異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~

兎森りんこ

文字の大きさ
105 / 107

アライグマの痴話喧嘩※エイシオ視点

しおりを挟む
 
 素敵な女神テンドロニオン様とアユムとゆっくり食事会をしようとしていた時に、やはりいつものアライグマが現れた。

 おじゃま虫アライグマだ。

 そして女神の拒絶のお言葉……。
 やはりか……。

 痴話喧嘩してるっぽいなと思っていたけど、やっぱりそうだったか。

「えっ……」

 唖然としてるアライグマ。

「え? ってなに?」

「え~~え~~!? 何を言ってるのさぁ~テンドルニオーン、テンドルニオンちゃ~ん~! 我とお前の仲じゃないかぁー恥ずかしがることないからさー別れるなんて~まさかまさかだよぉ~」

 アライグマァ……なんだちっとも反省していないのか。
 こいつ……最低じゃないか!

「私が旅の道中も、転移者殿の指輪から見ていることを知りながら……相変わらずの不貞を……」

 浮気癖もあるアライグマ……。
 どうにも救いようがない。
 最後のソフィア様へのベッタリで見限られたか……。

 馬鹿め……!!

 あぁ神に対して、冷ややかな目で見てしまう……!
 でも仕方ない! これは仕方ないだろう!

「だ、だってさ。相手は人間だしぃ! 気にする必要ないよぉ! 我とテンちゃんは神なんだからさ……神は神しか愛さないでしょ! 人間へは神としての慈愛でしょっ!」

「きっかけは風の神フューマジーネの元に通っている事が発端でしょうっっ!」

「最低なケダモノだな……」

 あ、口に出ていた。

「こらぁ! 勇者!! 男として我の味方をせいよっっ!!」

「申し訳ない。僕は浮気者の気持ちはわかりかねます。アユム以外は目に入らない。アユムだけを愛している。愛する人を悲しませる事をするなど僕にはできないのです……わかりませんね。浮気者の気持ちなど全く理解できないです。僕は心から、アユムだけを愛していますからね」

 僕は頬を染めたアユムを見つめる。
 浮気なんて考えられないさ。

 ケダモノめ……!

「おほほ、さすが我が勇者! 言っちゃって! 言っちゃって~!! わかった? もう、あんたなんかどうでもいいわ。会いに来ても無駄と言ったはずよ」

「ぐぐぅー! テンちゃああん! そんな事言わないでヨォー! 勇者の家での活躍見てたでしょー!? この二人をくっつけたのだって我なんだよぉー!?」

 むぐ……。
 確かにあの雨の日にアユムを探す助けにはなった。

「ふん! あれは腕輪の力を最大限利用した人間の功績だわ。ちっせぇー男」

 しかしテンドルニオン様が一蹴してくれた。
 さすがである。

「ぐぐう~~~……ぐ……う……」

 言葉を失うザピクロス……。
 あ、様もつける気になれなかったよ。

「さぁ、こんなのは、ほっておいて楽しみましょう」

「テンちゃんんん!!」

 空になったグラスに、テンドルニオン様が注いでくれた。
 吹っ切れたような、可憐な姿だ。

 今まで憎いと思っていたアライグマの姿なのに、こうも違うものなのか。
 僕も彼女のグラスに注ぐと、女神は小さな手でグイッと一気に飲み干す。

「テンちゃぁああああん!! 愛よ! 愛よ戻れぇえええ!!」

 まだ騒いでるオッサンアライグマ。
 それを見て、テンドルニオン様が溜息をつく。

「はぁ~……ねぇ……あなたは最近、自分の姿を見たのかしら!?」

「ほえ?」

 壁から這い出て、ちょこんと座るザピクロス様……。
 確かに……。
 なんだろう、旅を出た時から何倍にも膨らんでいないか?
 東の方に伝わる巨大な狸の像のようだ。
 でっぷりと腹が出て……。

「私はもう、そんなあなたになんか興味はないの! これからは勇者と、転移者殿と一緒に私も暮らすのよ」

「がぁーん!」

 ふふ、いい気味だ。
 と、僕のなかの悪魔が笑う。

 ……いや、え? テンドルニオン様、今なんて??

 
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます

水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。 家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。 絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。 「大丈夫だ。俺がいる」 彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。 これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。 無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

最強賢者のスローライフ 〜転生先は獣人だらけの辺境村でした〜

なの
BL
社畜として働き詰め、過労死した結城智也。次に目覚めたのは、獣人だらけの辺境村だった。 藁葺き屋根、素朴な食事、狼獣人のイケメンに介抱されて、気づけば賢者としてのチート能力まで付与済み!? 「静かに暮らしたいだけなんですけど!?」 ……そんな願いも虚しく、井戸掘り、畑改良、魔法インフラ整備に巻き込まれていく。 スローライフ(のはず)なのに、なぜか労働が止まらない。 それでも、優しい獣人たちとの日々に、心が少しずつほどけていく……。 チート×獣耳×ほの甘BL。 転生先、意外と住み心地いいかもしれない。

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

聖女召喚の巻き添えで喚ばれた「オマケ」の男子高校生ですが、魔王様の「抱き枕」として重宝されています

八百屋 成美
BL
聖女召喚に巻き込まれて異世界に来た主人公。聖女は優遇されるが、魔力のない主人公は城から追い出され、魔の森へ捨てられる。 そこで出会ったのは、強大な魔力ゆえに不眠症に悩む魔王。なぜか主人公の「匂い」や「体温」だけが魔王を安眠させることができると判明し、魔王城で「生きた抱き枕」として飼われることになる。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

追放オメガ聖帝の幸せな結婚〜クールなスパダリ騎士に拾われて溺愛されるまで〜

あきたいぬ大好き(深凪雪花)
BL
ノルディーナ王国の聖帝サーナは、教皇のありもしない嘘のせいで聖宮から追放されてしまう。 行く当てがないサーナが国境に向かうと、そこで隣国ルミルカ王国の騎士であるムーシュと出会う。ムーシュから諸事情により偽装結婚を提案されて、サーナは期限付きの偽装結婚ならばよいと承諾し、一時的に保護してもらうことに。 異国暮らしに慣れていく中で、やがてムーシュから溺愛されるようになり……?

処理中です...