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魔剣
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鍛冶屋を出て森の上空を飛ぶ。
魔物を倒していくより、どうしてこの町の周りに集まっているのか原因を探した方が早い。
ほら、見つけた。
町から東に1キロほど離れたところから魔族が放つ純粋な闇のオーラとは違った、悪に染まりきったような見ていて気持ち悪くなるようなオーラが出ている。
そのオーラが魔物を引き寄せているのだろう。
近づけば洞窟があった。
洞窟の中からオーラが溢れている。
特に何もない洞窟は思ったよりも奥が深く、進むにつれオーラが大きくなってきた。
思ったよりも厄介かもしれない。
オーラの正体はお前か。
地面に突き刺さった一本の剣
邪なオーラを放っている。
町に被害が出る前に壊しておこう。
「破壊する。重力破壊」
『待て!』
「何だ?」
誰の声だ。
ここには人は一人もいないし何もない洞窟だ。
あるのはこの目の前の剣だけ・・・・・・ということは。
「お前か?」
『そうだ。私を破壊するではない』
まさか、喋れるのか・・・・・・。
『私は初代魔王より作られし魔剣、ティルスレイブ』
魔剣、だと・・・・・・。
しかも魔王が作ったもの。
「そのようなものが何故こんなところにあるんだ」
『数十年ほど前のことだ。歴代勇者によってあるダンジョンの最深部に封印されていたが、そこにビスタルという名の者が現れた。私の封印を解き、私に触れたその刹那その者が魔王であると感じだ。
私は勇者が持つ剣とは違い、魔王にしか扱うことができない。封印が解かれそのままその者が所有者となり共に戦っていたが、ある時その者は消滅してしまった。所有者のいなくなった私はどこか別のところに消えてしまった・・・・・・と思っていたところをある人間の男が手にした。
私は決して魔王にしか使えないというわけではなく、使うだけなら誰にでもできる。だが大きな代償が伴う。魔王以外が使った場合は、強大な力と引き換えに呪いに体を蝕まれてしまう。
男の境遇は不幸なもので、小さい頃から家族や周りの人から奴隷のように扱われた挙句森に捨てられたと言っていた。その捨てられたという森に私はいたのだ。たまたま私を手に入れた男は、自分を酷く扱った者と、それをみて見ぬふりをした者たちに復讐をした。その後呪いが全身に回り魔物へと変貌し私をここに突き刺してどこかに行ってしまった』
そういえば城の書庫には勇者に関するものはあったが、魔王に関するものはなかった。
魔王にも専用の武器があったとは父から一言も聞いたことがない。
「父からそのようなこと、一度も聞いたことがないぞ」
『むっ、父ということはお主は・・・・・・いや、だが見た目が違う』
ああ、そうか・・・・・・。
思い出して変装を解く。
『その黒い瞳に黒い髪はまさしく魔王の器。ビスタルの息子か』
「そうだ」
話していながらも放出されるオーラは凄まじいものだ。
勇者の剣より強そうじゃないか。
『私を共に連れて行ってはくれぬか?』
悪い話ではない。
だが、このような剣を持っていれば魔王だとバレてしまう。
「連れていくのはいいが、まずはそのオーラをどうにかできないのか?そのせいで周辺に魔物が集まってきている」
『すまない。気づいていなかった』
途端に立ち込めていたオーラは魔剣に吸い込まれるようにして消えていった。
『どうだ?』
「ああ、いいだろう。連れて行こう」
おそらく出番はほとんどないだろうがな。
俺はあくまでも魔導士だから。
これで問題は解決した。
あとは町の周りに彷徨いている魔物の排除だけだ。
魔物を倒していくより、どうしてこの町の周りに集まっているのか原因を探した方が早い。
ほら、見つけた。
町から東に1キロほど離れたところから魔族が放つ純粋な闇のオーラとは違った、悪に染まりきったような見ていて気持ち悪くなるようなオーラが出ている。
そのオーラが魔物を引き寄せているのだろう。
近づけば洞窟があった。
洞窟の中からオーラが溢れている。
特に何もない洞窟は思ったよりも奥が深く、進むにつれオーラが大きくなってきた。
思ったよりも厄介かもしれない。
オーラの正体はお前か。
地面に突き刺さった一本の剣
邪なオーラを放っている。
町に被害が出る前に壊しておこう。
「破壊する。重力破壊」
『待て!』
「何だ?」
誰の声だ。
ここには人は一人もいないし何もない洞窟だ。
あるのはこの目の前の剣だけ・・・・・・ということは。
「お前か?」
『そうだ。私を破壊するではない』
まさか、喋れるのか・・・・・・。
『私は初代魔王より作られし魔剣、ティルスレイブ』
魔剣、だと・・・・・・。
しかも魔王が作ったもの。
「そのようなものが何故こんなところにあるんだ」
『数十年ほど前のことだ。歴代勇者によってあるダンジョンの最深部に封印されていたが、そこにビスタルという名の者が現れた。私の封印を解き、私に触れたその刹那その者が魔王であると感じだ。
私は勇者が持つ剣とは違い、魔王にしか扱うことができない。封印が解かれそのままその者が所有者となり共に戦っていたが、ある時その者は消滅してしまった。所有者のいなくなった私はどこか別のところに消えてしまった・・・・・・と思っていたところをある人間の男が手にした。
私は決して魔王にしか使えないというわけではなく、使うだけなら誰にでもできる。だが大きな代償が伴う。魔王以外が使った場合は、強大な力と引き換えに呪いに体を蝕まれてしまう。
男の境遇は不幸なもので、小さい頃から家族や周りの人から奴隷のように扱われた挙句森に捨てられたと言っていた。その捨てられたという森に私はいたのだ。たまたま私を手に入れた男は、自分を酷く扱った者と、それをみて見ぬふりをした者たちに復讐をした。その後呪いが全身に回り魔物へと変貌し私をここに突き刺してどこかに行ってしまった』
そういえば城の書庫には勇者に関するものはあったが、魔王に関するものはなかった。
魔王にも専用の武器があったとは父から一言も聞いたことがない。
「父からそのようなこと、一度も聞いたことがないぞ」
『むっ、父ということはお主は・・・・・・いや、だが見た目が違う』
ああ、そうか・・・・・・。
思い出して変装を解く。
『その黒い瞳に黒い髪はまさしく魔王の器。ビスタルの息子か』
「そうだ」
話していながらも放出されるオーラは凄まじいものだ。
勇者の剣より強そうじゃないか。
『私を共に連れて行ってはくれぬか?』
悪い話ではない。
だが、このような剣を持っていれば魔王だとバレてしまう。
「連れていくのはいいが、まずはそのオーラをどうにかできないのか?そのせいで周辺に魔物が集まってきている」
『すまない。気づいていなかった』
途端に立ち込めていたオーラは魔剣に吸い込まれるようにして消えていった。
『どうだ?』
「ああ、いいだろう。連れて行こう」
おそらく出番はほとんどないだろうがな。
俺はあくまでも魔導士だから。
これで問題は解決した。
あとは町の周りに彷徨いている魔物の排除だけだ。
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