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魔王の影

新魔道具アシュラ君

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どうしても遺書を書き残すと言って聞かないラケッツさん。

俺はメンセンにも声をかけるつもりだったので、その間に遺書を作成してもらった。

メンセンを連れてラケッツさんの元に戻ったが、それを見たメンセンがボソッと「俺も書こうかな‥」なんて言いやがった。

メンセンは慌てて「じょ、冗談だよマルコイさん。あははは‥」と言っていたが、額に流れる汗を俺は見逃さなかった。

一体俺の魔道具を何だと思ってるのかね?

みんなの安全を守るために、必死に作っているというのに!

ただ最初から自分で使うのが怖いから、試してもらってるだけじゃないか!




そんな嫌がる2人を連れてやってきました実験場!
間違えた、修練用の荒野だな。

「今回試してもらうのは背中に背負うタイプの魔道具だ。背中に背負った後に魔力を込めると作動するからな。」

俺は『スペース』から魔道具を取り出す。

「これが今回開発した『どっからでもかかってこいアシュラ君!』だ!」

俺は6本腕の魔道具をラケッツさんに渡す。

「まずはラケッツさんから使ってもらっていいかな?それをメンセンが攻撃したらどうなるかを見てみたいんだ。」

「わかりました‥」

死んだ魚のような目で魔道具を背負うラケッツさん。

ふふん。
いつまでそんな目をしてられるかな。
『どっからでもかかってこいアシュラ君!』の凄さを実感したら、その目は光り輝く事だろう。

俺とメンセンから少し離れた場所でアシュラ君を背負うラケッツ。

「これでいいですか?」

「ああ。後は魔力流せば大丈夫だ。」

結構なサイズだが、金属は殆ど使用していない。
軽量のため標準的な力のラケッツさんでも軽々持てている。
【スードウクリエイター】を使い木製にしているが、魔力回路ましましで硬度を上げているから大丈夫だろ。

「じゃあ魔力流しますね。」

ラケッツさんがアシュラ君に魔力を流す。

するとそれまで垂れ下がっていた腕が意志を持ったようにラケッツさんの背中に広がった。

おお!
ラケッツさんなのに威圧感が凄い。

ラケッツさんには無かったはずの強者の雰囲気があるぞ。

「それじゃあメンセン。適当にその辺の棒でも投げてみて。」

メンセンは俺に言われた通りに、近くにあった木を拾って投げた。

するとラケッツさんの頭目掛けて真っ直ぐ飛んでいった木が突然粉砕した。

うん。
ちゃんと作動したようだな。

ラケッツさんの頭の上には飛んできた木を粉砕した木製の腕が伸びている。

「す、すげー‥」

ふふん。
そうだろうそうだろう。

「それじゃあ2人とも武具を装備して。メンセンはそれを使ってラケッツさんに攻撃してもらっていいか?」

メンセンは頷くと予め用意していた木製の剣を持った。

「ラケッツ。思いっきりいくぞ。当たったら成仏しろな。」

「な、なんでそんな事言うんすか?か、軽めにお願いしますよ‥」

「いくぞオラッ!」

メンセンは剣を振りかぶってメンセンに駆け出す。

実力からいってもラケッツさんではメンセンに敵わない。
でもアシュラ君を使えば‥

木と木がぶつかる音がする。
メンセンの上段から振り下ろした剣をアシュラ君が木製の腕で防ぐ。

メンセンの剣は弾かれて、メンセンはたたらを踏む。

しかしメンセンは先程木を弾いたのを見ていたので、さほど驚かず追撃をしかける。

勢いよく放たれる剣撃。

しかしその全てをアシュラ君は防いでいる。

一撃、二撃、三撃。

その全てをアシュラ軍は木製の腕で捌いている。

攻撃にびびって縮こまっていたラケッツさんも、自分に攻撃が届かない事がわかったのか、少し余裕が出てきたようだ。

「これって俺が攻撃したら勝てるのか‥?」

そう。
防御はアシュラ君が自動でやってくれるから、装着しているラケッツさんは自由に攻撃できるのだ。

「えいっ!」

情けない掛け声と共に放たれたラケッツさんの攻撃がメンセンの胴に入る。

「ぐっ‥」

メンセンは攻撃をもらい、数歩後退する。

「や、やった。メンセンさんに初めて攻撃する事ができた‥」

ふふ。
まだまだこれからだよ。
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