15 / 15
人助け
しおりを挟む洞窟の外へ出て魔物を確認する。
そのために魔力探知と、正確に俺の魔法を当てるためにロックオンをする。
あとは魔法を放つだけ。
「風弾」
探知された魔物を風魔法で貫く。
処理は町の住人にでも任せておけば大丈夫だろう。
そろそろ一時間経つ頃だろうと思い、再び変装をして戻る。
「おお!兄ちゃん、いいところに来た。できたぞ」
完成した指輪はシンプルなものだけど、上手にできていることは素人にも分かる。
「ありがとうございます」
「ただいま帰りました~」
指輪を受け取った直後、俺が入ってきた入り口と同じところから犬人族の女性が入ってきた。
「聞いてください。この町の周辺の至る所に魔物の死体があったんですよ」
「ほぉ、そうか・・・・・・もしかして兄ちゃんがやったのか?」
「えっ」
女性は俺がいることに今気づいたようだ。
魔物が倒されていることがもう広まったのか。
「ええ、頼まれたので」
「君が・・・・・・」
「すごいなぁ」
魔物自体はあまり強い方ではなく、一体ずつならレベルの低い冒険者でも倒すことが出来るだろう。
だが群れで来られたり、強い統率者がいる場合は別だ。
「弱い魔物ばかりでしたので」
「それでもすごいわ!」
「ありがとうございます」
一気に100体以上襲ってきても倒すことができる自信はある。
「あなた冒険者よね?いつこの街を立つのかしら」
「おそらく今日か明日だと思います」
俺に決定権があるわけではないのではっきりとは言えない。
そう思っていたところで、丁度入り口からリアトが入ってきた。
「ここに居たのか。もう全員揃ってるぞ」
「すぐ行きます」
「ちょっと待って!」
他の三人が集まっているという場所に行こうとしたとき、犬人族の女性に呼び止められた。
「何ですか?」
「あなたにお礼がしたいの」
「いえ、そんなことまでしてもらうほどではありません」
リアトがずっと不思議そうな顔でこちらを向いている。
「あなたはこの方のお仲間ですか?」
「はい」
リアトに話がいった。
「いつこの町を出てしまうのかしら?」
「これから次の目的地に向かうところです」
「丁度いいわ!」
リアトに集合している場所だけを聞いてどこかに行ってしまった。
すぐ後にみんながいる場所へと向かう。
「お待たせ」
リアトが声をかけた先に三人はいた。
「遅いぞヘイト」
「すみません」
そんなことを話していたとき、俺たちの方に先程の女性が走ってきた。
全力で走っていたのか息が荒い。
「大丈夫ですか?」
「ハァハァ、ええ。それよりこれを見て!」
女性の後ろには魔道具があった。
馬車の馬がいないバージョンのようなもの。
前に一度見たことあるが、タイヤが4つあり一つ一つに魔石が埋め込まれている。
魔石とは長時間魔道具を使用するにあたって、あらかじめ魔力を溜めておくことができる石だ。
魔力が少ないものでも魔道具を楽に使うことができる。
「これはどうしたんですか?」
「是非これを使って!魔物の話をしたら喜んで貸してくれたの」
リアトたちを見れば全員驚いている。
断ってもいいが、みんな歩き続けて疲れているだろう。
「ありがどうございます」
「それと、この人が操縦してくれるから」
魔道具の中から出てきたのは、同じ犬人族の男性。
「よろしく。どこまで行くんだ?」
「ナウアリーレという国です」
「少し遠いがお礼だ。最後までしっかり送ってやろう」
「よろしくお願いします」
その後すぐに町を出てナウアリーレに向かった。
道中休憩しながら食事をしたら、襲ってきた魔物を倒したりした。
そして、歩いて行けば5日間ほどかかる距離を2日で到着することができた。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
俺のスキル、説明すると大体笑われるが、そんな他人からの評価なんてどうでもいいわ
ささみやき
ファンタジー
平凡に生きてたはずの俺は、ある日なぜか死んだ。
気づけば真っ白な空間で、美人のお姉さんとご対面。
「転生します? 特典はAかBね」
A:チート付き、記憶なし
B:スキルはガチャ、記憶あり
そんな博打みたいな転生があるかよ……と思いつつ、
記憶を失うのは嫌なのでBを選択。
どうやら行き先の《生界世界》と《冥界世界》は、
魂の循環でつながってるらしいが、
そのバランスが魔王たちのせいでグチャグチャに。
で、なぜか俺がその修復に駆り出されることに。
転生先では仲間ができて、
なんやかんやで魔王の幹部と戦う日々。
でも旅を続けるうちに、
「この世界、なんか裏があるぞ……?」
と気づき始める。
謎の転生、調停者のお姉さんの妙な微笑み、
そして思わせぶりな“世界の秘密”。
死んでからの人生(?)、
どうしてこうなった。
ガチャスキル、変な魔王、怪しい美人。
そんな異世界で右往左往しつつも、
世界の謎に迫っていく、ゆるコメディ転生ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる