前世の記憶を思い出した皇子だけど皇帝なんて興味ねえんで魔法陣学究めます

当意即妙

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学園生活をエンジョイする

ベタ過ぎる展開

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ボッチ確定じゃないですかやだーって思ってたらまさかの同士発見。沈んでいた俺の気分は急上昇した。しかも同じクラス。ペア分けでのボッチも回避出来た。ありがとう世界、ありがとう。

同士の名前はテオドール・リュド・レーメルと言う。ベイエル王国の侯爵家の四男で、シーウェルト王子の遠縁にあたるらしい。「シーウェルト殿下と同い年に生まれた遠縁の子と言うことでこんな仰々しい名前をつけられましたが、分不相応すぎていい迷惑です」と本人は語っていた。何でも『テオ』とはベイエル王国で王位継承権を表すらしい。帝国我が国で言う『ニコ』と同じだね。あれは帝位継承権を表してるから。

俺は入学式が始まるまでテオドールと2人で魔法陣について熱く語り合った。その傍らでシーウェルト王子が会話に入りたげにこちらに笑顔を向けていたけど、俺はガン無視した。てめえと仲良く出来る訳ねえだろうが、馬鹿め。

入学式での定番、新入生代表挨拶はどこかの子爵家の長男が行っていた。この学園は一応・・平等をってるからね。まあ俺の所には学園から『新入生代表挨拶を他の生徒がして良いか』って確認の手紙と、その生徒の実家から『代表挨拶の座を奪ってしまい申し訳ございません』って謝罪の手紙が送られて来たけど。おいコラどこ行った平等の精神。

新入生代表挨拶をするその男子生徒は、緊張の面持ちを滲ませつつも、堂々とした態度で挨拶をした。本番に強いんだろうな。……でも周りの反応からして、子爵家の長男が自分たちの顔として挨拶しているのが気に食わない、って思ってる生徒もいそうだな。特に公爵家とか侯爵家とか、その辺の上流階級が。

……なんか面倒事を起こさなければ良いんだけど。俺は直ぐに行動に出そうな生徒に見当をつけていきながら、溜息をついた。


* * *


「ヴァルヴィオ子爵……だったか?聞いたことない名前だな。そんな無名で田舎者のお前が、俺やエルネスティ殿下を差し置いて代表挨拶するとは、良い度胸だな」

あちゃー。早速絡まれてる絡まれてる。

入学式が終わり、HRまでに時間があると言うことで代表挨拶の男子生徒の様子を見に行こうと捜していると、早速いちゃもんをつけられている場面に遭遇した。いちゃもんをつけているのは確かパルヴィアイネン公爵家の子息だったはず。ロヴィーサ嬢シスター見習い令嬢のお兄さんだね。全然似てないけど。

「……お言葉ですが、私が代表挨拶をすることを決めたのは学園側です。ご不満があるのでしたらまず学園長にお申し付け下さい」

「そう言う問題じゃないだろう!そこは殿下に譲るのが常識だ!マナーだ!やはり田舎者は世間知らずの恥さらしだな!」

「……殿下がそれをお望みであれば、私は快く代表挨拶を辞退しました。しかし殿下は『学園の決定に従う』と仰りました。ですから私も殿下の意向を承り、畏れ多いながらも代表挨拶を務めさせていただいた所存です」

「殿下たる者があけすけに『辞退しろ』と仰れる訳がないだろう!殿下は貴様が辞退し、もっと相応しい人間が務めることをお待ちしていられたに違いない!」

代表挨拶を務めた男子生徒は果敢に反論するが、公爵子息は好き勝手言って聞く耳を持たないどころか、非難を強めていった。それを遠巻きで眺めている生徒の中には、侮蔑の視線をその男子生徒に向けている生徒もいる。大半は『明日は我が身』と震え上がっているけど。パルヴィアイネン公爵家は歴代に数多くの皇后を輩出し、多くの皇女も嫁入りした、皇族家の次に権力があると言われる名門中の名門だ。そこのボンボンに目を付けられたら、中流・下流階級の貴族はひとたまりもない。

それはそれとして、ヴァルヴィオ子爵……ってどこかで聞いたことあるなと思ったら、父上が以前ヴァルヴィオ子爵について話してたな。『注目に値する人間だ』って。

ヴァルヴィオ子爵領はベイエル王国との国境付近に位置し、伯爵領並の広さを有していながらも、未開拓地帯が多すぎてこれまでなかなか発展してこなかった。作物の育たない痩せた土地に、険しすぎる山岳、生物が生きられない湖に、安定しない気候。子爵領が昔から抱える問題は枚挙に暇がない。

それに加え、子爵領と隣合う位置に領地を持っていた男爵家が災害に見舞われて数十年前に没落し、後処理に困った荒れに荒れた男爵領を押し付けられてしまったのだ。子爵は自領の開発と他領の復興の2つを同時進行しなければならなくなり、一時期は没落寸前とまで囁かれていたらしい。

しかし現ヴァルヴィオ子爵、つまりこの男子生徒の父親が子爵位を継承したのを転機に、じわじわと財力を増加させて来た。現ヴァルヴィオ子爵は領地の『新地開発』ではなく『有効活用』を掲げており、使えない土地は無理に使おうとせず、使える土地を最大限に活用すると言う領地運営をしている。お陰で今まで領地開発によって消えていた膨大な資金が浮き、それによって子爵領と男爵領すらも繁栄するような事業を展開し、そんじょそこらの伯爵領には遅れをとらない経済発展が見られ、知る人ぞ知る有力貴族に成り上がって来ているらしい。

あの男子生徒は長男だから、次期ヴァルヴィオ子爵家当主か。確か父上は次期当主も将来有望だって言ってたっけ。

……囲おうかな。繋がりがあって損はなさそうだし。

俺はそんな打算的なことを考えながら、ゆっくりと騒ぎの中心に近づいた。俺の存在に気づいた野次馬はズザザッと俺の前に道を開ける。……これにもいずれ慣れないとな。

「何やら騒がしいですね?何があったのですか?」

「でっ、殿下!?」

俺が2人に話しかけると、公爵子息はビクッと肩を揺らして大きく後退った。その表情には恐怖が滲み出ている。……えっ。その反応は予想外なんだけど。まあ今は放っておこう。

「おや?貴方は確か入学式で代表挨拶をしていた……」

「……ユルヤナ・シピ・ヴァルヴィオと申します、エルネスティ殿下」

「ユルヤナですね。先程の挨拶、ハキハキとしていてとても良かったですよ」

「有り難きお言葉」

ユルヤナは恭しく頭を下げた。公爵子息は俺がユルヤナを褒めたので、居心地が悪そうにもぞもぞしている。

「ヴァルヴィオ子爵と言えば、領地運営が優れていると父上が高く評価していましたね。ご子息も将来有望だと褒めていました」

「っ!?……誠でございますか?」

「はい。是非とも1度、お話ししたいと思っていました。貴方のクラスは?」

「1-Bでございます」

「違うクラスなのですね。また時間は取れますか?」

「殿下がお望みであれば」

ユルヤナは嬉しそうに再び頭を下げた。皇子父上皇帝が目を付けているって言ったんだから、これでユルヤナが絡まれることはないかな。

そんな会話をしていると、視界の端でいそいそとこの場を離れようとする人影が見えた。……そうだ。俺について好き勝手言ってた彼に、灸を据えないと。

「確か貴方は、パルヴィアイネン公爵家のご子息ですね」

俺のその言葉に公爵子息はビクッと全身を揺らし、恐る恐るこちらを振り返った。……なんでコイツはこんなに俺を怖がってんだ?心配しなくても首を跳ねたりはしないのに。

俺は安心させるように微笑んだ。だがそれは逆効果らしく、公爵子息は今にも死にそうなくらい顔を青くさせた。何故だ。解せぬ。




* * * * * * * * *




2020/11/29
脱字修正しました。
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