75 / 219
人間関係が広がるお年頃
閑話:或帝国第三皇子の激怒 【後編】 ※No Side※
しおりを挟む
「はっ!?俺たちを甘く見るな!細身の少年に、何故俺たちが負けるとで……も……」
騎士は威勢よく反論していたが、語尾は何とも弱々しいものになった。思い出したのだ。確かに一度、エルネスティに対して『負け』を感じたことを。
「エルネスティは公言してねえが、多分膨大な魔力と数多の適正属性を所持している。それはてめえらも肌で感じたんじゃねえのか?そんで『勝てない』と本能でそう感じたんじゃねえのか?」
「……そうだ」
「それにヴァイナモが使った魔法陣、エルネスティが作ったものだ」
「「「なっ!?」」」
またもや声を揃えて驚く王国騎士の面々に、カレルヴォは「てめえらコーラスか」と呆れた。だが騎士はそれどころじゃない。今まで軽視してきた魔法陣が、己の魔法を上回ったのだ。しかもそれは今まで下に見ていたエルネスティが作った。信じられない、信じたくないと言う気持ちで息が出来なくなった。
「魔力でも勝てない、魔法でも勝てない。終いには魔法陣によって己の魔法を止められる。体格の差を見事に超えてきている。てめえのどこにエルネスティに勝てる要素があんだよ」
「……くっ!」
騎士は悔しそうに舌打ちをした。容姿は弱々しいが、それをカバーする以上の力を、エルネスティは持っている。正真正銘の強者だ。実力者が仕えたいと思うのも頷ける。ヴァイナモの主はエルネスティと認めざるを得なかった。
実際はエルネスティがそこまで強くなくてもヴァイナモは仕えたいと願ったであろうが、それはこの騎士が一生理解出来ない感情である。
騎士は一度そう認めてしまうと、今までの自分の態度や所業が尚のこと許せなくなった。自分はなんて馬鹿な勘違いをしてしまったのだ、と後悔する。
そんな中、騎士の中にある考えが過ぎった。騎士は思わずヒュッと息を鳴らして俯く。
カレルヴォはそんな騎士に軽蔑の視線を向けた。
「……ざまあねえな。侮辱してきた相手に、今まで軽視してきたもので負けるだなんて。しかも他国の皇族に無礼を働いたと言うことで、てめえの名誉は地に落ちる。その上憧れの人にも悪印象を持たれるんだ。良いことはひとつもねえな。……まっ、自業自得だ。諦めろ」
「……」
「相手がエルネスティで良かったな。多分アイツは穏便派でてめえらに興味ねえから、そんな厳しい罰は下さない。下手すりゃ無罪で解放してくれるぞ。運が良いな。……だが次はないと思え」
呆然とする騎士にカレルヴォは慈悲を込めた笑みで、しかし最後の言葉はまるで死刑宣告かの如く冷徹に伝えた。
騎士は絶望の表情を浮かべると、誰もがそう予想した。同情の眼差しを向けようと皆が騎士を見た瞬間、皆の表情は驚愕の色に染まる。
あろうことか騎士は爛々と目を輝かせていたのだ。
「つまりヴァイナモ様と第四皇子様は剣と杖。お2人でひとつの完成された強さなんだな!すげえ!かっけえ!」
「おいコラなんでそんな結論になった」
カレルヴォは先程までの怒りが吹き飛ぶ勢いで呆れた。まるで脈絡のないことを言い出したのだ。無理もない。
「最強とはつまり、武力と魔法の両方に優れた者だ!ヴァイナモ様は武力の強者、第四皇子様は魔法の強者。そのお2人が組むと、お互い劣っている部分を補填し合って、隙がなくなる。つまり強者と強者の融合で最強となる!」
意気揚々と語る騎士に一同開いた口が塞がらなかった。脳筋であることは知っていたが、ここまでとは。
カレルヴォは諦めの境地に入った。コイツの思考回路を理解するのは不可能だ、と悟ったのだ。そして気を取り直して後ろにいる後輩の方へ振り返る。
「お前ら。至急父上に報告を。本当は処罰をエルネスティが決めるべきなんだが、生憎今はここにいないからな。コイツの処罰について命令を仰ぐ。そんでコイツを牢屋へぶち込め。容疑は不敬罪と殺人未遂だ」
「なっ!?お、俺は殺すつもりはなかった!」
「てめえにそのつもりがなかろうと客観的に見たら立派な殺人未遂なんだよわかりやがれ。本当にそうなら父上……皇帝陛下の前でそう証言しろ。真偽は正しくつけてくれるだろうよ」
カレルヴォは後輩に目配せをして騎士を連行させる。王国騎士団帝国遠征部隊隊長や他の王国騎士が『待ってくれ』と抗議したが、カレルヴォは同僚に目配せして彼を足止めし、ひと睨みして黙らせた。
「……はあ。予想外に変な奴だった。ただでさえ怒りが渦巻く中でも冷静に弟の尻拭いをしなきゃいけねえのに。調子狂う。兄は大変なんだよ労わってくれ」
「何をグチグチと言ってるんだカレルヴォ」
ぐっと腕を伸ばすカレルヴォに、同僚が揶揄うように背中を軽く叩いた。カレルヴォは第三皇子ではあるが、軍の中ではそのような身分は関係ない。故に平民の同僚でも軽口を叩くのだ。
「だって普通はこの仕事、被害者のエルネスティがしなきゃいけねえんだぜ?勘弁してくれ。怒るのにも体力がいるんだ」
「……だがエルネスティ殿下は未成年だろ?こう言うのは大人が仕切るんじゃないのか?」
「まあ普通はな。だが俺たちは皇族だ。自分に関わることは自分で判断しねえと、周りの奴らが騒ぎ立てて必要以上に重い罪にすんだよ」
「……そうなんだな」
カレルヴォの同僚は神妙に呟いた。普段どれだけ親しみやすい性格をしていても、カレルヴォはやはり皇族なのだと改めて実感したのだ。
人の上に立つ者にはそれなりの責任と義務がのしかかって来るのだろう。ある意味自分は気楽な平民で良かった、と同僚は痛感するのであった。
「……さて、んじゃ俺は今頃魔法陣研究に没頭しているだろう弟に拳骨食らわせて、父上の前まで引きずって行くか」
「……エルネスティ殿下は説教か?」
「だろうな。なんせ皇族の最低限の義務を放棄したんだ。父上はカンカンに怒るだろうな」
「でもいきなり他国の騎士殴ったお前も怒られるんじゃないのか?」
「ああん?何でだよ。俺は弟傷つけられそうになってキレただけだ。寧ろ褒めて欲しいぐらいだ」
カレルヴォが手をヒラヒラとさせると、同僚はクスクスと笑った。2人とも皇帝がそう言ったことに私情を挟むことはないとわかっている。ほぼ確実にカレルヴォにもお咎めがあるだろう。だがそれを笑い話に出来るのは、お咎めはそこまで重くならないだろうと思っているからである。
「じゃあ後は頼んだ」
「了解」
カレルヴォは同僚と片手でハイタッチした後、再発した王国騎士たちの抗議の声を無視してその場を後にした。
* * *
蛇足であるが、翌日の彼らの会話である。
「で?結局どんなお咎めになったんだ?」
「エルネスティは1ヶ月の魔法陣研究の禁止だ」
「えっ?それだけでいいのか?甘くないか?」
「馬鹿言え。アイツにとっては死活問題だ」
「……確かに魔法陣見ただけであんだけ興奮してたもんな。愛が凄く重かった。そんだけ好きなものを1ヶ月もおわずけは確かに辛いか。俺にはわかんないけど」
「同感だ」
「で?お前はどうなった?」
「一週間の謹慎と一年の減給だ」
「……なんか甘いのか甘くないのか微妙だな。謹慎期間は最短だが、減給は割と長めか」
「いや、どちゃくそ甘いぞ?俺はこれでも皇族だから、軍の給料以外でも貰えんだ。だからハッキリ言って減給は5年以上しないと痛くも痒くもねえ」
「……やっぱお前皇族なんだなあ」
「おい何をしみじみ言ってやがる。オッサンか」
身分のかけ離れた彼らは今日も平和に軽口を叩いている。
騎士は威勢よく反論していたが、語尾は何とも弱々しいものになった。思い出したのだ。確かに一度、エルネスティに対して『負け』を感じたことを。
「エルネスティは公言してねえが、多分膨大な魔力と数多の適正属性を所持している。それはてめえらも肌で感じたんじゃねえのか?そんで『勝てない』と本能でそう感じたんじゃねえのか?」
「……そうだ」
「それにヴァイナモが使った魔法陣、エルネスティが作ったものだ」
「「「なっ!?」」」
またもや声を揃えて驚く王国騎士の面々に、カレルヴォは「てめえらコーラスか」と呆れた。だが騎士はそれどころじゃない。今まで軽視してきた魔法陣が、己の魔法を上回ったのだ。しかもそれは今まで下に見ていたエルネスティが作った。信じられない、信じたくないと言う気持ちで息が出来なくなった。
「魔力でも勝てない、魔法でも勝てない。終いには魔法陣によって己の魔法を止められる。体格の差を見事に超えてきている。てめえのどこにエルネスティに勝てる要素があんだよ」
「……くっ!」
騎士は悔しそうに舌打ちをした。容姿は弱々しいが、それをカバーする以上の力を、エルネスティは持っている。正真正銘の強者だ。実力者が仕えたいと思うのも頷ける。ヴァイナモの主はエルネスティと認めざるを得なかった。
実際はエルネスティがそこまで強くなくてもヴァイナモは仕えたいと願ったであろうが、それはこの騎士が一生理解出来ない感情である。
騎士は一度そう認めてしまうと、今までの自分の態度や所業が尚のこと許せなくなった。自分はなんて馬鹿な勘違いをしてしまったのだ、と後悔する。
そんな中、騎士の中にある考えが過ぎった。騎士は思わずヒュッと息を鳴らして俯く。
カレルヴォはそんな騎士に軽蔑の視線を向けた。
「……ざまあねえな。侮辱してきた相手に、今まで軽視してきたもので負けるだなんて。しかも他国の皇族に無礼を働いたと言うことで、てめえの名誉は地に落ちる。その上憧れの人にも悪印象を持たれるんだ。良いことはひとつもねえな。……まっ、自業自得だ。諦めろ」
「……」
「相手がエルネスティで良かったな。多分アイツは穏便派でてめえらに興味ねえから、そんな厳しい罰は下さない。下手すりゃ無罪で解放してくれるぞ。運が良いな。……だが次はないと思え」
呆然とする騎士にカレルヴォは慈悲を込めた笑みで、しかし最後の言葉はまるで死刑宣告かの如く冷徹に伝えた。
騎士は絶望の表情を浮かべると、誰もがそう予想した。同情の眼差しを向けようと皆が騎士を見た瞬間、皆の表情は驚愕の色に染まる。
あろうことか騎士は爛々と目を輝かせていたのだ。
「つまりヴァイナモ様と第四皇子様は剣と杖。お2人でひとつの完成された強さなんだな!すげえ!かっけえ!」
「おいコラなんでそんな結論になった」
カレルヴォは先程までの怒りが吹き飛ぶ勢いで呆れた。まるで脈絡のないことを言い出したのだ。無理もない。
「最強とはつまり、武力と魔法の両方に優れた者だ!ヴァイナモ様は武力の強者、第四皇子様は魔法の強者。そのお2人が組むと、お互い劣っている部分を補填し合って、隙がなくなる。つまり強者と強者の融合で最強となる!」
意気揚々と語る騎士に一同開いた口が塞がらなかった。脳筋であることは知っていたが、ここまでとは。
カレルヴォは諦めの境地に入った。コイツの思考回路を理解するのは不可能だ、と悟ったのだ。そして気を取り直して後ろにいる後輩の方へ振り返る。
「お前ら。至急父上に報告を。本当は処罰をエルネスティが決めるべきなんだが、生憎今はここにいないからな。コイツの処罰について命令を仰ぐ。そんでコイツを牢屋へぶち込め。容疑は不敬罪と殺人未遂だ」
「なっ!?お、俺は殺すつもりはなかった!」
「てめえにそのつもりがなかろうと客観的に見たら立派な殺人未遂なんだよわかりやがれ。本当にそうなら父上……皇帝陛下の前でそう証言しろ。真偽は正しくつけてくれるだろうよ」
カレルヴォは後輩に目配せをして騎士を連行させる。王国騎士団帝国遠征部隊隊長や他の王国騎士が『待ってくれ』と抗議したが、カレルヴォは同僚に目配せして彼を足止めし、ひと睨みして黙らせた。
「……はあ。予想外に変な奴だった。ただでさえ怒りが渦巻く中でも冷静に弟の尻拭いをしなきゃいけねえのに。調子狂う。兄は大変なんだよ労わってくれ」
「何をグチグチと言ってるんだカレルヴォ」
ぐっと腕を伸ばすカレルヴォに、同僚が揶揄うように背中を軽く叩いた。カレルヴォは第三皇子ではあるが、軍の中ではそのような身分は関係ない。故に平民の同僚でも軽口を叩くのだ。
「だって普通はこの仕事、被害者のエルネスティがしなきゃいけねえんだぜ?勘弁してくれ。怒るのにも体力がいるんだ」
「……だがエルネスティ殿下は未成年だろ?こう言うのは大人が仕切るんじゃないのか?」
「まあ普通はな。だが俺たちは皇族だ。自分に関わることは自分で判断しねえと、周りの奴らが騒ぎ立てて必要以上に重い罪にすんだよ」
「……そうなんだな」
カレルヴォの同僚は神妙に呟いた。普段どれだけ親しみやすい性格をしていても、カレルヴォはやはり皇族なのだと改めて実感したのだ。
人の上に立つ者にはそれなりの責任と義務がのしかかって来るのだろう。ある意味自分は気楽な平民で良かった、と同僚は痛感するのであった。
「……さて、んじゃ俺は今頃魔法陣研究に没頭しているだろう弟に拳骨食らわせて、父上の前まで引きずって行くか」
「……エルネスティ殿下は説教か?」
「だろうな。なんせ皇族の最低限の義務を放棄したんだ。父上はカンカンに怒るだろうな」
「でもいきなり他国の騎士殴ったお前も怒られるんじゃないのか?」
「ああん?何でだよ。俺は弟傷つけられそうになってキレただけだ。寧ろ褒めて欲しいぐらいだ」
カレルヴォが手をヒラヒラとさせると、同僚はクスクスと笑った。2人とも皇帝がそう言ったことに私情を挟むことはないとわかっている。ほぼ確実にカレルヴォにもお咎めがあるだろう。だがそれを笑い話に出来るのは、お咎めはそこまで重くならないだろうと思っているからである。
「じゃあ後は頼んだ」
「了解」
カレルヴォは同僚と片手でハイタッチした後、再発した王国騎士たちの抗議の声を無視してその場を後にした。
* * *
蛇足であるが、翌日の彼らの会話である。
「で?結局どんなお咎めになったんだ?」
「エルネスティは1ヶ月の魔法陣研究の禁止だ」
「えっ?それだけでいいのか?甘くないか?」
「馬鹿言え。アイツにとっては死活問題だ」
「……確かに魔法陣見ただけであんだけ興奮してたもんな。愛が凄く重かった。そんだけ好きなものを1ヶ月もおわずけは確かに辛いか。俺にはわかんないけど」
「同感だ」
「で?お前はどうなった?」
「一週間の謹慎と一年の減給だ」
「……なんか甘いのか甘くないのか微妙だな。謹慎期間は最短だが、減給は割と長めか」
「いや、どちゃくそ甘いぞ?俺はこれでも皇族だから、軍の給料以外でも貰えんだ。だからハッキリ言って減給は5年以上しないと痛くも痒くもねえ」
「……やっぱお前皇族なんだなあ」
「おい何をしみじみ言ってやがる。オッサンか」
身分のかけ離れた彼らは今日も平和に軽口を叩いている。
290
お気に入りに追加
3,805
あなたにおすすめの小説
【第2部開始】悪役令息ですが、家族のため精一杯生きているので邪魔しないでください~僕の執事は僕にだけイケすぎたオジイです~
ちくわぱん
BL
【第2部開始 更新は少々ゆっくりです】ハルトライアは前世を思い出した。自分が物語の当て馬兼悪役で、王子と婚約するがのちに魔王になって結局王子と物語の主役に殺される未来を。死にたくないから婚約を回避しようと王子から逃げようとするが、なぜか好かれてしまう。とにかく悪役にならぬように魔法も武術も頑張って、自分のそばにいてくれる執事とメイドを守るんだ!と奮闘する日々。そんな毎日の中、困難は色々振ってくる。やはり当て馬として死ぬしかないのかと苦しみながらも少しずつ味方を増やし成長していくハルトライア。そして執事のカシルもまた、ハルトライアを守ろうと陰ながら行動する。そんな二人の努力と愛の記録。両片思い。じれじれ展開ですが、ハピエン。
優しい庭師の見る夢は
エウラ
BL
植物好きの青年が不治の病を得て若くして亡くなり、気付けば異世界に転生していた。
かつて管理者が住んでいた森の奥の小さなロッジで15歳くらいの体で目覚めた樹希(いつき)は、前世の知識と森の精霊達の協力で森の木々や花の世話をしながら一人暮らしを満喫していくのだが・・・。
※主人公総受けではありません。
精霊達は単なる家族・友人・保護者的な位置づけです。お互いがそういう認識です。
基本的にほのぼのした話になると思います。
息抜きです。不定期更新。
※タグには入れてませんが、女性もいます。
魔法や魔法薬で同性同士でも子供が出来るというふんわり設定。
※10万字いっても終わらないので、一応、長編に切り替えます。
お付き合い下さいませ。
結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、転生特典(執事)と旅に出たい
オオトリ
BL
とある教会で、今日一組の若い男女が結婚式を挙げようとしていた。
今、まさに新郎新婦が手を取り合おうとしたその時―――
「ちょっと待ったー!」
乱入者の声が響き渡った。
これは、とある事情で異世界転生した主人公が、結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、
白米を求めて 俺TUEEEEせずに、執事TUEEEEな旅に出たい
そんなお話
※主人公は当初女性と婚約しています(タイトルの通り)
※主人公ではない部分で、男女の恋愛がお話に絡んでくることがあります
※BLは読むことも初心者の作者の初作品なので、タグ付けなど必要があれば教えてください
※完結しておりますが、今後番外編及び小話、続編をいずれ追加して参りたいと思っています
※小説家になろうさんでも同時公開中
R指定はないけれど、なんでかゲームの攻略対象者になってしまったのだが(しかもBL)
黒崎由希
BL
目覚めたら、姉にゴリ推しされたBLゲームの世界に転生してた。
しかも人気キャラの王子様って…どういうことっ?
✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻
…ええっと…
もう、アレです。 タイトル通りの内容ですので、ぬるっとご覧いただけましたら幸いです。m(_ _)m
.
マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.
買われた悪役令息は攻略対象に異常なくらい愛でられてます
瑳来
BL
元は純日本人の俺は不慮な事故にあい死んでしまった。そんな俺の第2の人生は死ぬ前に姉がやっていた乙女ゲームの悪役令息だった。悪役令息の役割を全うしていた俺はついに天罰がくらい捕らえられて人身売買のオークションに出品されていた。
そこで俺を落札したのは俺を破滅へと追い込んだ王家の第1王子でありゲームの攻略対象だった。
そんな落ちぶれた俺と俺を買った何考えてるかわかんない王子との生活がはじまった。
攻略対象者やメインキャラクター達がモブの僕に構うせいでゲーム主人公(ユーザー)達から目の敵にされています。
慎
BL
───…ログインしました。
無機質な音声と共に目を開けると、未知なる世界… 否、何度も見たことがある乙女ゲームの世界にいた。
そもそも何故こうなったのか…。経緯は人工頭脳とそのテクノロジー技術を使った仮想現実アトラクション体感型MMORPGのV Rゲームを開発し、ユーザーに提供していたのだけど、ある日バグが起きる───。それも、ウィルスに侵されバグが起きた人工頭脳により、ゲームのユーザーが現実世界に戻れなくなった。否、人質となってしまい、会社の命運と彼らの解放を掛けてゲームを作りストーリーと設定、筋書きを熟知している僕が中からバグを見つけ対応することになったけど…
ゲームさながら主人公を楽しんでもらってるユーザーたちに変に見つかって騒がれるのも面倒だからと、ゲーム案内人を使って、モブの配役に着いたはずが・・・
『これはなかなか… 面白い方ですね。正直、悪魔が勇者とか神子とか聖女とかを狙うだなんてベタすぎてつまらないと思っていましたが、案外、貴方のほうが楽しめそうですね』
「は…!?いや、待って待って!!僕、モブだからッッそれ、主人公とかヒロインの役目!!」
本来、主人公や聖女、ヒロインを襲撃するはずの上級悪魔が… なぜに、モブの僕に構う!?そこは絡まないでくださいっっ!!
『……また、お一人なんですか?』
なぜ、人間族を毛嫌いしているエルフ族の先代魔王様と会うんですかね…!?
『ハァ、子供が… 無茶をしないでください』
なぜ、隠しキャラのあなたが目の前にいるんですか!!!っていうか、こう見えて既に成人してるんですがッ!
「…ちょっと待って!!なんか、おかしい!主人公たちはあっっち!!!僕、モブなんで…!!」
ただでさえ、コミュ症で人と関わりたくないのに、バグを見つけてサクッと直す否、倒したら終わりだと思ってたのに… 自分でも気づかないうちにメインキャラクターたちに囲われ、ユーザー否、主人公たちからは睨まれ…
「僕、モブなんだけど」
ん゙ん゙ッ!?……あれ?もしかして、バレてる!?待って待って!!!ちょっ、と…待ってッ!?僕、モブ!!主人公あっち!!!
───だけど、これはまだ… ほんの序の口に過ぎなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる