果敢にも、一匹のオークがボスのクモに突進していく。
クモの魔物が、なにか液体を口から吐き出した。
液体を浴びたオークが、バタンと倒れる。
クモはシッポから糸を出して、うつ伏せになったオークを縛り上げて吊るした。
「毒グモだ! コイツは、毒を持っている!」
あのクモは、毒持ちのようだ。
飛び道具を持っているベルさんを、連れてくればよかったか?
でも、こういうのは楽しんだもの勝ちだ。
ゲームでも、いきなりキャラロストするような仕掛けなんて、用意していないだろう。
『ケントご主人、あれニャ!』
ビビが、なにかに気づく。
「どうしてのビビ……あれ!?」
なんと、毒グモのモンスターの背中に、『ここ掘れニャンニャン』のマーカーが浮かんでいるではないか。
明るいからまだいいけど、真っ暗だと夜目がきかないボクだとキツかったかも。
ダンジョンの構造は、岩をくり抜いた感じの自然なものだ。遺跡などのように、人工物がある感じではない。
『ケントご主人。こっちニャ』
わずかにビビが先行して、お宝の位置まで歩いていく。
「モンスターに気をつけてね」
本来なら、ボクがビビを守りつつ進行していくつもりだった。
しかしビビは、好奇心のほうが勝っているみたい。先に進んでしまう。
ビビが喜びそうなお宝が、あるといいね。
『魔物ニャ』
「わかった。下がってて、ビビ」
危ない魔物なら、ビビを守らなきゃ。
現れたのは、イノシシの頭をした小太りの亜人だ。【オーク】だな。ここは、オークの巣なのかもしれない。
オークが、手に持った棍棒を振り下ろす。
ボクは、盾で防御した。
「うおっ! 重っ!」
地面がめり込んだよ。こんなの、ビビに当てられない。
結構、殺意が高めだそ。このオークは。
『ケントご主人。多分、当たらないように避けるか、受け流すシステムだニャ。まともに受け止めちゃダメニャー』
そうか。バカ正直すぎた。
「よし、それ!」
今度は、斜めの方角に受け流す。
『OKご主人。今ニャ』
ビビが【ライトニングスピア】を放った。雷撃を帯びた剣で、相手を突っつく。
電撃が体に流れ込んで、オークが目を回した。モザイク状になって、オークの肉体が消えていく。
仲間がやられたのに気づいてか、オークが集まってきた。
群がるオークを、同じような手法で撃退していく。
さすが、ゲームと言うだけある。ちゃんと、攻略法があるんだな。
「受け流して……ビビ!」
『OKだニャ』
ボクが攻撃を流して、オークの体制が崩れたところを、ビビが倒す。
「これでラストだ、ビビ」
『【ライトニングスピア】ニャ!』
どうにか、すべてのオークを撃退した。
「ボクのレベルが、一ポイント上がったね」
『そうだニャ。ニャアは強くなりすぎてて、オーク相手ではレベルが上がらないニャー』
「ステータスは体力に振って、と。スキルは、なにを取ろうかな」
ボクは、取れそうなスキルを前に悩む。
盾で攻撃できる【シールドバッシュ】。
自分が壁役になって、敵を怒らせる【挑発】。
回復魔法の【ヒール】。
魔法の杖があるから、ヒールはいいか。
「【挑発】を取るね」
これで、ビビが攻撃対象になるのを避けられる。
「探索スキルは、もうすぐ発動しそう?」
『ビンビン伝わってくるニャ』
「例の、クモ型モンスターの気配ってある?」
ボクたちは冒険者ギルドから、『クモのモンスターを倒して、糸を取ってこい』と依頼を受けている。
『モンスターの気配は、わからないニャ。でも、アイテムの位置は特定できそうニャー』
ビビはボス部屋とは違うルートを、トテトテと進む。
『ここニャ』
なにもない壁に、ビビが触れた。
ネコの顔をしたピクトグラムが、マーカーとなって壁に出現する。
ピクトグラムを、ビビがちょこんと前足で押す。
ズズズと壁が動いて、新しい道ができた。
「こんな道があったのか」
ビビといっしょに、狭い道を進む。
『このスキル、隠し扉も見つけられるみたいニャン』
ビビの持っている【ここ掘れニャンニャン】、隠し通路まで見つけられるとは。
財宝がたくさんある部屋に、たどり着いた。
「宝物庫だ」
お金だけではなく、換金用アイテムの絵画、レアアイテムまで手に入れる。
でも全部、店売りで手に入る高級品や、お金に換えられるものばかり。
たしかにお金は大事だが、いずれ手に入るなら特別感がない。
この発想って、贅沢なんだけどね。
『限定的なアイテムは、出てこないニャー』
「そうだね」
やはり効果的なアイテムは、ボスを倒さないとダメみたい。
ひとまず、手当たり次第にお宝をもらっていく。
これは、領地の資材代にしようかな。
「よし。クモモンスターを目指すか」
『やっぱり地に足のついた財宝は、自分で勝ち取る必要があるニャね』
哲学的なことを、ビビが語る。
「そうだねー。苦労の先に、財宝があるんだろうね」
ボクも、しみじみ感じた。
手軽にチートなんて、小説の世界だけなんだね。
「ちょっとまって。この道、ボス部屋に続いてない?」
床が見えたとき、真下にボスの気配を感じた。
いやあ、前言は撤回しよう。チートって、あるところにはあるんだなあ。まさか、こんなところに抜け道があったなんて。
バカでかいクモが、獲物を求めてキョロキョロしている。小学校の体育館を、まるまる埋め尽くすくらいの大きさだ。
目を回したオークが、ぐるぐる巻きにされて捕まっていた。
オークでさえ、刃が立たないのか。そりゃそうだろうね。フロア全部覆い尽くすくらいに、大きいもの。アイツ。
しかし果敢にも、一匹のオークがボスのクモに突進していく。
クモの魔物が、なにか液体を口から吐き出した。
液体を浴びたオークが、バタンと倒れる。
クモはシッポから糸を出して、うつ伏せになったオークを縛り上げて吊るした。
「毒グモだ! コイツは、毒を持っている!」
あのクモは、毒持ちのようだ。
飛び道具を持っているベルさんを、連れてくればよかったか?
でも、こういうのは楽しんだもの勝ちだ。
ゲームでも、いきなりキャラロストするような仕掛けなんて、用意していないだろう。
『ケントご主人、あれニャ!』
ビビが、なにかに気づく。
「どうしてのビビ……あれ!?」
なんと、毒グモのモンスターの背中に、『ここ掘れニャンニャン』のマーカーが浮かんでいるではないか。
11
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。


はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる