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乗り越えるべき壁
どこまで行っても彼は彼 ※No Side※
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他国との不可侵条約締結のために帝都を出た帝国第一皇子のエドヴァルドは、緊張した面持ちでサルメライネン伯爵邸にやって来ていた。今日はパロメロ皇国大使であるパレンシア侯爵との会談がある。本来であれば格式高いホテルなどで行うのが常識だが、今回は何故かパレンシア侯爵からの強い意向によって、サルメライネン伯爵邸で行われることになったのだ。
エドヴァルドは今までの経験上、長い旅路には慣れていたが、今回は到着した次の日に会談という余裕のない日程であったため、疲れが取れきれていないのが顔色から伺えた。他国関係は早急な対処が必要であるため、エドヴァルドにはこの後にも他国との会談の予定がぎっしりと詰まっている。自ら請け負ったものだが、果たして自分の身体は最後までもつのだろうか。一抹の不安がエドヴァルドの脳裏に過ぎった。
だからこそ出来るだけ手短に交渉を済ませたい所であるが、相手は偏屈で有名なパレンシア侯爵だ。何があるかわからない。弟である第四皇子のエルネスティは先にサルメライネン伯爵に話を通しておくと言っていたが、こう言うのもなんだが、たかが一介の伯爵が他国の大使に何が出来るだろうか。自分が何とか話をつけないといけない。エドヴァルドの責任は重たかった。
だがそんなことで音を上げるようであれば、皇帝など夢のまた夢。いつも通りにすればいい。エドヴァルドはそう自分に言い聞かせていた。
サルメライネン伯爵邸の使用人に連れられやって来た一室からは、扉越しでも微かに中から会話が漏れているのが聞こえた。話している内容まではわからなかったが、エドヴァルドは瞬時にサルメライネン伯爵とパレンシア侯爵が既に中に居ることを察した。自分はこの中では一番地位の高い皇族であるため、一番最後に来るのは全くおかしなことではない。だがパレンシア侯爵の性格を考えると、しきたりを遵守することは悪手のような気がした。エドヴァルドは先にサルメライネン伯爵と話をつけておくべきだったか、と後悔しながらも使用人に目配せをした。
使用人は一礼して扉ノックし、中から入室の許可を得ると音を立てずに扉を開いた。エドヴァルドが室内に入ると、中にはやはりサルメライネン伯爵とパレンシア侯爵が一人掛けソファに腰を下ろしていた。近くのサイドテーブルには紅茶と見慣れない軽食のようなものが置かれており、エドヴァルドは首を傾げた。基本的に他国との会談に飲食物は出ない。出たとしても紅茶などの飲み物だけだ。しかも部屋の中の二人は心做しか寛いだ様子であった。今から会談をするんだよな?とエドヴァルドは当惑せずにはいられなかった。
そんなエドヴァルドを見兼ねてか否か、パレンシア侯爵が上機嫌に口を開いた。
「おおっ!久しいな、エドヴァルド皇子!健在なようで何よりだ!」
「パレンシア侯爵。相手は我が国の皇族だから、少しは畏まって欲しいのだが……」
「ああっ、すまない!つい君と話すのと同じように振舞ってしまった。エドヴァルド皇子、どうか私の無礼をお許しください」
「……えっ、ええ。別に構いませんよ。お久しぶりですね、パレンシア侯爵」
エドヴァルドはパレンシア侯爵の友好的な態度に戸惑いを隠せなかった。以前に会った時にはこちらのことなど興味無いといった感じで、あからさまに冷めた態度だったのだ。別に無礼であった訳ではなかったので何も言わなかったが、エドヴァルドの中でパレンシア侯爵はどの立場の人間に対しても我を通す人間だと認識していた。それがどういう訳か、何もしていないのに勝手に自分に対する友好度が上がっているのだ。戸惑うのも無理はない。
「まあ立ち話も程々に、殿下もお座りください」
「……ええ、それもそうですね」
サルメライネン伯爵が空席の一人掛けソファを手で指したので、エドヴァルドは促されるままに座った。エドヴァルドのサイドテーブルに、使用人が紅茶を注ぐ。お茶っ葉のいい匂いがエドヴァルドの鼻を擽った。
「……いい匂いですね」
「そうでしょうそうでしょう!この紅茶は私が世界中の茶葉をかき集めて試飲を繰り返した先に見つけた、選りすぐりの茶葉ですからね!」
「すみません。パレンシア侯爵がどうしても殿下にこの茶葉で紅茶を飲んで欲しいと言って聞きませんでしたので……毒味は私が済ませておりますので、安心して召し上がってください」
興奮気味のパレンシア侯爵に、サルメライネン伯爵は苦笑いして補足した。サルメライネン伯爵のティーカップを見ると、紅茶を飲んだ形跡がきちんと残されており、サルメライネン伯爵本人が毒味しているのは明らかであった。使用人ではなく伯爵本人が毒味をしているのは、皇族であるエドヴァルドに対する敬意とパレンシア侯爵に対する信頼の証であろう。そこまでされては飲むしかない。そう思ったエドヴァルドは、恐る恐るカップに口をつけた。
「……美味しい、ですね」
エドヴァルドは思わずそうぽつりと呟いた。普段から一流のものを口にしており、舌の肥えているエドヴァルドでさえも唸る美味しさだったのだ。その呟きは非常に小さなものであったが、パレンシア侯爵はしっかりと聞き取っており、みるみる表情を明るくさせた。
「そうでしょうそうでしょう!私は入れ方にも拘っていまして……」
「パレンシア侯爵。殿下はお忙しい身であられるから、蘊蓄語りは控えて欲しいのだが」
「ああっ、そうであったな!すまない。エドヴァルド皇子も、申し訳ございません」
「あっ、いえ、大丈夫ですよ」
エドヴァルドはすっかりペースを乱されてしまい、終始返事をするので手一杯であった。癖の強い人であることは知っていたが、今は別の意味で予想外すぎて、どのような態度をとるべきか図りかねていたのだ。サルメライネン伯爵はそんなエドヴァルドの様子に気づき、自ら話を本題に移してくれた。
「それより、パレンシア侯爵。さっさと大使としてパロメロ皇国の身の振り方を殿下に伝えてはどうだ。私から言うのと貴方から言うのでは、言葉の重みが違うのだから」
「おお、それもそうだな。本題はそれであるからな」
パレンシア侯爵はサルメライネン伯爵の言葉に頷くと、傍に置いてあった自らのボストンバッグから一枚の紙を取り出し、エドヴァルドに差し出した。
「数日前、サルメライネン伯爵から帝国と不可侵条約を結ぶことを陛下に掛け合って欲しいと頼まれまして、直ぐに陳情を書にして陛下にお送りしました。陛下は私の陳情を聞き入れてくださり、直ぐに私にこの件に関する全権委託をしてくださいました。書にはきちんと御璽と国璽も押されておりますので、ご確認ください」
エドヴァルドが受け取って確認すると、確かにそこには御璽と国璽が押されていた。この両方が押されているということは、この書に書かれていることは皇国王が直々に下した決定であり、皇国としても承認しているという証拠である。今後、皇国王でさえもこの決定を覆すことが困難であるほどの効力を保持しているのだ。そのような重大な公文書を、ほんの短期間で用意出来てしまうパレンシア侯爵の実力に、エドヴァルドは慄然とした。
「……よくここまでの公文書を短期間で用意出来ましたね」
「陛下は私に多大な借りがありましてね。私が頼めば直ぐに用意してくださいましたよ」
「パレンシア侯爵は影響力があり過ぎるが故に、パロメロ皇国大使として国外に左遷させられたような人間ですから」
「まあ皇国より帝国の方が食に恵まれているので、私としては万々歳ですがね!」
パレンシア侯爵はそう言うと豪快に笑った。サルメライネン伯爵も呆れながらも柔和な笑みを浮かべる。エドヴァルドはパレンシア侯爵の意外な事実に戦きつつも、権力より食を求めるパレンシア侯爵らしい言葉に思わずくすりと笑った。
「おおっ!エドヴァルド皇子もやっと表情が和らぎましたな!会った時から思い詰めた表情をしていらしたので心配していたのですぞ!」
「えっ、あっ、すみません」
「良いのですぞ。他国との交渉という重大任務を任されているのですから、当然のことです。しかしあまり思い詰めず、気を楽にお持ちください。帝国は私でもわかる程に強いのですぞ。私のように帝国の味方をする者もいるでしょうし。皇子は自身が今までにしてこられたことに自信をお持ちになるべきですぞ」
パレンシア侯爵に励まされて、エドヴァルドは素っ頓狂な表情を見せた。以前に会った時はこちらに配慮のはの字もない他人行儀な態度であったのに、これほどまでに親しげにされる意味がわからなかった。
そんな戸惑いを感じ取ったのか、サルメライネン伯爵は苦笑いして補足した。
「パレンシア侯爵はエルネスティ殿下を信頼しているので、エルネスティ殿下が信頼しているエドヴァルド殿下も信頼しているのですよ」
「ええ。くれぐれもエドヴァルド皇子の迷惑にならないようにと手紙で言われております」
パレンシア侯爵は悪びれもなくそう言い切る。エドヴァルドは自分自身がパレンシア侯爵に信頼されている訳では無いということに引っかかりを感じつつも、変に理由を並べられるよりパレンシア侯爵らしいか、と肩を落とした。自分自身とパレンシア侯爵との信頼関係はこれから築けば良い。今は感情に流されずにすべきことを最優先するだけだ。
「……ありがとうございます」
「感謝なんて必要ありませんぞ。それより今はお茶でも飲んで気を休ませるべきですぞ。このクッキーも如何です?私の自慢の料理人が研究を重ねて完成させたものなのですが……」
パレンシア侯爵はエドヴァルドの複雑な心境などお構い無しに話を続けた。その自由奔放さに緊張の糸が緩んだエドヴァルドは、一旦自らにのしかかっている重圧のことは忘れ、パレンシア侯爵の話に付き合うことにした。
エドヴァルドは今までの経験上、長い旅路には慣れていたが、今回は到着した次の日に会談という余裕のない日程であったため、疲れが取れきれていないのが顔色から伺えた。他国関係は早急な対処が必要であるため、エドヴァルドにはこの後にも他国との会談の予定がぎっしりと詰まっている。自ら請け負ったものだが、果たして自分の身体は最後までもつのだろうか。一抹の不安がエドヴァルドの脳裏に過ぎった。
だからこそ出来るだけ手短に交渉を済ませたい所であるが、相手は偏屈で有名なパレンシア侯爵だ。何があるかわからない。弟である第四皇子のエルネスティは先にサルメライネン伯爵に話を通しておくと言っていたが、こう言うのもなんだが、たかが一介の伯爵が他国の大使に何が出来るだろうか。自分が何とか話をつけないといけない。エドヴァルドの責任は重たかった。
だがそんなことで音を上げるようであれば、皇帝など夢のまた夢。いつも通りにすればいい。エドヴァルドはそう自分に言い聞かせていた。
サルメライネン伯爵邸の使用人に連れられやって来た一室からは、扉越しでも微かに中から会話が漏れているのが聞こえた。話している内容まではわからなかったが、エドヴァルドは瞬時にサルメライネン伯爵とパレンシア侯爵が既に中に居ることを察した。自分はこの中では一番地位の高い皇族であるため、一番最後に来るのは全くおかしなことではない。だがパレンシア侯爵の性格を考えると、しきたりを遵守することは悪手のような気がした。エドヴァルドは先にサルメライネン伯爵と話をつけておくべきだったか、と後悔しながらも使用人に目配せをした。
使用人は一礼して扉ノックし、中から入室の許可を得ると音を立てずに扉を開いた。エドヴァルドが室内に入ると、中にはやはりサルメライネン伯爵とパレンシア侯爵が一人掛けソファに腰を下ろしていた。近くのサイドテーブルには紅茶と見慣れない軽食のようなものが置かれており、エドヴァルドは首を傾げた。基本的に他国との会談に飲食物は出ない。出たとしても紅茶などの飲み物だけだ。しかも部屋の中の二人は心做しか寛いだ様子であった。今から会談をするんだよな?とエドヴァルドは当惑せずにはいられなかった。
そんなエドヴァルドを見兼ねてか否か、パレンシア侯爵が上機嫌に口を開いた。
「おおっ!久しいな、エドヴァルド皇子!健在なようで何よりだ!」
「パレンシア侯爵。相手は我が国の皇族だから、少しは畏まって欲しいのだが……」
「ああっ、すまない!つい君と話すのと同じように振舞ってしまった。エドヴァルド皇子、どうか私の無礼をお許しください」
「……えっ、ええ。別に構いませんよ。お久しぶりですね、パレンシア侯爵」
エドヴァルドはパレンシア侯爵の友好的な態度に戸惑いを隠せなかった。以前に会った時にはこちらのことなど興味無いといった感じで、あからさまに冷めた態度だったのだ。別に無礼であった訳ではなかったので何も言わなかったが、エドヴァルドの中でパレンシア侯爵はどの立場の人間に対しても我を通す人間だと認識していた。それがどういう訳か、何もしていないのに勝手に自分に対する友好度が上がっているのだ。戸惑うのも無理はない。
「まあ立ち話も程々に、殿下もお座りください」
「……ええ、それもそうですね」
サルメライネン伯爵が空席の一人掛けソファを手で指したので、エドヴァルドは促されるままに座った。エドヴァルドのサイドテーブルに、使用人が紅茶を注ぐ。お茶っ葉のいい匂いがエドヴァルドの鼻を擽った。
「……いい匂いですね」
「そうでしょうそうでしょう!この紅茶は私が世界中の茶葉をかき集めて試飲を繰り返した先に見つけた、選りすぐりの茶葉ですからね!」
「すみません。パレンシア侯爵がどうしても殿下にこの茶葉で紅茶を飲んで欲しいと言って聞きませんでしたので……毒味は私が済ませておりますので、安心して召し上がってください」
興奮気味のパレンシア侯爵に、サルメライネン伯爵は苦笑いして補足した。サルメライネン伯爵のティーカップを見ると、紅茶を飲んだ形跡がきちんと残されており、サルメライネン伯爵本人が毒味しているのは明らかであった。使用人ではなく伯爵本人が毒味をしているのは、皇族であるエドヴァルドに対する敬意とパレンシア侯爵に対する信頼の証であろう。そこまでされては飲むしかない。そう思ったエドヴァルドは、恐る恐るカップに口をつけた。
「……美味しい、ですね」
エドヴァルドは思わずそうぽつりと呟いた。普段から一流のものを口にしており、舌の肥えているエドヴァルドでさえも唸る美味しさだったのだ。その呟きは非常に小さなものであったが、パレンシア侯爵はしっかりと聞き取っており、みるみる表情を明るくさせた。
「そうでしょうそうでしょう!私は入れ方にも拘っていまして……」
「パレンシア侯爵。殿下はお忙しい身であられるから、蘊蓄語りは控えて欲しいのだが」
「ああっ、そうであったな!すまない。エドヴァルド皇子も、申し訳ございません」
「あっ、いえ、大丈夫ですよ」
エドヴァルドはすっかりペースを乱されてしまい、終始返事をするので手一杯であった。癖の強い人であることは知っていたが、今は別の意味で予想外すぎて、どのような態度をとるべきか図りかねていたのだ。サルメライネン伯爵はそんなエドヴァルドの様子に気づき、自ら話を本題に移してくれた。
「それより、パレンシア侯爵。さっさと大使としてパロメロ皇国の身の振り方を殿下に伝えてはどうだ。私から言うのと貴方から言うのでは、言葉の重みが違うのだから」
「おお、それもそうだな。本題はそれであるからな」
パレンシア侯爵はサルメライネン伯爵の言葉に頷くと、傍に置いてあった自らのボストンバッグから一枚の紙を取り出し、エドヴァルドに差し出した。
「数日前、サルメライネン伯爵から帝国と不可侵条約を結ぶことを陛下に掛け合って欲しいと頼まれまして、直ぐに陳情を書にして陛下にお送りしました。陛下は私の陳情を聞き入れてくださり、直ぐに私にこの件に関する全権委託をしてくださいました。書にはきちんと御璽と国璽も押されておりますので、ご確認ください」
エドヴァルドが受け取って確認すると、確かにそこには御璽と国璽が押されていた。この両方が押されているということは、この書に書かれていることは皇国王が直々に下した決定であり、皇国としても承認しているという証拠である。今後、皇国王でさえもこの決定を覆すことが困難であるほどの効力を保持しているのだ。そのような重大な公文書を、ほんの短期間で用意出来てしまうパレンシア侯爵の実力に、エドヴァルドは慄然とした。
「……よくここまでの公文書を短期間で用意出来ましたね」
「陛下は私に多大な借りがありましてね。私が頼めば直ぐに用意してくださいましたよ」
「パレンシア侯爵は影響力があり過ぎるが故に、パロメロ皇国大使として国外に左遷させられたような人間ですから」
「まあ皇国より帝国の方が食に恵まれているので、私としては万々歳ですがね!」
パレンシア侯爵はそう言うと豪快に笑った。サルメライネン伯爵も呆れながらも柔和な笑みを浮かべる。エドヴァルドはパレンシア侯爵の意外な事実に戦きつつも、権力より食を求めるパレンシア侯爵らしい言葉に思わずくすりと笑った。
「おおっ!エドヴァルド皇子もやっと表情が和らぎましたな!会った時から思い詰めた表情をしていらしたので心配していたのですぞ!」
「えっ、あっ、すみません」
「良いのですぞ。他国との交渉という重大任務を任されているのですから、当然のことです。しかしあまり思い詰めず、気を楽にお持ちください。帝国は私でもわかる程に強いのですぞ。私のように帝国の味方をする者もいるでしょうし。皇子は自身が今までにしてこられたことに自信をお持ちになるべきですぞ」
パレンシア侯爵に励まされて、エドヴァルドは素っ頓狂な表情を見せた。以前に会った時はこちらに配慮のはの字もない他人行儀な態度であったのに、これほどまでに親しげにされる意味がわからなかった。
そんな戸惑いを感じ取ったのか、サルメライネン伯爵は苦笑いして補足した。
「パレンシア侯爵はエルネスティ殿下を信頼しているので、エルネスティ殿下が信頼しているエドヴァルド殿下も信頼しているのですよ」
「ええ。くれぐれもエドヴァルド皇子の迷惑にならないようにと手紙で言われております」
パレンシア侯爵は悪びれもなくそう言い切る。エドヴァルドは自分自身がパレンシア侯爵に信頼されている訳では無いということに引っかかりを感じつつも、変に理由を並べられるよりパレンシア侯爵らしいか、と肩を落とした。自分自身とパレンシア侯爵との信頼関係はこれから築けば良い。今は感情に流されずにすべきことを最優先するだけだ。
「……ありがとうございます」
「感謝なんて必要ありませんぞ。それより今はお茶でも飲んで気を休ませるべきですぞ。このクッキーも如何です?私の自慢の料理人が研究を重ねて完成させたものなのですが……」
パレンシア侯爵はエドヴァルドの複雑な心境などお構い無しに話を続けた。その自由奔放さに緊張の糸が緩んだエドヴァルドは、一旦自らにのしかかっている重圧のことは忘れ、パレンシア侯爵の話に付き合うことにした。
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